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▽レス始

「奥様は・・・(GS)」

kichi (2005-10-02 02:14/2005-10-09 04:21)
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―――――――トントントントントン


このアパートに一人暮らしをしている横島忠夫は懐かしい音と共に朝を迎えた。
(う〜ん、包丁の音で目を覚ますのも久しぶりだな。お袋が来たとき以来か?)


―――――――グツグツグツグツグツ


(味噌のいいにおいがする。うちに味噌なんてあったんやな〜)


―――――――ピーッピーッピーッ


(おっ、ご飯も炊けたみたいだしそろそろ起きるか〜……ってオイ!)


もう一度説明しよう。横島忠夫はこのアパートに一人暮らしをしているのである。たまに小鳩やおキヌなどが食事を作りに来てくれるがそれは主に夕食時でありそもそも玄関には鍵が掛かっているはずである。

(ど、泥棒か?でもメシ作ってるし。食料が目当てか?いや雪之丞じゃあるまいし。あ〜怖くて確認できん!でもやらなあかん!頑張れオレ!勇気を出すんやー!!)

自分で自分を叱咤した横島はアシュタロス戦で成長した勇気を総動員して決死の思いで体を起こした


「あ、横島さんおはようございます。朝ごはんもう出来てますよ♪」


しょ、小竜姫様〜〜〜!?


           奥様は・・・〜その1〜


「というわけで朝起きたら小竜姫様がごはんを作ってました。」
「何がというわけだ!わかるかボケー!!」
ギャー!!


あの後錯乱してとりあえず小竜姫にルパンダイブをかました横島を散歩に誘いに来たシロが発見し、「先生の浮気者〜!美神殿に言い付けてやるでござる〜!」という洒落にならん事を言いながら走り去った。横島と小竜姫は慌てて追いかけたが人狼の脚力には追いつけず仕方なく処刑場美神除霊事務所に状況を説明に来ていた。

「で、小竜姫、あんたなんで横島君のとこなんかにいたの?」
「そうですよ、なんで横島さんの所に?うらやましい
「いくら神様といえども許せないでござるよ!」
「…アンタ妊娠したいの?」

隅に転がる赤い物体を無視して小竜姫を睨みつける美神除霊事務所のメンバー

「それはですね〜…今日から一年間横島さんと一緒に暮らす事になったからです♪


「「「「「なに〜!!」」」」」


「ちょっと!何考えてんのよ!あんた神様でしょーが!!」
「ずるい!ずるいです!私だって一緒の布団で寝たりしたいのに!!」
「そうでござる!拙者だって一緒にお風呂に入りたいでござる!!」
「アンタなんかより私のほうがヨコシマを満足させられるわ!!」


…おかしな発言が目立つがとにかく怒っている4人を尻目にいつのまにか復活していた当の横島はというと

「神様と人間の禁断の恋…燃える!燃えるぞ!なんて燃えるシチュエーションなんだ!何も知らない神聖な神様を俺色に染める!ロマンや〜!男のロマンや〜〜!く〜夜まで待てん!小竜姫様〜とりあえず一発〜!!」

「「「「させるか(でござる)!!」」」」バキッ×4

…いつもどおりだった。

「んで、目的は何なのよ?」

「目的ですか?」

「そうよ、仮にも神様であるあんたが何の目的も無く横島君なんかと暮らすわけないでしょ?で、何?」

「そうですね、え〜っと横島さんが好きだからじゃダメですか?(ポッ)」

「(こいつキャラ変わったわね…)あたしは真面目に聞いてんのよ」

頬を染めた小竜姫に飛び掛ろうとした横島を沈めつつ美神は内心小竜姫の変わり様に驚いていた。以前の小竜姫は良く言えば真面目で真っ直ぐ、悪く言うと固くて融通の利かない性格であった。特に色恋には疎く冗談でも異性に対して好きなどとは言えなかった。何かあったのか聞きたかったが今は横島の問題の方が重要である。

「…わかりました。悪いんですけど横島さんは席をはずしてもらえませんか?」

「えっ、なんで?俺も知りたいっすよ。」

「横島クン、お願い」

「…わかりました…」

横島がしぶしぶ部屋から出て行った途端部屋全体を緊張した空気が包んだ。

「…さあ、これでいいでしょう。」

「はい…まず目的についてですが…言えません。」

「なっ!言えないってどういう事なんですか!まさかまた横島さんに何かさせようっていうんですか!やっと…やっとここまで立ち直ってくれたのに!」

おキヌの叫びに同調するように両側に座っていたシロとタマモが小竜姫に殺気を向ける。

アシュタロス戦後の横島は本当に危うかった。表面上は前と変わらないように見えたが、親しい者達から見ればムリをしているのがバレバレだった。
貼り付けたような笑顔で笑う彼に周りも何をしてやればいいかわからず、時間が解決するだろうと思っていた。

しかしある日の夕方、除霊に出かけようとした美神達4人は見てしまった。夕日を見ながら嗚咽する彼の姿を…

あの慟哭を知る美神とおキヌは彼の心の傷が全く癒えていない事を知り、詳しくは知らないシロとタマモは人狼と妖孤が持つ超感覚でその傷の深さを知った。このままではいけないと思った4人は他の仲間とも協力し懸命に彼を救おうとした。そのかいあってやっと以前のような横島が戻ってきたのだ。おキヌ達の怒りも尤もである。

「大丈夫です、詳しくは言えませんが横島さんのためなんです。」

「ヨコシマのため?」

「ええ、私は彼を救うために来たんです。」

「先生を救うため?まさかどこかの敵に狙われているでござるか!?」

「いえ、敵だとかそういう事ではないのですが……とにかく私は彼と暮らします。認めてもらえないのなら、彼をさらってでも共に!」

「そんな事このあたしが許すとでも思ってるの。」

               ゴオッ

美神がそう言った瞬間小竜姫の霊圧が跳ね上がり、その場の誰もが動けなくなった。

「な!?」
「くっ!」
「動けないでござる!」
「なんて霊圧なの!」

「邪魔すると言うのならこちらも容赦しませんよ」

殺気の込められたその冷たい視線を受けた四人は冷や汗を流しながらも必死に小竜姫を睨みつけた。無言のままお互いを睨み続けるという重い空気を破ったのは横島だった。

「な、何なんすか!今の霊圧は!!」

慌てた様子で横島が入ってきた瞬間、まるで今までの殺気や霊圧が嘘のように消え、小竜姫は微笑んでいた。

「すいません。少し私が興奮してしまったようで…。でも、もう大丈夫ですよ。ね、美神さん?」

「ええ、そうね」

美神は横島に心配をかけないように冷や汗をかきつつも動揺を隠してそう言った。

「そうですか?それならいいんですが…」

「ええ。ですから横島さんはもう少しだけ外に出ててください。

「…わかりました。小竜姫様も冷静にお願いしますよ。」

そう言ってまた横島が出て行くと、再びお互いを睨み付けた。
再び空気が重くなっていく。その空気を変えたのは今度は小竜姫だった。

「すみません、頭に血が上りすぎました」

そう言って小竜姫が突然思いもよらない行動に出た。

「ちょ、ちょっと!あんた何してんのよ!」

突然土下座しを始めた小竜姫に慌てる四人。

「お願いします、認めてください!先程はさらってでもと言いました。しかし、考えてみればそんな事できるはずないんです。皆さんと会えなくなると横島さんが悲しみます。あなた達は彼にとって本当に大切な人達だから。私は横島さんの幸せのために来たのです。その幸せを私が奪う事なんてできない。だから私はこうやって頼むことしかできないんです。お願いします!どうか、どうか!」

土下座の姿勢を崩さぬまま小竜姫は震えた声でそう言った。

神である小竜姫が人間に土下座する、これは彼女にとって最高の屈辱であるはずである。その屈辱に耐え、尚も懇願する小竜姫に否定の言葉は掛けられなかった。

「…仕事なのね?」

「…はい…」

「…横島君のためなのね?」

「…はい…」

はぁ〜と美神は大きくため息をついた。

「わかったわ。二人の同棲を認めてあげるわ。そのかわり仕事に付き合ってもらうわよ。」

「は、はい!」

「ちょっと待ってください、美神さん!」

涙を流したまま微笑む小竜姫に抗議の声をあげるおキヌ。

「仕方ないでしょ?神様に土下座までさせちゃったんだから。それにただの仕事だって言ってるんだから大丈夫でしょ?力でも負けないし」

そういわれてしぶしぶ引き下がるおキヌ。

もちろん何に対して大丈夫かというとナニに対してである。

              ガチャ

「話終わりましたか?」

そう言いながら入ってきた横島は地べたに正座したままの小竜姫を見つけると慌てて駆け寄った。

「何で正座なんかしてるんすか?って泣いてるじゃないですか!?はっ!さては美神さんにいじめられたんですね!」

「ち、違うわよ!私じゃないわ!」

「でもこの中では美神さんくらいしかそんなことする人いな…ッテソンナワケナイデスヨネ!ココロノヤサシイミカミサンニソンナコトデキルワケナイデスヨネ!ダカラオネガイデスカラソノ神通棍ハシマッテクダサイ」


          バキャ


その後復活した横島はもう一度小竜姫を見つめるとおもむろに彼女の頬に手を当てこちらを向かせた。

「よ、横島さん?」

「あ〜あ、やっぱり目が腫れてますね。かわいい顔が台無しですよ。今文珠で直しますからじっとしててください(ニコッ)」

「ハ、ハイ…(ポッ)」

赤くなりながらも恍惚の表情で治療されている小竜姫を8つの瞳が冷たい視線で見つめていた。

最近の横島は非常にモテる。知らない女性にがっつくことはなくなったし、仲間へのセクハラも雰囲気を明るくするためにやるのであって本気ではない。周りもみんなそれがわかっている。
その分元来持っていた優しさが引き立ち、女性に対しなんの狙いも無く自然に優しくできるようになった。(男性には不可)

それにより美神除霊事務所はタマモも含め横島にゾッコンラブなのだ。
しかし……

      ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

(ああっ視線が!視線が痛い!今横を向いたら俺は視線だけで殺されるかもしれん!神様助けてっ、って目の前にいるやん!治療してるだけなのにこんな目で見られるなんて俺ってホントに信用無いのな…ううっ)

だがもちろんお約束通り本人は気付いていない。

「いつまで触ってるのかしら、ヨコシマク〜ン」

「ハ、ハイ!もう大丈夫っすよね、小竜姫様?」

「あ、ありがとうございます」

「(美神さん、あの目はまずいです)」
「(美神殿、あれは恋する乙女の目でござるよ)」
「(美神、どうするの?)」
「(わかってるわ、任せて)」

熱い目で横島を見つめる小竜姫の様子に危機感を抱いた女性陣は目だけで会話という離れ業をやってのけた。恋する乙女達は目と目で通じ合う…らしい

「さて横島君、さっきの話し合いであなたと小竜姫の同棲を認める事にしました。」

「えっそれはまずいですよ!だって俺ですよ!こんな美人と一緒にいたらやばいですよ!」

美人と言われて再度赤くなる小竜姫と対照的に室内の温度はさらに冷えていく。

「わかってるわ。でも小竜姫も仕事なんだからしょうがないわよ。だって大切な仕事のためなんですもの。」

              ピクッ

“仕事”であるという事が強調されるたびに小竜姫のこめかみが動いていた。

「でも…」

しかし横島としては仕事とはいえ好きでもない男と二人で暮らさなければいけない小竜姫がかわいそうでならない。

「とはいえ、やっぱり二人だけで暮らすのはいろいろ問題があると思うのよ。そこで考えたんだけど…」

            「「「「ゴクッ」」」」

息を呑む一同。そして……


「皆で一緒に暮らしましょう!」

「「「「「何だってー!!」」」」」


〜あとがき〜

どうも、kichiと言います。
初めてSSに挑戦してみました!まさかこんなに難しい物だとは思ってなかったです。ていうかその1とかいきなり続けようとしたのが失敗だったような気もします。普通は短編から練習するべきですよね……めっちゃ時間かかったし、文章ヘタだし、話まとまらないし、疑似タグの使い方がよくわからないし…何十作も書いていらっしゃる方をマジで尊敬します!

でも一回書いてみてよかったです。いい経験になりました。短編を書いてみるなどしてもっと修行してから続きを書いてみたいと思います!

読んで下さった方、本当にありがとうございます!

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