ここは神界のとある場所。
この場所で神族、魔族の両トップであるキーやんとサっちゃんがある事柄について話し合っていた。
「それで、面白そうな人間を一人貸してくれって言われたんかキーやん」
「はい、それで彼をと思いましてね」
「断る事はできへんかったんか?」
「それも考えはしたんですが、なんせ相手は向こうの世界の創造神ですからね。
私達二人で相手をしても勝算は5割あるかって所ですし…」
「おまけに自分の世界が破壊されても全く気にせえへんしなぁ」
「そういうことです。あまり刺激するのは得策ではないですね。」
「だけどあっちの世界に行って彼は大丈夫なんやろか?」
「う〜ん、まあ悪運は強いですしなんとかなるんじゃないでしょうか?」
「随分適当やなぁ。そんなんでよく神族のトップにおれるもんやなあ」
「……その言葉、そのままお返ししますよ」
「けれど、アシュタロスの時と言いうちらは彼に迷惑かけてばっかりやなぁ…」
「そうですね……なんとかお詫びをしないといけないとは思うんですが……」
来訪者、横島忠夫
「そっち行ったわよ!しっかり決めなさいよ横島君」
「ういいす」
とあるビルの屋上。
GSである美神令子はいつものように助手の横島、おキヌ、シロ、タマモを連れて除霊作業を行っていた。
令子の神通棍の一撃に怯んだ悪霊はその場を逃れるために移動する。がそこには霊波刀を手に纏った横島が回りこんでいた。
「往生せいやああぁ!」
不意を突かれ硬直していた霊を素早く霊波刀で突く。さらにぐりぐりっと傷口をえぐる様に手を動かす。
………!!
悪霊は悲鳴を上げる間も無くその場から消え去ってしまった。
「ふう……」
「よくやったわ横島君」
止めを刺し一息ついた横島に令子が駆け寄ってきた。
「いや〜今の霊の防御力が低くて助かりましたよ」
「なに謙遜してんのよ。あいつ、私の一撃でも大してダメージ受けてなかったのにそれを一撃だなんて、随分やるようになったじゃない」
「そ、そうっすか?」
美神の素直な称賛に少し照れながらも喜びを隠し切れない横島。
「そうよ、この私が誉めてるんだからもっと喜びなさいよ。…そ、そうね、それじゃあご褒美にい、いっしょに食事でも…」
「え?」
「横島さ〜ん!」
「せんせえ〜!」
「終わったみたいね」
「あ、みんな」
「……ちっ…」
別の場所に張っていたキヌ、シロ、タマモも戻ってき、あ〜だこ〜だ言いながらもみんな仲良く事務所へと帰っていった。
「いや〜今日の仕事もぼろかったわ〜」
令子は今日の仕事の書類整理をしながら満面の笑みを浮かべて言う。
「あ〜そりゃ良かったですね」
ソファーの上でごろごろしている横島が令子の独り言に反応する。
「なによその態度。会社が儲かってるんだからもっと喜びなさいよ」
「ど〜せ俺の給料には還元されんでしょうが」
ふてくされた感じに横島が言う。
「そうねえ、この調子で利益が上がるようなら給料アップも考えておいてあげるわよ」
「また適当な事を……どうせならその体で給料アップ分を!!」
言うのが早いか動くのが早いか。
令子に飛び掛る横島。手は何かを握ろうと怪しく動いている。
「こんの馬鹿!!」
「ふげっ!!!」
令子の美しいフォームから繰り出された右フックの直撃を貰った横島は不細工に吹っ飛んでいく。
「ったく、すぐ調子に乗るんだから!とにかく今日はもう仕事は無いからさっさと帰りなさい」
「へ〜い…」
血の海に顔を埋めていた横島がかろうじて令子に返事をした。
事務所からの帰り道、横島は先程の傷などなんのこと?と言いたげなほど無傷な体をしていた。
「くそ〜もうちょっと美神さんのちちを!尻を!ふとももを〜〜〜!!」
どうやら令子に抱きつく事が失敗した事を死ぬほど後悔しているようだ。
「次こそは!……こうなったら文殊を使って……ん?」
ぶつぶつと独り言を続けていた横島だがふと違和感に気がつく。
「な、なんじゃこりゃあ!!」
目の前には半径2メートル程の”闇”が広がっていた。
突然その空間に現れた”闇”はそのまま一気に横島にせまってくる。
「ちょ、ちょっと待て。な!話し合えばお互い分かりあえるさ!」
”闇”は横島の問いかけには反応せずそのまま横島を飲み込んだ。
「うぎゃあああぁ!!」
一瞬。
気がつけばその場には何も無かった。
横島忠夫はこの世界から消え去ってしまった。
「う、う〜ん……っは!」
その場でうずくまっていた横島が目を覚ます。
少しの間固まっていたがやがて正気に返り辺りを見回した。
「な、何があったんだ一体……それにここは…ってげげ!?」
場所は広々とした平原だろうか。
それはいい。さっきまで家に帰る途中だったのに何故こんな所にいるのかわからないのだが
その事に関してはまだいいのだ。問題はそこではない。
「し…死体か?そ、それもこんなに…」
平原には大量の人間がいた。
だがその人間の大勢は血を流して倒れている。いや既に事切れている。
服装を見てみると何やら西洋の鎧らしきものを着ていた。手には槍やら剣も持っている。
「な、なんだこの格好?……ま、まさか!?」
そこで横島は以前にもこのような格好をした連中を見たことがあることを思い出した。
そう、それは令子の能力によって中世のヨーロッパに行ったとき…
「もしかして俺はまたしても過去に来てしまったのかあああ!!」
数少ない情報を元に考えた結果、横島は以前に訪れたことのある過去の世界に来てしまったと判断した。
少し後に彼は気づく事になる。その答えは大外れだという事に。
「なんだあ?まだ生き残りがいやがったのか!」
「え?」
突然、聞こえた男の声に横島は反応し振り返る。
緑を基調とした服の上から銀色の胸当てを着け、更にその上からマントを付けているその男。
横島のイメージにあるファンタジーの世界の戦士そのものであった。
彼は腰につけてある剣を素早く引き抜くとそのまま横島に向けて横なぎに振ろうとした。
「さあお前もさっさと死ね!」
「ひいいぃ堪忍やぁ!堪忍やぁ!」
剣はあっさりとからぶった。
横島は正に一瞬と言える速度で土下座の体勢に移行し男の剣を結果的に回避したのだ。
「………」
「堪忍やあ……」
横島はこれ以上情けないやつはいないのではというぐらい土下座を繰り返していた。
男も振るった剣を鞘に戻し、呆れたように言う。
「お前……もしかして反乱軍のやつらじゃないのか?」
「堪忍やぁ…反乱軍?なんすか、それ?」
男の質問に横島はさらに質問で返す。
「違うのか?だったら一般人か。…いやだったらなんでこんな所に…」
男は横島の言葉に違和感を覚え頭を悩ませる。
「あ、あの〜あなた様はいったいどなたなんですか?」
思いっきり低姿勢で質問をする横島。だが聞いた事が悪かったのだろうか。
男は一気に機嫌を悪くする。
「ああん!?俺様の事を知らんだと?貴様は自分の国の王様の名前すら知らんのか!?」
「ひいぃ!すんませんすんません!よくわからんけどとにかくすんません!」
「……ちっ、まあいい。今日の俺様は機嫌が良い。本当なら男なんぞに名乗る名前等無いが
今日は特別サービスで教えてやろう。ありがたく思えよ?」
「は、はい!」
「俺様はな!超絶美形の英雄にして世界最強の男!!」
そこで一旦言葉を切り両手を腰に添えて胸を思いっきりそらし、そしてはっきりと言う。
「ランス様だ!」
来訪者、横島忠夫(GS美神+鬼畜王ランス)
電波を受信しますた(`・ω・´)
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