清々しい夜明けと共に、新聞配達のおじさんがスーパー・株にのって配達するそんな朝。
を、絶望の底に叩き落す存在。
それは、美神事務所。
本格的にネクロマンサーの修行に身を入れたいといって六道大学院生になったおキヌ。
両親の遺伝子が爆発的に覚醒した横島。 天界・獄界からの要請で上へ下へとその依頼に駆け回っている。
で、残るは所長の令子と居候ズのシロタマ。 軒先を借りている妖精の美鈴。
さて、問題です。 この中で基礎生活技能を持っている存在は?
・・・
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はい、正解は。
誰もいません。
と、言う訳で平成になってから有名になった某番組に出てきた『ゴミマンション』の出来上がりである。
それを少し離れたビルの上から眺める二つの影。
「ほう、これほどとは・・・」
「あの人の頼みです、そろそろ行きましょう」
影はビルから掻き消えるように居なくなった。
玄関から聞こえる頭に響く打撃音に、令子は二日酔いの頭を労わりながらゴミで出来た獣道を、雪中行軍のように掻き分けながら進む。
「新聞なら取らないわよ・・・ 仕事の依頼なら指定したファミレスで待ってて」
と、言いながら扉を開ける。
令子の思考が止まる。
そこに見えるのは、クラッシク・メイド服に身を包んだルシオラ。
視線を下げ足元を見る、確かに足が二本ちゃんとそろっている。 影も有る。
「何を驚いているのかは見当がつきますが。 タダオの頼みでハウスメイドとしてやってきました。
タダオが心配してたのよ、『大丈夫だと思うけどあの人、結構自分が気にしない事に成るとずぼらになるし。 シロやタマモはああ見えても母親の存在って影形薄いから多分出来ないから』、て事で」
ルシオラは言葉を切り外からは見えない室内の状態を見て溜息。
「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ変態ィィィィィィィィィィィィ!!」」
突然、屋根裏部屋からシロとタマモの悲鳴が轟き渡る。
その悲鳴に令子は屋根裏部屋へとゴミを掻き分け駆け上がる。
「シロ・タマモ どうしたの!!」
扉を開けると、美神の部屋よりかはちょっとだけましな部屋の片隅で肩を抱き合い、尻尾を丸めておびえている獣っ子。
!!!
令子も固まる、なぜなら。
角!
紫色の長髪!
鬼が笑う背筋!
無理やり着込んだメイド服
その物体がゆっくりと令子の方向に振り返る。
!!!!!!!!!!!!
そう、その物体は。
「フフフフ、自分の生活環境も維持できないとは、世話の焼けるご主人め!
どう、御奉仕してやろうか。
再び出会えて喜ぶが良いご主人。 我が名は仮面のメイドガイ!『アシュタロス』だ!!! 以後見お知りおけ」
令子は倒れた。
多分続く・・・
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