〜第3斬(後編)〜
キマイラの攻撃!
キマイラは竜の首から炎を吐いた!!
ゴォォォォォォォォォッ!
「じ、冗談じゃないっ!!サイキックシィィルド!!!」
横島は霊波シールドで防いだ!
「ほう…最初の修行が身に付いておるようだな」
感心したふうに武蔵が言う。
ラミアの攻撃!
「させるかぁ!!」
横島のカウンターが発動!
「サイキック猫だまし!!」
パァァァン!!
「!?」
ラミアは直撃を受けた!
1ターン行動不能!
…ターンって何だよ?
ミノタウロスの攻撃!
ミノタウロスは巨大な斧を振りかざした!
「遅い!!」
ミス!
ダメージを与えられない!
「はぁ…はぁ…くっそ〜、そっちがその気ならやってやる!!」
横島の攻撃!
「これでも喰らいやがれ!」
両腕に霊気を集中!それをガトリングガン状に形成した!
「”幻影弾丸”ファントムッリボルバァァァッ!!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!
大量の霊波弾がキマイラ達を襲う!
ばすっ!
キマイラに1000のダメージ!
「ギャウァァッ………!」
キマイラを倒した!
づどむっ!
ラミアに500のダメージ!
「アウァァァァ……」
ラミアを倒した!
ずどんっ!
ミノタウロスに1500のダメージ!
「げげ……マジミノ牛丼野郎だけ死んでない……」
横島が驚く。
これは第一の修行で偶然編み出した初めての「必殺技」だったのだが…
いかんせん大物には威力が分散するだけ効き目が薄い様だ。
ミノタウロスの攻撃!
斧を一閃!!
ブゥン!!グシャ!パリ〜ン!!
「ぐぁぁぁぁっ!?」
横島のシールド破損!
横島は100のダメージを受けた!
「奴に防御など通用せんぞ!しかし南蛮怪物はワシの趣味ではないのだがな……」
武蔵が意外と呑気に呟く。
だからって…日本妖怪軍団との妖怪大戦争も(いろんな意味で)問題なんだが。
「く…ぅ」
血だらけで転がる横島。
ズシン…ズシン…ズシン…
斧を担いでミノタウロスが迫る。
「くっそー…こんな化け物に勝てるかよ」
横島のダメージは深刻な様だ。
だが、武蔵は涼しい顔でこう告げた。
「説明書きによるとだな、ミノタウロスとかいう化け物は…若い女性を襲って子を無理矢理生ませるそうだ」
「な!?」
「そうやって増えてゆく、雄だけの怪物なんだそうだの…だから生贄を差し出して地域を護る事もあったらしい」
「い…生贄!?」
横島の表情が変わった。
「…ざけんじゃねぇぞ、この牛丼野郎」
ぼそっと呟くと、横島はよろよろと立ち上がる。
その体から凄まじい霊気が迸った!
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオ!!
「ほう…やはりな」
武蔵が満足そうに頷く。
「これ以上…てめぇの好きにさせてたまるかよ!!!」
怒れる横島の攻撃!
「誰も…」
ガトリングガンが変形を始める!
「誰も…これ以上…犠牲にさせない…」
それは巨大な二つのドリルに変化した!
「悲しませない!!喰らえぇぇ!!!”幻影突貫”ファントムスマッシャァァァァァッ!!!!」
絶叫しながら、横島は二つの巨大霊波ドリルをミノタウロス目掛けて放った!
ギュィィィィィン!グシャ!グシャッ!
会心の一撃!
ミノタウロスに5000のダメージ!
「もぅぅぅぅ………」
モンスターを倒した!
16800の経験値と5000ゴー○ドを手に入れた!
「思い知ったかド外道が!……つか何で金落とすんやろか………」
その結果に汗ジトの横島。
「さあな」
別に気にしていない武蔵。
「だが良くやった、予想以上の力を見せて貰った」
「ほ…ホントっすか?」
お褒めの言葉に横島の表情が輝く。
だが。
ちゃらららら〜(エンカウント音)
「え?」
タロスが現われた!
テュポーンが現われた!
メデューサが現われた!
「ま…まだ続きマスカ!?」
「当然だ」
「お……鬼〜〜〜〜〜!!」
横島の絶叫が結界内にムナシく響き渡る。
といった展開が半年ほど続いたのだった。
そして…………
「やった………出来た………」
横島が両手に携える物…
そう、ほぼ完全に物質化した伝説の超聖剣「天空丸」と「天地丸」である。
「うむ…これでようやく肝心の「剣技」の修行に入れるな」
武蔵も満足げだ。
「苦節一年……永かった………」
何だか感涙している横島だが……
「何を言っとるか!お前は自分の実力も良く把握しとらん様だな…そこまで行くのに普通何年かかると思う?良くて3年、悪ければ10年経っても修得出来るかどうか解らないのだぞ!」
武蔵が呆れ顔で怒鳴った。
「………さようでございますか…」
いまいち事態が良く飲み込めてない横島クン。
無理も無い。
全く褒められ慣れていない彼には、自分が凄いなんてこれっぽっちも考えた事が無かったのだから。
「時間は残り少ない…今こそお前に伝授しよう、ワシが編み出せし史上最強の剣「真・二天一流」の全てをな」
険しくも、何処となく嬉しそうに宮本武蔵が横島に告げる。
「……お願いします!師匠!!」
横島は力強く答えた。
だが。
「修行はさらに厳しいぞ!」
の言葉が飛ぶと…
「…マジっスか?」
「大マジだ」
「とほほ〜〜〜」
思わず泣きが入る辺りとっても横島くんらしかったりする。
再び激しい修行荒行の日々が始まり………
残りの2年がそれこそ飛ぶように過ぎて行った。
横島の修行最終段階…「剣技」
それは結界内時間最大の「2年」をかけて行われる、最も重要な修行である。
流石に霊力馬鹿食いの二刀ではなく、「栄光の手」の二刀流だが。
「駄目だ!もっと二刀を柔軟に振るえ!」
武蔵の激が飛ぶ。
「は、はい〜〜」
なんだかへろへろの横島。
基本の型から始まり、徐々に高度な技に入っていくのは何処の武術も変わりはしない。
逆に、基本が押さえられないと応用はどーやっても厳しい。
故に武蔵は基本の修得に半年をかけた。
横島も武蔵の厳しい指導に良く耐え、殆ど執念とも言える粘り強さで次々と「技」を身に付けて行ったのだ。
ちゃらららら〜(エンカウント音)
ガニコウ○ルが現れた!
ヒルカメレ○ンが現れた!
イカデビ○が現れた!
「…うげ!?か、怪人!?」
汗ジトで呟く横島。
「うむ…しょっかぁとかいう組織が使っておったそーだが」
武蔵は首を捻り捻り言う。
「訳わかんねっス」
同じく首を傾げる横島。
てなことをしているウチに…
ガニコウモ○の攻撃!
ガニコ○モルは仲間を呼んだ!
さらに未確認生命体第0号が現れた!
クイーンアントロードが現れた!
水のエルが現れた!
「………おい(汗)」
「おまけらしいな」
横島のツッコミにあさっての方向を見ながら武蔵が答えた。
「どないせ〜〜〜〜っちゅーんじゃ〜〜〜〜!!!」
半泣きで絶叫する横島。
どう見てもおまけの方が強そうだぞ?
恐らくはオリジナル程の戦闘能力は所持していないと思われる。
何処からデータを手に入れたか、興味が無いでも無いが。
とまあこんな感じで2年が過ぎて行ったのである。
その間に何処かの山に飛ばされてアンノウンと実戦かましてたりもしたが。
「はぁ…はぁっ…」
横島は森の中を走っていた。
「キシャァァ!」
突然出現するキマイラ。
「落ちろ!!」
そのまま通り抜けざまに「栄光の手」で切り刻む。
今彼は敵だらけの森を疾走していた。
そう、修行の最終試験の真っ最中なのである。
ここを抜けて、最後に待つ敵を二天の剣で倒す。
それが合格の条件だ。
「今までの敵ばっかりだって言ってたし、楽勝楽勝♪」
そら恐ろしい事をのたまいながら、初日苦労していたミノタウロスの首をすかっと落とす。
「纏めて消し飛べ!”幻影弾丸”ファントムリボルバァァァ!!」
ドガガガガガガガガガガガガガガガ!!
直撃を受けたショッ○ー怪人が次々と爆発していく。
恐らく再生怪人なのだろう。
「次はメインより強いおまけか!来やがれ!”幻影烈拳”ファントムブレイカァァァ!!」
唸る霊気の鉄拳!!
てな具合でこれまで戦ってきた敵どもを捌ける様にまで成長していた。
激戦を潜り抜け…
「往生せいやぁぁ!!」
「グォォォォォ…」
ズドドドドン!
森林地帯最後の敵…以前実戦で苦労したアンノウン「トータスロード」を砕き散らした人外最終兵器彼氏こと横島は…
遂に森を抜けた。
「こいつで最後って事は…そろそろボスか、何だろうな?」
油断無く森の外…海岸地帯を歩く横島。
砂浜の向こうに誰かが立っている。
「良く来たな、我が弟子よ」
「え?」
そう、そこに立っていたのは…
宮本武蔵その人だった。
「ま…マジっスか?」
唖然として聞く横島。
「ワシを越えんで、何故免許皆伝が与えられるのだ?」
武蔵は腕組みして答える。
(げげ…洒落になんねぇぞ?相手は無敵無敗の伝説巨人…じゃない剣豪だってのに…)
流石の横島でもこれは腰が引ける。
「横島、今まで修行してきた己の力を信じよ!全てを込めて最終奥義を解き放つのだ!!」
すらりと二刀を抜きながら武蔵が叫ぶ。
「…そうは言うけど…」
師に剣を向けるのは…横島には躊躇われた。
「何を弱気になっとる!ワシを越えねばお前に未来などない!ここで斬り捨ててくれるわ!!」
そう言うや否や、武蔵は二刀を構えて突っ込んでくる。
「くぅ!やるしかないのかよ!!」
横島の甲に浮かぶ光!
右手の甲に蒼い「天」の字が!
左手の甲に紅い「地」の字が!
「うぉぉぉぉ!出ろ!俺の最強の”牙”よォォ!!天空丸ゥゥゥ!!!」
バシュゥゥゥン!
掲げた右手に降臨する超聖剣「天空丸」!
放たれる霊気は凄まじく、常に蒼いオーラが立ち昇っていた。
「天地丸ゥゥゥ!!!」
バシュゥゥン!
差し出した左手に超聖剣「天地丸」が出現する!
こちらは濃厚な紅いオーラが発せられていた。
「はぁぁぁあ!!」
ピシャァァァアン!!!
交差した二刀から、壮絶な霊気が稲妻と化して迸る!
グワキィィィン!
二刀と二刀が激しくぶつかりあう!
が。
ガキィン!
弾かれたのは…武蔵の方だった。
「くぅ…流石に伝説の剣よの、威力では話にならんか」
再び構えながら呟く武蔵。
(俺が今師匠に勝っているのは…剣のパワーだけ…長期戦は絶対不利!一気にやるしかない!)
「ハァァァァァァア!!!!」
横島は全身の霊気を二刀に集中してゆく!
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
鳴動を始める大地!
「うぉ…結界が振動しとる…横島の霊気、やはりワシが見た通り強大!」
武蔵の噛み締めた奥歯がぎりりと鳴った。
最も、霊体である筈だからして…気分だけであろうが。
「だが、手は抜かん!むぅぅぅぅ!」
武蔵も剣に意識を集中してゆく。
そして…
「行くぜ師匠!!吠えろ!我を守護せし龍よぉぉ!真・二天一流最終奥義!!天牙ッ九頭龍剣!!!!」
「来い!真・二天一流最終奥義!!天牙九頭龍剣!!!!」
最終奥義「天牙九頭龍剣」とは?
二刀で同時&瞬時に九回斬り付ける(右で5回左で4回)奥義で、かわすのも見切るのも防ぐのも不可能な究極技である。
人狼族に伝わる伝説の妖刀「八房」より何気に一回多い所がミソか?
だが。
「何だと!?」
技を放ちかけた武蔵が驚きに絶叫する。
何故なら…
「どりゃぁぁぁぁぁぁあああ!!」
横島が武蔵に放ったのは、光り輝く九匹の龍だったからだ。
「うおぉぉぉぉぉぉお!?」
チュドドドドドドドォォォォォォォオオン!!!
大爆発。
南無。
「ししょぉぉぉぉぉぉ!?」
二刀を消した横島が、ふらふらになりながらも爆心地に走り出す。
慌てて居るのは、まさかあっさりと勝つとは思わなかったからだ。
もうもうと立ち昇る煙の中から…
無傷の武蔵が姿を現した。
最も、どでかいクレーターの中心にちょこんとだが。
「うぉ!?無傷!?」
全霊力を使って放った一撃である、消し飛んでいてもおかしくないのであるが。
「…見事也、というか…奥義全然違うぞ横島」
呆れたよーな顔をして武蔵が言う。
「ありゃ?」
ちなみに、武蔵はそもそもあの場所にはいなかった。
いわゆる「立体映像」
バーチャルという奴である。
横島の全力攻撃がどの程度か読めなかったというのが理由の一つであるが…
切実な理由がもう1つあった。
それは後で語るとして…
「そもそも何であんな技になるのだ!?」
「いや〜…なんか色々工夫してたら出来ちゃってたんス」
あはははは〜っと頭を掻く横島。
(出来ちゃった…だと?あの様な想像を絶する威力の技がか!?)
武蔵は内心驚愕していた。
まさか自分の教えた技を、霊力をミックスしてあんな技へと変化させるとは思ってもみなかったからであるが。
「…不合格っスか?」
横島は心配そうに師匠を見上げる。
身長は武蔵の方が少し高い。
「そういえば…お主は妖怪払いの拝み屋になりたいのだったかな?」
「ええ…まあまだ完全に決めた訳じゃないんスけど」
弟子の言葉に考え込む師匠。
(対妖怪向きの最終奥義か…悪くは無い、奥義の方も応用で変わろう…)
心の中でニヤリと笑うと、武蔵は重々しくこう告げた。
「よろしい、免許皆伝だ」
次の朝、前日の疲れからか…横島の起床は遅かった。
「…ふぁあ…昨日はキツかったなぁ…霊力空っぽだもんなぁ、配分がなっとらん!って叱られたけど…とほほ」
などどぼやきながら、寝泊まりしている小屋から出る横島。
「……!」
小屋の外に武蔵が立っていた。
しかも半分くらいは姿が消えている。
「間に合ったな…横島」
「師匠!?これは……」
横島は驚きの叫びをあげた。
「時が来たのだ…ワシの時間が尽きる時が」
武蔵の姿はゆっくりと消滅しつつある。
彼は成仏の時が近付くに従って、霊的存在として希薄になってきていた。
最早横島との実戦も叶わぬほどに。
それを気取られぬ為の立体映像でもあったのだ。
「時って……待って欲しいッス!俺は師匠にまだまだ教えて貰いたい事が一杯あるんだ!」
「…ワシが教えられる事などもう無い…お前はもう免許皆伝だと言っただろう?」
武蔵は感慨深げに言う。
「………でも!!」
「横島よ、ワシは満足している…お前という最強の後継者を得て…全てを伝授出来た事…「真・二天一流」が滅びずに済んだという事がな…」
しみじみと告げる武蔵。
初めはかなり頼りなさげな印象を受けた。
だが、瞳に宿る決意は本物。
素質は未知数。
正直言ってそれほど期待はしていなかった。
だが…まさかここまで化ける事になろうとは。
(全く…底が見えぬ漢よ、まだまだ大きくなるのだろうなぁ…)
彼は、涙を流しながら茫然と立っている弟子を満足そうに見る。
「…師匠……あれ……おかしいな……涙なんて…「蛍」の時に全部流し尽くしたと思ったのに………!」
自分の頬を伝う熱い涙を拭おうともせず、横島は立ち尽くしている。
「横島……これでワシも安心して眠れる…さらば…我が最初にして最後の弟子よ…!」
武蔵の姿が更に薄れて行く!
「し………師匠ぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
横島は絶叫し、消え逝かんとする師の元に走った。
”忘れるな…横島、二天の志は常にお前と共にある事を”
走る横島の手が触れる寸前、伝説の剣豪「宮本武蔵」は完全にその姿を消した。
「師匠………ああ……絶対に忘れない」
呟く横島の周囲の風景が次第に変わっていく…
そう、現実空間に戻って来たのだ。
気が付けば、元の海岸。
「ありがとう…師匠」
朝日が昇る空を見上げる横島。
その顔はもう立派な「漢」であった。
「………終わったか」
その様子を見ていたヒュウガは少しだけ安堵の表情を見せる。
「さらば…偉大なる剣豪よ」
横島が見上げた同じ空を、黒き死の戦士もゆっくりと見上げた。
新しい一日がまた始まる。
〜次回に続く〜
やっと修行編、完結しました。
それでは前回のレス返しです。
アガレス様>
共闘は色々考えてますが、ちょっと後になるかも知れません。
casa様>
あれも確かにイジメっぽいですが、天馬星座の師匠のほうがいじめっ子っぽい性格じゃないですか?w
大学のはただの真似っ子さんです(苦笑)
ATK51様>
龍音ですが…登場が微妙になってきました(おい)なんだか壮絶な戦いになる予感がひしひしと致しますので…
修行はもっとボリュームアップしたかったんですが、無理でした(汗)
鋏が武器といえば某ーボボのアレしか思いつきませんでしたw
それでは次回でお逢いしましょ〜でわでわ〜〜
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