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「最悪にも偶然なGS!!第1話(GS)」

R (2005-05-29 19:31)
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「諸君―――重大な問題が発覚した」
横島はいつにもまして真面目な顔で言い放った。


最悪にも偶然なGS!
そのイチ:長者番付に吼えろ!


「重要って―――そんな大事なことなんですか。こんな日に呼び出して・・・」
横島の物言いに、ピートが疑いの目を向けた。それもそのはず、横島が「緊急」と言って人を集めるときは決まってくだらないことが議題なのである。例えば、西条が美神にプレゼントしたとか何とか。
「ピート君、私を信じたまえ」
いつにない重苦しさで、横島が言い含める。その目は本気の目だ。そんな横島に何を言っても無駄と思ったのか、ピートはまあいつもの事なんだろうなーと苦笑しながら引っ込んだ。

ここは唐巣神父の教会だ。
今日は日曜ということもあり、ミサの終わったあとの教会は人気もなく静かだ。古めかしいながらも行き届いた清潔さのある教会は、ステンドグラスから差し込む太陽の光でまばゆく光っている。静謐な雰囲気とはこういうものをいうのだろう。
唯一例外なのは、むさくるしい男たちが雁首そろえてにらみ合っている風景だろうか。
コレばっかりは、どうにもフォローが出来ない。
この教会にいるのは横島、ピート、タイガー、雪之丞、唐巣神父、Dr.カオス―――西条はいない。まあ、いつもの男GSメンバーである。
「それで―――どうして私の教会なんだね、横島君」
苦虫を噛み潰したような顔をして、神父が尋ねる。時折横島が緊急招集と称して人を集めるとき、なぜか必ず唐巣の教会が集会場所なのである。そのおかげか、唐巣とピートもすっかり集会の仲間入りをしていた。
毎度毎度くだらない議論に華を咲かせ、持ち寄ったお菓子やらジュースやらなにやらで教会を汚すだけ汚して帰るメンバーに、唐巣もほとほと困っているのである。まあ、たまには面白い話に華を咲かせたりもするのだが、総合的に見て迷惑この上ない。
「まあいいじゃねえか、神父。集まるにはちょうどいい場所がここしかないんだ」
「そうそう、ワシら居候の身ですケンノー!」
「細かい事いうな。神父じゃろー!」
カオス、雪之丞、タイガーが神父に向かって言い放つ。
いかにも無責任なその言葉に、「だからってなんで私のところに・・・!」と呟く。机の上に無造作に放り出されているジュースとポテトチップチュ特大版とカルルおじさん特大版に目をやって、油取り用の洗剤は残ってたっけと思いをめぐらせつつ、がっくりと肩を落とす神父であった。
「で、小僧。ワシらを呼び出したからにはそれなりの話があるんじゃろうな?あッ!コラッ!ワシのポテチじゃ!」
「うるせーな!じーさんは家でせんべいでもパリってりゃいいんだよ!」
途中までは横島に話しかけていたカオスであったが、途中からは雪之丞とポテチを取り合いに夢中である。その横ではタイガーがカルルをほおばり、ピートは苦笑し、神父は掃除用具を片手にため息をついている。
そんな話をまったく聞いてないメンバーを前に、横島は不敵な笑みをこぼした。
「ふっふっふ・・・聞いて驚いてもらおうか―――君たちを呼び出したのは他でもないッ!この『事実』を確認させたかったからなのだッ!」
バンッと机を叩く音に、騒いでいたメンバーも横島に注目する。横島はまたも不敵な笑みを浮かべ、大声で言い放った。
「諸君ッ!俺があるときふとおもいついた事―――それはッ!」
「そ、それは!!」
なぜか急にシリアス路線になるメンバーたち。その様子に満足するように、横島は大きく息を吸い込み、間を取って叫んだ。
「男GSは金儲けが出来ないって事なんだよ!!」
「な、なんだってー!」
なぜか某キバヤシ調に叫ぶ横島に、お約束的に驚くメンバーであった。


「―――って、何でそういう結論になったんだい?」
ふと我に返ったように、唐巣が尋ねる。どういう経路をたどればそういう結論にたどり着くのやら、とみんなも不思議そうに横島を見つめていた。
「ふっふっふ、この横島せんせーに任せなさい!」
そういうと、横島はどこから持ってきたのか、文字が書かれた模造紙を机の上に広げた。みんなは興味深そうにその模造紙を覗き込む。
「いいか、女性GSの代表は―――美神さん、エミさん、冥子さん、美神さんのおかーさん・・・と数限りない。しかもそのほとんどが長者番付に名を連ねるほどの高給取りだ!で、これが実際の長者番付」
そう言って横島が指を差した場所には、長者番付GS編が載っていた。たしかに、美神やエミの名前が見える。ほかにも一度は聞いたことのあるようなGSの名が連なっていた。
「コレがなんだってんだよ」
さっきカオスとのポテチの取り合いに敗れたのが悔しいのか、多少不機嫌そうに雪之丞が尋ねる。
「よく見てみろ!ここに『無い』ものを!!」
その言葉に、再びメンバーは模造紙を覗き込む。みんなしばらく無言で紙の上に目を走らせていたが、ピートが小さく声を上げた。
「こ、これはッ!」
「そう・・・気づいたかね、ピート君ッ!!」
ビンゴ!とばかりに横島が指を鳴らす。
「どういうことですかいノー?」
タイガー含めたほかのメンバーは、横島とピートを交互に見ては頭の上にはてなマークをつけている。
「ふっふっふ、名前を見れば分かるはずだ。・・・この長者番付には、男のGSの名前がほとんど無いッ!!」
「あ、ああッ!!」
メンバーたちはあんまりな事実に不意によろめく。
このときばっかりは、なぜか横島が大きく見えた。ものすごーくくだらない話なのだが。
「いいか、よく考えてみろ!このメンバーの中で、GSとして多分トップ10に入るくらいの実力の唐巣神父はただのしがない髪の毛の乏しい貧乏神父!カオスのオッサンはヨーロッパの魔王と言われていながら、今じゃただのボケジジイ!雪之丞はマザコンで各地を点々とする流浪の民だし、ピートは村に仕送りするよりされる側の修行の身!タイガーにいたってはただの丁稚奉公!言いたくは無いが、西条は家が金持ちなだけでフツーにみれば給料は一定の公務員!!・・・そして俺は・・・俺は・・・俺は美神さんの奴隷やーーーーッ!!」
「た、確かに」
なんとなくすっきりしない表現があったような気がするものの、横島のあまりにストレートな表現になんとなく納得してしまう駄目なメンバーであった。
よく考えればそうなのだ。GSとしての実力は、唐巣も西条も(一応)カオスも、長者番付に乗っているGSに負けず劣らずなはずなのである。雪之丞もピートもタイガーも横島も、修行中のみではありながら次世代のGSを担う一員になることは確実なのだ。
だが、確かにみんな貧乏なのである。(西条除く)
それというのも、清貧だったりただのボケジジイだったり、流浪人だったり丁稚だったり奴隷だったりするからであって―――みんな、「お金」に縁が無いのである。
よく見れば、GSの長者番付の上から10番目くらいまではみな女性だ。男の名前は―――ずいぶん下にある。
「ワシらが貧乏なのは、実際の社会を反映しとったんじゃなー」
「こうまであからさまだと、なんか悲しくなりますノー」
カオスは苦々しく笑い、しくしくと涙を流して丁稚奉公のタイガーが呟く。
「チッ、くだらないな・・・。だが、それ以上に腹が立つぜ」
その日その日を生きるのに必死な雪之丞も、この現状には腹を立てているらしい。確かに、実力=お金持ちとならない現実は、彼にとってはなかなか厳しいものなのだろう。
「実際目にしてみると、いやはや・・・でも、美神くんは申告漏れがあるんじゃないかなー・・・ははは」
「先生・・・それは禁句なんじゃ・・・」
乾いた笑いを浮かべる唐巣に、ピートが冷静に突っ込む。この教会なら、美神の納税額だけで100軒は建ちそうなものだ。ここまで差があると、ある意味笑うしかない。
横島はというと、自分の境遇の愚痴を延々と叫んでいた。どうも最近のぞきがうまくいかないとかなんとか叫んでいるようである。仮にもここは教会なはずなのだが。
みんながそれぞれになんともいえない感情を抱いて押し黙ったとき、不意に横島が真顔に戻る。
「えー、ゴホン。みんな、現状を理解してもらえたと思う!で、だ―――今日の本題に移ろう。俺が提案するのは・・・コレだッ!」
と、再びどこからか持ち出した模造紙を広げる横島。
それを見たメンバーは、あまりのことに声を失った。そこに書かれていたのは―――男性GS特別編成事務所「YYKTPC」結成!の文字である。
ここにいるメンバーの頭文字を取った事務所の名前。つまり―――
「なるほど、俺たちで事務所を作るって事か・・・」
「研究資金が溜まるなら、ワシも協力してやろうかのぉ」
「意外と面白そうジャノー!」
「へえ・・・修行の一環にはなるかもしれませんね」
と、口々に話しながら、みんな意外と乗り気である。そりゃ、こんな現実を突きつけられたあとなのだから、そんな気分になる事も無理ないといえよう。それに、カオスやタイガー、ピートは横島の商才を知っているのだ。意外と上手く行くのかもしれない、と淡い期待がその場を包んだ。
横島は思った以上に乗り気なメンバーを見て、いつか美神さんの仕事を奪って泣き付いてきたところを俺のものにしちゃるーッ!(注:コレが本題)などと考えつつも、以前のぞかせた商才を存分に発揮してやろうと気合を込めた。
「そーゆうことっ!ここらで女GSに一泡吹かせてやろーじゃないかッ!ビンボー生活とはおさらばだッ!!やるぞー!」
「おーっ!」


とんでもないことになりそうだなーと苦笑いしつつ見守っていた唐巣は、もうすっかりメンバーの一人に入れられていることなど露知らず、盛り上がるメンバーを尻目にさっさと片づけをはじめていたのだった。


――――――――――――――――――
初めまして。Rと申します。
めったに無いGS男性陣主体の話を書いてみようと思い立ち、書かせていただきました。
全5話程度の短編となる予定です。基本はコメディタッチで女性陣もおいおい活躍?予定です。
皆様のレベルには到底及ばないとは思いますが、しばしこの場をお借り仕様と思います。
果たして場違いじゃないかと一抹の不安を抱きつつ・・・

それでは、よろしくお願いします。

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