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「仮面ライダー K 7  (GS+仮面ライダーシリーズ)」

あんでぃ (2005-08-27 16:47)
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 黒い服に身を包んだEvilは、壁の壁画を見ていた。エジプト神話のアヌビス神の絵だ。その足元には3個の髑髏が飾られている。
 部屋の中央には長方形の机が置かれ、六つの席がすえられている。その上座の席に着き部下たちを待つ。
「情報部長官、紗鬼、参りました」
「参謀総長、アルラウネ、参りました」
 二人に少おくれて、大柄な影が入ってくる。黒いレザーの上下に身を包んだ、アフロヘアーの黒人女性だ。服の隙間から、女性らしさを失う寸前の、発達した筋肉が見える。
「陸軍司令官、アンリ、参りました」
 30秒後、宝塚から抜け出したような近代西洋風の軍服を着た、金髪の白人女性が入室する。
「空軍司令官、ビビアン、参りました」
 そこで部下に向き直るEvil。
「メドーサはまだか?」

 仮面ライダー K 第7話 策謀するものたち

「悪いねえ、遅れたよ」
 ぜんぜん悪いと思っていないメドーサ。ちなみにコギャルバージョンのままである。
「貴様!新参者の分際で!」
 激しく非難するするアンリ。
「なんだい?お嬢ちゃん?あたしはもともと客分のはずだよ。あんたたちにいちいち指図される筋合いはないよ」
 見た目ではメドーサのほうが子供なのだが、子供扱いされて悔しそうなアンリ。
 険悪になりそうな雰囲気に割ってはいるEvil。
「それで、遅れた理由は?」
 Evilの組まれた意外に長い足を見て、のどを鳴らすメドーサ。心なしか、顔も赤い。
「ああ、東京湾を偵察してたら、面白いものを見つけたのさ」
「ほう、なにかな」
「あたしと同じ、二度死んだはずの女さ」

 『二度死んだ』メドーサがなぜ生きているか?それは、かつてコスモプロセッサにより蘇ったとされたメドーサが、本物ではなかったからである。
 コスモプロセッサとは、可能性としてありえたかもしれない状態を、宇宙卵を使って再現する機械である。すなわち、あの機械でメドーサが生き返ったように見えたのは、死んだはずのメドーサが、生きていた可能性をシミュレートし、それを再現したのである。このとき記憶も再現されているから、見た目は本物と変わらない。
 すなわち、アシュタロス事件の際、横島にあっさりやられたメドーサは、そうやって作られたレプリカだったのである。
 アシュタロスたちは、メドーサが大気圏突入により行方不明になった際、捜索(目的は救助ではなく、粛清である)を行ったが、発見できなかったので死亡と断定した。しかし、実は海底深く傷を癒しながら潜伏していたのである。
 傷は癒えた。しかしアシュタロス一派は壊滅、残党狩りも激しく、行き場をなくして困っていたところ、Evilが接触してきた。
 かつて、自分に苦杯を何度も飲ませた男である。当然意趣返しをしようとしたが、本能的に自分では勝てないと知った。
 そこで客分という形で身を寄せることにした。いずれ寝首を掻く気満々で。
しかしその伏線として、誘惑して寝たところ返り討ちにあった。溺れさせるつもりが、自分が溺れてしまった。
 今では本当に殺したいのかどうかわからない。
(しかし、いったいどこで房中術なんか、覚えたんだろうねえ、こいつは)
 現在、腐っても竜神ということで、海軍司令官の地位をもらっている。

 議題は現状の問題点から、敵の対策となった。
「いまさらいうまでもありませんが、われわれはほぼ一年前、K抹殺を図り、99%成功というところまで追い詰めました」
 情報が専門の紗鬼が進行を勤める。
「結局負けたわけだ」
 揶揄するメドーサ。一月前から仲間になった自分には関係ない。
「いいえ、痛みわけです。土壇場でKがEvil様の攻撃を増幅して、われわれに反射したのです」
「アー、落陽烈火ってやつか」
「いえ、その元となったものというほうが正しいでしょう。これにより味を占めたのか、Kは以後、この増幅という手段を多用するようになりました。たとえば、この多重魔装術」
 壁の一面がモニターとなり、画像が映る。
 赤木がゆっくりとKの姿になり、<影>の文珠でつくられたKの影との間に火花が走り一体化していく。
「このように通常の魔装術に加え、文珠で新たにつくり出だした影法師と同期合体することにより、自らの力を何十倍に増幅するわけです。おそらく平均6000マイトに達するものと思われます」
「平均で6000か、あたしでも超加速がなきゃ、危ないね」
「さらに、技を体で覚えたとでも言うのか、最近では一部の術を使う際、必ずしも文珠を使わずともよいようです。このような芸当も覚えました」
 画像が変わる。鰐兵鬼が巨大な剣でKに切りかかる。浅い切り傷を何度も受けるK。
 止めとばかり大剣にドス黒いオーラをまとわせ横一文字に振る鰐。その大剣がKのわき腹に食い込むと見えた瞬間。
 ばぐうう!
 大剣が爆発した、爆炎は鰐の腕をも包んだ。ひるむ鰐の眉間に手刀を振り下ろすK。血しぶきがあがるように傷が火を噴く。
「これは、あれね?相手の魔力と接触した一点で増幅を行い、相手の力を暴走させて、ダメージを負わせたわけね」
「そのとおりです」
「まあ、たいしたものと思うけど、乱暴だね。タイミングが狂ったらえらいことになるよ」
「ええ、ですから、初期はこんな失敗もありました」
 画像が変わる。猪兵鬼が鼻から魔力弾を連射しながら突撃する。その魔力弾を文珠をまとわりつかせた右足で受けながら、とび蹴りの体勢で宙をすべるようにKも突っ込む。
「落陽!烈火!」
 大爆発。爆発が収まるとそこには黒焦げになって倒れ伏す赤木の姿が。
 指差して笑うメドーサ。

「ほかにKの能力として警戒すべきは、この狙撃形態による疾風散華です。特殊形態として、ほかには高速形態と強力形態がありますが、こちらはスピードとパワーが強化されるだけで、特に恐れる必要はありません」
「いまのところな」
 Evilが補足する。
「相手の魔力を相殺消去ねえ」
「はい、このようなこともできます」
 浮浪者を人質にする猿兵鬼。かまわず疾風散華を使うスナイパーK。光の本流が浮浪者ごと猿を飲み込む。一瞬で風化するように、光の粒子となって消え去る、猿。浮浪者には傷ひとつない。
「人質を取ってもあまり役に立たない、か」

「最近では、CJの成長も看過できません。あれはもともとわれわれが情報収集のために作ったものですが、予想以上の高性能となったあげく、洗脳に失敗するとは」
 唇をかむ紗鬼。洗脳が成功していたら自分の頼もしい部下になっていたろう。
「CJの能力として警戒すべきは次の二点です。ひとつはその存在感を完全に消すことができること。この力を使われたら、われわれはたとえ目の前に奴がいてもその存在に気づくことはできません」
「まったくだ。そのせいで俺も暗殺されそうになったからな」
 喉をなでるEvil。
「もうひとつは、完全なる変装ができること。ですがもっとも恐るべきは敵の脳を摂取することによりその能力を我が物とすることです。おそらくCJの目的は、Evil様とKの脳を喰らいその力を我が物とすることでしょう」
 モニターにCJの姿がいくつも映し出される。あるものはムササビのように空を飛び、あるものはハリネズミのような針をはやす。あるものは毒ガスを吐き、あるものは亀の甲羅のような盾を構える。
「CJとKは仲間じゃないのかい」
「いえ、CJが一方的にKを利用しているというべきでしょう。KはむしろCJをきらっていますが、情報力で後れを取ることがしばしばなので、いやいや力をあわせているようです」

「美神美智恵はドクター・カオスに武器の開発を依頼したようです」
「あのロボットにはてこずったからねえ」
 香港での戦いを思い出すメドーサ。
「いっそのことあの爺さん、こちらに引き込んだらどうだい?」
「却下」
 メドーサの提案をあっさり却下する。
「何で、あんないいロボット作るのに」
「昔は作れても今は無理だ、まあ、使えるものを作ったら改めて手に入れる算段をつければいいさ」

「オカルトGメン本部ですが応援を出す気はないようです」
「人手不足か」
「それもありますが、実は、日本支部は左遷されたもののポストと見られているようです」
「んな?」
「もともと西条捜査官は日本に左遷されてきたのです。そのため日本支部は」
「ま、まて、なんであいつが、腹は立つが、あいつは有能だぞ」
 珍しくうろたえるEvil。それも西条のために。
「知らずに手を出したようです、上司のこれに」
 小指を立てる紗鬼。
「な、なるほど、いわれてみれば、いくら現地調達が可能といっても部下の一人もいないのは変だし、事務所はあんなところにあるし」
「事務所については、あの場所になったのは警視庁上層部の思惑が絡んでいます。美神令子を牽制してほしかったようです」
「なるほどなるほど、いや、ちょっとまて。あいつ左遷されたようには見えないぞ」
「自分が左遷されるはずはないと思い込んでいるのでは」
 ため息が出る。
「生まれてはじめて、あいつが気の毒になったぞ」

「暁作戦の経過はどうだ?」
「あちらの準備にもう少しかかるようです。こちらの準備は終わっていますが」
「何か問題でも?」
「いえ、いまさら精霊石の市場を支配しても意味がないのではないかと」
「精霊石を独占するだけでも意味がある。それにしても石油の次は精霊石か、まったく欲の深い男だ」

「しかしこうなると御園は惜しいことをしたな。戦闘力でも煩悩エナジー集めでも」
「まったくです。ですがわれわれも一年前と違います。一度に複数の作戦を実行すれば敵も手が回らないに違いありません」
「そうだな、思い切ってやるか」

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