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!警告!壊れキャラ有り

「『アイツがいる世界。』2(GS)」

核砂糖 (2005-09-09 02:52)
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ルシオラ・・・俺の愛する人。

俺は彼女を愛し、彼女も俺を愛してくれる。

そのことに不満は無いし、むしろその事が嬉しくてたまらない。


そして何時かは彼女と・・・結ばれたいと本気で思う。


でも・・・


そうしたら俺はコイツを義父さんと呼ばなければならないのだろうか?


「ん、何だね。人の顔をじろじろと覗き込んで。何か付いているのかい?」
「別に・・・」


『アイツのいる世界。』inファイヤースターター
          BY核砂糖


ここは美神除霊事務所。かの有名なゴーストスイーパー美神令子の経営する、金次第ではほとんどの事は何とかなるというのがもっぱらの噂のオフィスです。

そこリビングに据えられた大きなソファーに腰掛けた冒頭の横島くんは、すっと目線を、びしりとスーツを着こなして正面に座ってハーブティーすするアシュ様から逸らし、彼と比べればずっと目の保養になるおキヌちゃんとルシオラさんの雑談に目を向けました。
男なら当然の行動です。全宇宙を探しても、誰も彼を咎める事ができるヤツなんていやしません。


「私ったらこう見えても生後間もないんで世間知らずなんですよ。だからいっつもみんなに迷惑かけちゃって。この間も・・・」
「わかります、その気持ち。私も生き返ったばかりですからどうもこの時代の事を理解できていない節があって・・・」

「・・・ですよねー。パピのやつは妙に世間に対応してるんですけど、どうも感覚が合わないんですよ」
「あー・・・特にあいどるぐるーぷとかって難しくありません?私ったら何時も『おキヌちゃんは趣味が変』なんて言われちゃって・・・」

きゃいきゃい


微笑ましいです。だいぶ目の保養になりました。

横島くんの、冒頭でほぼ残量ゼロまで低下した浪漫ゲージがある程度回復します。


ちなみに何故アシュ様とルシオラさんがここにいるかというと、宇宙の卵内でGSという職業に少なからず興味を持ったアシュ様(葦悠太郎)が、現在この事務所にバイトとして雇われの身となっているからです。

なおルシオラさんについては「私を雇えばオプションでルシオラも付いて来るぞ」「うぉっし、雇ったァ!!二人とも時給ははずんで5000円ね!」「えっ、ちょ・・・アシュ様、聞いてませんよ!!」という経緯でここにいます。

時給5000円・・・どう考えても上級魔族レベルの労働力には値しません。
一般常識ではせいぜいコミックス一巻あたりの横島くんの働き具合に対する給料として妥当なぐらいでしょう。
しかし人間界の金銭感覚には詳しくないアシュ様は「ふっはっは。どうだ少年。お前の初給料の20倍だぞ!!私の交渉術も中々の物だな」と、ご満悦でした・・・。

ですが戸籍も無ければ人間でもない彼らがこうして特技を生かせそうな、しかも人並みの生活を送れそうな仕事を得られたのは、とてもラッキーな事なのでした。
しかも前に秘密基地建設中に見つけたという財宝を全て神魔界に没収された彼らは一文無しでしたので、この仕事は後々考えても、わりといい話であったわけです。


「ところで少年よ」
唐突に、アシュ様が口を開きました。
「何だ、おっさん」
「我々は・・・GSの仕事のバイトをしに来たのではないのかね?数日前からどうもそれという気がしないのだが・・・。
と言うか所長は何処だ?」
また言ってるよ、コイツは・・・と言う顔で横島くんはめんどくさそうに口を開きました。
「だ〜か〜ら〜。おめーのせーで雑魚霊が悪さしないんだよ!だから俺らにも仕事が来ないの!!解かる!?
そして美神さんは寝室でふて寝だ。・・・起こすなよ?俺はやっとさっきの八つ当たりの傷が癒えてきたんだからな」
横島くんはついさっきまで『関節と、その自由度の増加』という新たなる可能性を見出していた己の腕を擦りながら、最高に鬱陶しそうに言いました。


アシュタロス戦役の余波により生まれた霊障の激減は美神除霊事務所から仕事を奪い取っていました。
ようするに、今事務所はとても暇だったのです。

そして事務所の暇と美神のストレスとは比例関係にあります。
さらに彼女のストレスが増加するという事は、必然的に怒りの矛先が横島くんに向かう事も意味します。


よって横島くんは除霊以上に危険な美神の八つ当たりという恐怖を乗り越える事が、最近のお仕事となりつつありました。
「・・・ちくしょー。こんなのあんまりや〜・・・」
ソファーで膝を抱える横島くん。
「よしよし」
その頭をルシオラさんが優しく撫でます。まさに恋人同士。
その光景をおキヌちゃんは指を咥えて眺めていました。
「(いーなー)」

ですがこんなに仲の良い二人でも、美神にシバかれている横島くんをルシオラさんが助けるという事はありません。というか無理でした。

なので、次にそういう状況が出来上がったときに上手く彼を庇う事が出来ればおキヌちゃんにもチャンスはあるように見えますが・・・・やっぱり物理的に無理なのでした。


そんな時・・・


「ごめんくださ〜い」


―――来客です。美神美智恵さんとと美神ひのめさんと思われます。

アシュ様がいると少しだけ無口になる人口幽霊一号さんが事務所の皆にそう伝えました。


「あ〜う〜」


「・・・・」×いっぱい

約五分後、隊長さんはここを去り、事務所には美神の腕の中に抱かれて解読不能の赤ちゃん語を話すひのめが残されました。

美神さんはすっかり忘れていましたが今日は隊長がひのめちゃんを預けに来る日だったのです。


ちなみに隊長は美神パパと久しぶりのデェトだそうで。若々しくて、いいですね〜。
また最近、美神パパはアシュ様のアイディアにより考案された『思』『考』『遮』『断』の文珠を加工したアクセサリを身につけて完全に他人の思考が読めなくなった上に、ついにあのレクター博士がかぶるような鉄仮面から開放されてご機嫌です。
今日も思い切って年を考えずにデジャブーランドなんぞに行ってみるとか。

ですが、あのクールな親父さんですから、そうハメを外す事は無いでしょう。
なので、娘から借りたコブラに乗りながら外で隊長を待っていた美神パパが、


「きゃっほぉ〜〜〜い!!」


とか言いながら赤信号を突っ切りつつ町を暴走して去って行ったのは・・・・きっと幻に違いありません。


一方、事務所になんともいえない空気が滞っておりました。


・・・いや、別にひのめちゃんが問題でなのは無ありません。


問題なのは・・・コイツ。


キラキラキラ・・・・
(ねぇ、抱っこしていい?と言う目でこちらを見つめてくるアシュタロス)


危険危険危険!!


「アシュタロス・・・悪いけどアンタ・・・それだけは出来ないから」
美神さんは庇うようにひのめを抱きしめるとアシュ様にガンを飛ばしました。
姉とあろうものがわざわざ可愛い妹を放射能汚染区域に放り出すよりも危険な目に遭わせるはずがありません。
「ごめんなさいっ!私も賛成できません!!」
こちらもあからさまにひのめを庇うような位置に立つおキヌちゃん。珍しくアクティブです。
「アシュ様、あの子は人間の新生児です!私たち魔族やヨコシマとは違うんですよ!?」
「そうそう、普通の人間は俺みたいに・・・っておい!!」
そしてヨコ×ルシコンビは夫婦漫才を繰り広げました。その仲良さげな態度に約2名の眉がつりあがりましたが、誰も気づきませんでした。

「・・・そうあからさまにしなくてもいいじゃないか。いくら私だって傷つくぞ?」
なんだよ、皆して・・・と言う感じで落ち込むアシュ様。
「私だってなぁ!ゼロ歳児三人も面倒見てたんだぞっ!!すぐ成長するせいで一週間ぐらいだが、わざわざ『ひよ○クラブ』とか買って来て勉強して、ミルクもやったし風呂にも入れたやったんだぞっ!」
そして今度は激しく自己主張し始めました。
どうやらアシュ様、意外と子供好きのようです。

こうまで言われると、横島たちはなぜか彼が不憫に思えてきました。
まず最初に横島くんが口を開きました。
「美神さ「駄目よ。うちの妹を殺す気?」・・・」
が、美神さんに睨まれて2秒とせずに口を閉じました。もはや条件反射レベルまで刷り込まれた自動降伏システムは今日も快調ですね。
「美神さん・・・」
「おキヌちゃんの頼みでも駄目」
ネクストチャレンジャーおキヌちゃんもあえなく轟沈しました。
続いて口を開くのはルシオラさん。
「あの・・・こういうのはどうでしょう?」


一分後。
「いい?アシュタロス。少しでも妙な真似をしてみなさいこの拳銃・・・・は効かないわね。え〜っと・・・・ルシオラと横島くんの同期体をけしかけるわよ?」

『模』の文珠をを使い、アシュタロス並みの耐久力を手に入れた無敵ゼロ歳児ひのめが、ゆっくりとアシュ様腕の中に移されました。

アシュ様はハラハラと見守るギャラリーに囲まれながら、そっとガラス細工を扱うような手つきで彼女を抱き上げます。
「ふっ・・・中々可愛いな。私が保証しよう、将来はきっと美人になるだろう」

そんな事言っちゃってニコニコする彼を見て、美神さんはようやく肩の力を抜きました。
「なんだ、結構普通にお父さんできるじゃない」
「ですねー。意外です」
ほえ〜という顔で子守りをする魔神の図、という最高にレアな光景に見入るおキヌちゃん。

ルシオラさんも「ふーん。あたし達ってああいう風に育てられたんだー」とか思った矢先、うとうとしていたひのめちゃんは自分を抱いているのがイカツイおっさんであるということに始めて気付きます。


「ふ・・・ふぇ・・・」
彼女の顔がくしゃっと歪み、今にも泣き出しそうです。
「おおっと・・・」
ぐずり始めた彼女に少々動揺するアシュ様。しかし育児経験者ならここからが見せ所です。

コミュニケーションを取るなど不可能で、基本的に自己中心的な相手の機嫌を如何に取るか?それが『あやし』における永遠の課題です。

果たしてアシュタロス様に『あやし』が可能なのでしょうか?


「そぉれい、高い高あぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」

ぶぅん!!・・・・どごしゃぁっ!!


まるで弾丸のように打ち上げられるひのめ!
彼女はまるでそれが紙か何かのように天井を軽々と突き破り、結界もぶち抜き、大空へと舞い上がりました。

―――はおっ!?

身体に大穴空けられた人口幽霊一号が声にならない悲鳴を上げます。

そしてひのめは先ほど空けた穴を通り、あまりの事に完全に石化している事務所の皆の下へきっかり8秒後に落下してきました。
アシュ様はそれを優しくキャッチすると

「ふむ、泣き止んだな。流石私、子守りもいちりゅ「ひのめぇぇぇぇぇぇっ!!」
一番先に我に返った美神は残像を残す勢いで妹を奪還。勢いあまって床をローリングしつつ、限界までアシュ様から離れました。そして部下二人に指示を飛ばします。

「キルヒム!!」
ひのめちゃんを抱えながら見せるその表情はまさに鬼。今の彼女の見た目はまるで、他人の子供を殺して自分の息子に喰わせたというあの鬼母神を連想させます。

「・・・了解!!『模』の文珠解除!そして行くぞルシオラ!!」
「・・・うん。わかった!!」
彼女の声で正気に戻ったヨコ×ルシの二人は長年連れ添った夫婦のように頷くと、


『同・期』・・・カッ!


「ちょ、ちょっと待て。私はただ・・・」
どういうわけか明らかに自分と同等レベルの霊力を撒き散らし始めた二人・・・いや、今は一人と言うべきでしょう。ともかくアシュ様はそれを見て、思わず後ずさります。

『問答無用!!』

「ぐあぁぁぁぁっ!?」


人間界史上最強最悪のドメスティックバイオレンスが盛大に行われる側で、美神は放心状態の妹に必死で呼びかけます。
ひのめちゃんはアシュタロスの霊気を纏っていた為に傷一つありませんが精神的なダメージは計り知れませんでした。

「ひのめ、ひのめっ!しっかりしてっ!!」
姉の必死な呼びかけに、ひのめちゃんの目に辛うじて生気が戻ります。

その目はこう仰ってました。


OK、トラウマゲット。

流石だな私。


「妹者ぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
叫ぶ美神さん。


『この、クソ親父!クソ親父!クソ親父!クソ親父!クソ親父!クソ親父!』
「痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」
こっちでも叫ぶアシュ&ヨコ×ルシ。


そしてまたもや大怪我(?)をして悶絶している人口幽霊一号の中で行われる大騒ぎを、ただ見つめる事しかできない元幽霊の娘は・・・


「私は・・・・なんて無力なんだろう・・・?」
己の非力さに涙しました。


おまけ。


『親愛なるアシュ様へ。


なにぶん、このような手紙を書くのは初めてなので、少々お気に触るかもしれませんが、どうぞお許しください。

まず、おめでとうございますと言わせて下さい。
1千年も昔から捕らわれつづけてきた魂の牢獄の苦しみ。アシュ様がこれから抜け出せたと言う事が、私にとってもとても嬉しいです。

そして、大変おこがましい事だとは理解していますが、私はアシュ様が消滅せずに、またこうして現われてくれた事にこの上ない喜びを感じております。

アシュ様の望みは無に還る事だったのに、そしてその願いが叶ったのに、私はアシュ様を無理やりこの世界に戻してしまいました。
でも、そんな悪い私にアシュ様が「気にするな。私もこの際だもう少しこの世に居座ろうと思う」と言ってくださった事は本当に嬉しかったです。

ああ、本当はもっと書きたい事が沢山あるのに頭の中がごちゃごちゃになって却ってかけなくなってしまいました。

最後にもう一つ、今度休みが取れたら会いに行ってもよろしいですか?


また、手紙を書きます。ベスパより』


ふう・・・。


とある夜、魔界軍の寮で、生まれてはじめて書く手紙とやらを書き終え、ほっと一息つくベスパ。
そんな彼女を、珍しく何時もの長風呂を早めに切り上げたルームメイトが偶然発見した。
「あ〜〜〜!ベスパが手紙なんか書いてるぅ〜〜〜!!
ダレダレ?もしかしてコレ?」
ぴんと小指を立てつつ最高にイイ笑顔でわめきたてるサキュバスのサリーちゃん(湯上り)。
突然彼女に声を掛けられたベスパは
「わあっ!」
と叫ぶと素早く手紙の上に覆い被さり
「ば、ばかっ!見るなーーーっ!」

「わおっ。その反応からして図星かなっ!?
『あの硬派なベスパちゃんに彼氏ができた!!』まさに思いもよらぬ衝撃の事実だねっ!」
きゃいきゃいと騒ぎまくるサリー(湯上り)の姿を見て、真っ赤な顔のベスパは頭を抱えた。

この軽い性格がこの軍で爪弾き者だったこの私を、唯一仲間としてみてくれた彼女の良さなんだが・・・。こういう時はもの凄く厄介だな・・・。

「落ち着けサリー。これはな・・・何というか・・・父親に向けて書いている手紙なんだ」
「父親?確かあんたの生みの親って・・・」
ベスパの台詞に可愛らしく首をかしげて疑問符を浮かべるサリー(湯上り)。
「ああ、その通りだ。だがこの間あたしが人界に行った時ふとしたきっかけで蘇ったんだ。
でも魂の牢獄からは外れてるし、霊力も落ちて魔神アシュタロスとはもはや別物さ」
「ふーん。良かったねぇ。生き返って。残念だったでしょ、すぐ帰る羽目になっちゃって」
「・・・うん。しかもアシュ様は数々の罪を犯している。
だから、もしかしたらまた滅びなければならくなるのかもしれない・・・。
今はまだ上の方でもめてるらしいんだけど・・・もしそうなったら・・・」
「・・・」
「・・・」


「次の休暇、早く出るといいね。それとお休み・・・」
「ああ。お休み」
最後にサリー(湯上り)がそう言って、ベスパが答え、二人はそれきり喋らずに、しばらくして寝床へと入っていった。


二人は・・・・


今日アシュタロスがヨコ×ルシの同期体によってメタメタにされた事など知る由も無かった。


「お〜い。ルシオラ、そっちに転がってる私の右足をこっちに投げてくれ」
「ご自分でどうぞっ!(まったく・・・私たちをあんなふうに育ててたなんて)」
「冷たいなあ。もうしないっていってるだろう・・・」


美神除霊事務所は・・・今日も元気。


あとがき

やっちまったと自己嫌悪。
核砂糖プレゼンツ恐怖の壊れワールド第二段です。
どうでした?

とりあえずコメント返しおば


皇 翠輝さん
テンションの維持・・・今の所継続しています。
もちろんぼかぁーやれるとこまでやりますよ〜。
ただ、もし途中で途切れようものなら・・・。ぶるぶる・・・。

だぶるそふとさん
はっはっはっ、さんきゅーべいべー。

RSさん
かけないばかは、ただのばかよ。

眞戸澤さん
逝ってきまぁぁぁぁすっ!!!

柳野雫さん
ベスパさんは不本意ながら魔界に戻っている、パピも同様に妙神山。
そういう設定でした。
真の理由はキャラが多すぎて書けないからだったり

3×3EVILさん
ベスパ達は逃げちゃいません。
この小説のテーマははっちゃけアシュとアシュパパですから・・・。
ニヤリ・・・。

ヴァイゼさん
むしろファイトォォいっぱぁぁあつ!(某栄養ドリンク風に)
てなノリで頑張りますんで。ヨロシク!

偽バルタンさん
いえ、まだだいじょうぶですっ!

涼汰さん
どうも、そう言ってもらえると普通にかなり嬉しいですw

朧霞
はい。この脳みそが腐っているうちは頑張ります!

casaさん
はい。アシュのテンションゲージはもう異常です。
必殺技ぼんぼこ撃っても一向に減りませんw


何故か、完全に一発キャラで終わりそうなサリーちゃんが自分でもツボ(爆)

ちなみにファイヤースターター2に続きます。

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