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▽レス始

「加速する未来 第一話(GS)」

かっこう (2005-08-24 04:04/2005-08-24 06:17)
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―─いつのことだろうか。彼の霊能力が開花したのは。
振り返ってみれば、美神の妙神山の修行の時に、その片鱗を見せていたのかもしれない。煩悩によってシンクロした彼のシャドウが加速状態の小竜姫に追いついて見せたことから、彼自身の潜在能力の高さが窺える。それから先の未来、彼が大きく化けたことは多々あれど、その最初のものをというのならばこれだろう。

「GS資格所得試験」

そこで彼は初めて意識的に霊能力を使えるようになり、そして身近なものとの、初めての死別を経験することとなる・・・・・・


その日の横島は、放課後に進路について担任に聞かれた帰りだった。事務所に向かう道すがら、担任との会話を思い返す。

(卒業後はGSになるのか?)
(考えたこともなかったなー。特殊な才能の要る仕事ですし。ま、俺は一生アシスタントっスね!)
(情けないことを笑って言うな・・・・・・! そもそも卒業できるかどうかも怪しいんだったな・・・・・・お前自分の出席日数知っってるか?)
(う・・・・・・しゃあないじゃないですか! 給料が少ないんですよ・・・・・・。)
(おいおい、だったらバイトを変えればいいだけだろうに。)
(それは無理っス! あの胸と尻とフトモモを捨ててくなんてとてもとても!)
(このばか者が!)

相変わらずバイトの目的が不純な奴である。

「GSになれば、ちょっとは給料も増えるのかねぇ・・・・・・」

独立、という選択肢が浮かばない当たり骨の髄までアシスタント根性が染み付いている。そんなことを考えているとふと、知り合いの見た目は美形の少年、中身は700歳越えの吸血鬼と人間のハーフ、つまりはピートのことを思い出した。

「そーいやピートがそろそろ資格試験受けるって言ってたな。ま、あいつは人間じゃないから楽勝だろうが、俺には関係ない話・・・・・・でもねぇけど、俺がやっても受かるわけないしなぁ。」

と、なんとも情け無い台詞を吐きつつ進んでいくと、事務所の前に佇む見知った二人を見つける。

「お! 鬼門じゃねーか!」
「おお横島・・・・・・!」

でかいがたいを黒スーツで包み煙草を吹かす怪しげな二人組み。見た目どこかの組織の人間だが、実は彼ら、前述した妙神山の門番なのだ。影が薄く役立たずと評判の鬼門‘sである。

「実は・・・・・・」

と、横島に話を振るが、「小竜姫さまあああああっ!!」と叫びながら階段を駆け上る彼に見向きもされない。
・・・・・・どうも横島は鬼門を小竜姫のおまけか何かだと思っているようだ。あながち間違ってもいないのが物悲しい。脇役の宿命である。

「あら。横島さん、こんにちは。」

と、二階まで上がってきた横島に挨拶する小竜姫。前と同じミスはしなかったようで、きちんと現代に則した服で来ている。

「お久しぶりです! 小竜姫さまっ! おお・・・・・・! 相変わらずお美しいっ・・・・・!」
「ありがとう♪」
「ぼかぁもー!! 神様と人間の禁断の恋にっ!!」

条件反射で挨拶もそこそこに飛びかかる。すかさず撃墜しようとする美神と小竜姫だが、

「甘いっ!!」
「「何っ!?」」

叫びと共に空中で身を捻り、二人の攻撃を回避する。美神はともかく小竜姫の一撃をかわすあたり、人外の運動能力である。セクハラを繰りかえし散々殴られたせいで、異常なまでの素早さと耐久力を手に入れたのかもしれない。

「ああっ!! そのふくよかではないけど美しい胸に飛び込ませて!!」
「・・・・・・はっ、き、きゃあ〜〜っ!!」

かなり失礼なセリフを吐きながらそのまま飛びかかる。結構本気の一撃を避けられたことに唖然としていた小竜姫だったが、自分の身の危険を察知し、慌てて横島を迎撃しようとする。が、時既に遅く、横島は目の前に迫っており、あわや貞操の危機かと思われた次の瞬間、

「げふぅ!」
「「えっ?」」

小竜姫の目の前で横島の動きが急停止。首に襟が食い込んだまま、ずるずると引きずられていく。

「ぐっ・・・・・・あぁ! 俺のユートピアが遠ざかっていく!!」
「いい加減にしてください!」

今度はお茶を運んできたお盆でごんっと一撃。後頭部のいいところに入ったようで、そのまま崩れ落ちる。

「はぁはぁはぁ・・・・・・」
「ええっと・・・・・・おキヌちゃん・・・・・・よね?」
「はっ! す、すいません美神さん! お茶運んできたのにこぼしちゃいましたぁ。」
「いや、それは別にいいんだけど・・・・・・」
「すぐ淹れてきますね!」

と、落としてしまった容器を拾いつつ、ふちが赤くなったお盆を持ち、ついでとばかりに横島を引きずって奥の扉に消えていく。彼女もなかなかこの事務所に染まってきたようである。喜ばしくはないが。

「「・・・・・・」」

二人がいなくなった後、すっかり静かになってしまう。普段は優しく、事務所唯一の良識派兼癒し系かと思われていた彼女の行動に固まってしまったようだ。戻ってきたおキヌに少々おびえつつ、運ばれてきたお茶で一息。お盆に血がついていないことに気づき、証拠隠滅の気配に背筋に冷たいものを感じるも、話が進まないとばかりに交渉に入る。

「・・・・・・で、依頼なんですけど。」
「え? ・・・・・・ああ、蛇女の邪魔すればいいんだっけ?」
「もう少し言い用がありませんか・・・・・・?」
「まあいいじゃない。ところで報酬は? それさえしっかりしてればなんでもやるわよ。」
「うぅ・・・・・・小判でお願いしますぅ。」
「Ok、交渉成立ね♪」

相変わらず、神様相手に金銭交渉をする。こんな会話を聞いたら唐巣神父が悲しむことであろう。弟子からのストレスでずいぶん髪の毛も減ってしまったらしい。

「いたたたたた・・・・・・ええっと、美神さん。」
「あ、あら、横島クン。戻ってきてたのね。何?」

いつの間にか戻ってきた横島が小竜姫の胸の前から途切れている記憶に首をかしげつつ、問いかける。

「ところでさっきから話してる依頼って何すか?」
「あぁ、まだ言ってなかったわね。実は小竜姫様が今日来たのはウチに依頼があったからなのよ。あんたにもわかるように説明すると・・・・・・」

―─美神の説明によると、前に戦ったメドーサが自分の手駒にGS資格をとらせることで、業界をコントロールしようとするらしいのである。そのために美神をGS試験にもぐりこませ、目ぼしい受験者を探させるようだ。

そこまで話した辺りで、おキヌと世間話をしていた小竜姫が思わぬ提案をする。

「そうだ! 横島さんも受けてみませんか?」
「「え!?」」

見事に唱和する美神と横島。当然だろう。潜在能力が高そうな片鱗は見せたが、あくまで一瞬。覚えていないのも無理はないし、普段の彼はただの荷物持ちで煩悩少年である。

「い・・・・・・いやあ、俺にそんな才能は・・・・・・」
「そーですわ! こんなアホが受かるわけが・・・・・・」
「いいえ。修行場で彼のシャドウ、私に追いついて見せたでしょ? それに二度も私の攻撃をかわしましたし、案外素質があるんじゃないかと思いまして。」
「・・・・・・たしかに動きはすばやいし、しぶといけど、こいつはただの丁稚でスケベ小僧よ? もしなれたら給料倍額にして正式にやとってあげるわ。」
「人をゴキブリみたいに言わんでください! ・・・・・・って、え! 後半部分のセリフは本当ですか!?」

給料倍額に食いつく横島。天竜からもらえるはずの小判を持ってかれ、対エミ&タイガー戦の後でのボーナスも、エミに負けて不機嫌な美神にすごまれてうやむやになってしまった。唐巣神父の様に餓えて倒れるまでではないが、それでもひどい生活水準を引き上げたいのである。学校で将来について聞かれ、自分の将来について考えたことも、彼のやる気に火をつける一因だったのかもしれない。

「ええ、もちろんよ! 主席で合格したら事務所も『美神&横島除霊事務所』に改名してあげるわ!!」
「ええっと、お二人さ〜ん。私はあくまで素質があるんじゃないかといっただけで・・・・・・」
「おっしゃああ!! そのセリフ忘れんでくださいよっ!! ・・・・・・ちなみに主席ってなんスか?」

提案者である小竜姫を無視して盛り上がる二人。思わぬおまけもついてより一層やる気になる横島だが、

(ま、運がよっぽど合格するかもしれないけど、主席は絶対無理ね。万が一決勝に残っても、相手は私だし。私が受験生に負けるなんてありえないわ。それに途中で戦うことになったら・・・・・・身の程を教えてやるわっ!! ぐふふふふふ・・・・・・

などどいう美神の考えを知れば、そのやる気も消え去ったであろう。絶対主席合格できないと確信しつつ餌を出す辺りタチが悪い。よほど自分の考えに浸っているのか、怪しげな笑いが口から漏れているのにも気づかず、トリップし続ける。

「・・・・・・ええっと、横島さん。ちょっといいですか?」
「は、はい? なんスか?」

美神の怪しげな笑いに少々怯えつつも、横島に話しかける小竜姫。何をするのかと思えば、横島の額に呪文を唱えつつ、バンダナ越しに彼の額にキスをする。

「え! 何してるんスか、小竜姫様!? はっ! まさか俺への愛情を込めたキスマークを!? どうせだったら唇に直接どうぞぉぉ!!」
「違いますっ!!」

額へのキスに興奮したのか、ふざけたことを口走りつつ唇を尖らせて小竜姫に飛び掛るが、興奮しきった横島の叫びで現実世界に戻ってきた美神と小竜姫が今度こそ迎撃に成功。そのまま二人がかりで踏みつける。

「これは神通力をこめただけです! 前回のお礼をと殿下に頼まれていたんですっ。・・・・・・これはあなたの眠っている力を引き出してくれると思います。大事にしてくださいね。」
「はい!! 家宝にします!!」
「しなくていいです!! もう・・・・・・ともかく美神さん、後はよろしくお願いしますね・・・・・・」
「えー、まかせて、くださいっ、な!!」
「ぐぎゃぁぁ!!」

踏みつけられている状態から元気に返答する横島に、さらなるスタンピングで黙らせる美神。肩を落としたまま去る小竜姫を横目に見つつ、お仕置を続行する。

「メドーサ・・・・・・! 何をもくろもうが私がいる限り思い通りにはさせません・・・・・・!!」
「おつかれさまでした〜。」
「・・・・・・ふぅ。」

去り際にシリアスに決めようとするものの、おキヌにまで労わられて疲れ果てた小竜姫であった。


──日が沈み、また昇り。様々な思惑を胸にやってきたのは、GS試験会場。
「すんげぇ人の数だなぁ。」
「本当ですね〜。」

周りの怪しげな集団に目を丸くする二人。普通の格好の横島に違和感を覚え、巫女服が普通に見える異世界である。

「受験者数1852名、合格枠は32名。狭き門ってやつね。・・・・・・にしてもずいぶん落ち着いてるじゃない?昨日はあんなに騒いでたのに。」
「美神さんが、一次試験で落ちるから大丈夫だって言ったんじゃないっスか! それにやばくなったらギブアップすればいいって!」
「あ、そうだっけ? ま、ここからは別行動よ! 私が来てるのは秘密にしといてね。」
「横島さんがんばってくださいね〜。」
「おぅ! ばっちり落ちるぜ!」

相変わらず情けない宣言をしつつ、美神と分かれて進む。途中でピートやタイガーと合流しつつ、試験会場へ向かう。試験官の呼び声と共にゾロゾロと会場内へ入る受験者たち。試合になるんじゃないかとびくびくしながら、横島も足元のラインに沿って並ぶ。合図と共に横に並んだピートとタイガーが霊波を放出し始める。

(ええっと、霊波は精神を集中させて・・・・・・なにするんだっけ?)

事前に美神に教わったことも忘れて、周りの霊能力者に驚くばかりだ。

(こりゃここまでだな、俺にゃーこんな力はねーもん。)

やる気の欠片も見せない横島。しかし試験官の勘違いでなかなか落ちない。そんなことは知らないので(早く終わんねーかな)と考えつつぼーと精神集中の真似事をしていると、

(おい!!)
「うわぁ!」

突如頭に響く大声に驚く横島。だれが叫んだのかと辺りを見回すも、周りは必死に集中している受験者ばかりで、だれも声を出した様子ではない。

(聞こえているか!?)
「な、なんだ!? お前誰だよ!」
(今はそれどころではない! 急いで左を見るのだ!)
「ひっ、左?」

言われたとおりに左側を見ると、スリットが過激なチャイナ服を着た美女がいるのを目に捉える。

(どけっ・・・・・・!! どかんか、くそボーズ!!)

その美女の肢体を見たいがために坊主に念じまくる。その煩悩による精神集中によって彼の体からゴゥッと、膨大な霊波が吹き出る!

「13番!! 合格だ! 二次試験会場に向かってくれ!」
「えっ!? ・・・・・・一次審査受かっちゃったの!? 俺が!?」
(当たり前であろう。私がついているのだからな。)
「うぇ! バ、バンダナが喋ってる!?」

ようやく自分のバンダナに目が出て喋っていることに気づく横島。

(私は心眼。小竜姫様の神通力によって生まれた、お前を補助するものだ。)
「心眼・・・・・・?」
(うむ。とりあえず試合が始まるまで少し話をしよう。)
「よ、よしわかった。」

心眼について納得したのか、棚上げしたかはわからないが、言われたとおりにレストランへ向かう。その後ろでは、

「お、おーい。横島クーン?」

と、横島に置いていかれて、寂しげに呟くチャイナ服の美女の姿があったとか。


あとがき。
これだけの文章にかけること19日。かっこうです。
ほぼ原作のままの文章に時間をかけすぎデスネ。原作を文章に起こすというのも、小説を書くのに慣れていない自分だとなかなか練習になるのですが、夢は膨らむばかり。早くバトルシーンへ入りたい限りです。
とりあえず、GS試験につなげられたので、今後は多少スムーズに行く予定です。どうぞご期待のほどを。

ではドキドキのレス返しへ。

>casa様
超加速は話に絡めていきたいと思っているのでご期待ください。タイガー&テレサ編は完全に原作のコピーとなりそうなので、スルーさせてもらいました。期待されていたら申し訳ありません。

>AKI様
初心者なりに、意外な展開を目指してがんばりたいと思います。
ウルトラマンセブ○・・・・・・年代的にグレー○なのでワカリマセンが、似たような展開なんでしょうか?
とりあえず横島が巨大化する予定はないので大丈夫です。

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