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「続・ひのめ伝説(GS)」

こーめい (2005-10-09 04:35)
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失策だ。

ひのめはややもすれば惨めに震えそうになる自分を、ぎゅっと抱き締めた。

失敗の象徴である、残酷な温度がゆっくりと熱を失ってゆくのを感じながら。


数多の試練にも耐えてきた自分だが、この失敗だけは我慢ならない。

何度経験しようとも、慣れることはないだろう。


そう。私は何度もこれに失敗している。

幾度となく挑戦し、破れ続けている。

それでもなお未来の勝利を疑わないことを、最後の砦としながら。


本当にその時が来るのか? などと、弱気な考えが浮かんだことがないでもない。

だが、そのたびに私は諦念を振り払ってきた。

まだ、絶望するには早すぎるのだ。

これから先も何度も挑むことになる試練に、今から負け続けていてどうするのか。

あらゆる術を尽くし、天に祈ることさえし尽くしてからでない限り、諦めは許されない。


そして。


この失策を取り繕うべく動き出す「奴ら」により与えられる、屈辱にも。

あの、私という存在のあらゆる鎧を剥ぎ取り、人としての尊厳を嬲り捨てるようなあの儀式にも。

私はいまだ絶望をせずに、耐え続けねばならないのだ。


さあ、覚悟は出来た。


「奴ら」に、失策を隠し通すことは出来ない。必ず嗅ぎつけるだろう。

ならば、進んで知らせてやらねばなるまい。

私は敗北こそしたが、それにより心が折れてはいないということを。

「奴ら」のもたらす屈辱にも、恐れなど抱いていないということを。


それは強がりかもしれない。虚栄かもしれない。

だがしかし、押し通せばそれは実体を持つ。

その祈りにも似た自らへの信頼を足場と定め、心をしっかり持つ。

未来の勝利を掴むため、常に前を見つめ続けることを心に刻む。


そして私は高らかに敗北を知らせる声をあげるのだった。




「ほわあっ! ほわっ! ほわあぁっ!」
「おわっ!? み、美神さん、ひのめちゃん泣きだしましたよ!?」
「ああ、もうそろそろだと思ってたのよ。さっき食事したし」
「と、いうと…」
「はいはい、おむつの交換しましょうねー。よちよち」


END

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