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「妙神山のただおくん(GS)」

のりまさ (2005-09-29 13:21/2005-09-29 23:43)
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私は今、唯一日本で神様と会えるという山を登っている。夫とその背に背負われた愛しい息子と共に。
 まだ先月一歳を迎えたばかりの我が子は夫の広い背中ですやすやと眠っている。もともと修行者でもきついという山道は残り少ない私の体力をどんどん奪っていく。
 しかし、

「す〜す〜」

息子の何も考えていない、安心しきった寝顔を見ているといくらでも力が湧いてくる。それは夫も同じなのだろう、怪我を負っているというのに足取りは全く衰えず、息子を背負って私の先を行く。その力強い瞳には背中の小さな命を守ろうという意志以外感じられない。普段ちゃらんぽらんの浮気性なくせにこういう時だけかっこよくなるのだから、嫌になる。

もっともそういうところに惚れたのだが。

「こ、ここか。やっと着いた…」

夫がいかつい鬼の顔のついた門の前で盛大なため息をつく。看板には「この門をくぐる者、汝一切の望みを捨てよ 管理人」と書いてあるが、まあ見なかったことにしよう。さあ、どんな神様が出てくることやら。竜神らしいができれば優しく、そして魔族に狙われた息子を守れるような強さを持つ人でありますように。


妙神山のただおくん 〜プロローグその一〜

<小竜姫>
 暇です。凄い暇です。前回の修行者がここを訪れて久しいです。老師は神界に帰ってらっしゃるのでこの修行場には居られません。友人のヒャクメは最近人界での魔族の動きが怪しいとかで仕事がいっぱいらしく、てんてこ舞いだと言っていました。さすがにそんなときに「暇だから」の理由で呼び出すのはさすがにあれです。ヒャクメみたいに仕事があればいいのですが、魔族がいくら動きを見せても怪しいというだけで行動には移せません。

「どうせなら魔族がなにか…って私は何を考えているのですか!」

私としたことが神族にあるまじき発言です。暇は人を堕落させると言いますが、神族にも通用するとは思いませんでした。人間の格言、恐るべしです。
 壁に掛かっている時計を見てみました。長いこと考え込んでいたと思ったのに時計の針は五分も進んでいません。私はやる気がなくなってぐでーと机にうつ伏せになりました。多分今の私は人に見せられないようなふにゃけた顔をしているでしょう。以前同じような顔をたまたまヒャクメに見られたとき、「たれぱんだみたいなのね〜」と言っていました。そんなぱんだがいたでしょうか? ヒャクメの発言は不思議です。


 …暇です。こういう時に兄弟がいればいいのでしょうが、生憎私は一人っ子です。大竜姫? 誰ですかそれは。ともかく、兄弟がいればいい暇つぶしになるのでしょうけど無い物ねだりをしても仕方ありません。妹か弟、できれば弟がいれば楽しそうだったんですが…。こんど神界に帰る時に母上に頼んでみましょうか?

ピクン。

どうやら誰か来たようです。気配は人間ですから修行者でしょうか。とにかく暇つぶしになればなんでもおっけーです。さっそく門に向かいましょう。鬼門の試しで敗れるかもしれませんが、少しでも見込みがあればすぐ修行させちゃいましょう。本当はいけないんですが管理人権限です。

「あらお客様?」

 門を開けると若い男女が立っていました。夫婦なのでしょうか、男の方は赤子を背負っています。よく見ると二人とも真新しい怪我を負っていますが、鬼門と闘ってできた怪我ではなさそうです。それに二人とも魂の輝きは強いですが霊能者には見えません。

「しょ、小竜姫様〜! 我らの役目を…」

 まだ戦ってもいないため役目のない鬼門の嘆きを無視して二人に歩み寄ると、男の方がとんでもないスピードで迫ってきて、私がとっさに身構えると、

お嬢さん! 僕と熱い一夜を〜!

神様口説くんじゃない、この宿六が〜!

 凄い速さで飛び掛ってきたかと思うと、それよりさらに速い速度で女の方が男の方を殴りました。


 とりあえず暇ではなくなりそうです。

 続く

あとがき

 こんにちは、初めてGSのSSを書くのりまさです。皆さんのSSを読まして頂いて私も書きたくなりました。本作は本編の再構成のようで実は…?というものですが、その実は…?という部分は序盤ですぐに分かるかもしれません。なぜ彼が魔族に狙われているかというのもそこに関係しています。ちなみにあまり戦闘っぽいのはしませんし、シリアスにもなりません、基本は小竜姫と彼のほのぼの話です。

 初めてなので分からないところがいっぱいなのでおかしいところや間違ったところがあれば容赦なく指摘してください。
 ではこの辺で。

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