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「世界はそこにあるか  プロローグ(GS)」

仁成 (2005-04-26 11:46/2005-04-26 17:34)
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漆黒の闇の中


魔法陣の中心には一人の青年がたたずんでいた。


先に起こった大戦

俗に核ジャック事件とも、
アシュタロス戦役とも呼ばれる事象における英雄。


魔神殺しの文殊使い


横島忠夫がそこにいた。


世界はそこにあるか  プロローグ


「ほんまにええんか? 今やったらまだ止められるで」

「ええ。私たちにこれを強制する意思はありません」

神魔界の最高指導者、サっちゃんとキーやんである。

「おいおい、いまさら何言ってんだよ。あんた等から言い始めたことだろ。ご褒美とお詫びだって」

横島が答える。

「それにあんたらにもいろいろ事情があるんだろ? この前の説明ではいろいろ誤魔化されたけどさ。そうでなきゃいくらご褒美だからって、時間移動、それも直接同一世界の過去になんか送るわけないからな。ん? おにーさんに言ってごらん?」


茶化すような物言い。

だがこれを聞いて最高指導者二人は、驚きの顔を浮かべるとともに深いため息をついた。
貴方の何百倍生きてると思ってるんですか、なんていうべたなツッコミもしない。

「はー……あんたときどきほんま凄いな。それでこそこの世界を託せるってもんやけど」

「で、どうします。今の状況を聞きますか? 聞いておいたほうが何かと有利だとは思いますけど」

横島は腕を組んで少し考える。

「んー……いいや。すべてを知ってるっていうのも面白くないしな。それに全部が全部あんた等の思い通りに進むっていうのも癪だし」

そう言うと横島はシニカルな笑みを浮かべる。

それ聞いて最高指導者二人は、顔を見合わせて苦笑した。

「ほんまにすまん。でもこっちが横っちに対して感謝の気持ちや、贖罪の気持ちを持ってるっていうんはほんまやねん」

「それについて黙っていたのも、貴方の純粋な気持ちで決意してもらいたかったからなんです。ですが貴方に対して謝ることが一つ増えただけのようですね。本当に申し訳ありません」

二人が頭を下げる。

今度は横島が苦笑する。
今の彼にとって二人に対して同情や憐憫の念はあれど、怨みや怒りの念はまったくなかった。

「いいって。俺は俺の意思でここにいるんだからさ。まっ、確かに昔はいろいろ考えることがあったけどな」

彼の瞳に一瞬深い悲しみが宿る。

「そんなことより時間無いんだろ? ちゃっちゃとしようぜ。ちゃっちゃと」


三人の視線が交わる。


そして最高指導者二人が頷いたときには、
もう、横島忠夫の姿はなかった。


「行きましたね……」

「そやな」

「アシュタロスの死による均衡の崩壊。デタントの崩壊」

「分かってたんやけどな。こうなるやろうってことは。つまり‘運命と分かってて超えられない運命’っていうことか」

「そうですね。ですが今はまだ世界は平和そのものです。それまでに彼を送り出せただけでも良しとしましょう。あと何時間、いや何分持つか分かりませんが。彼がこれ以上悲しむのは見たくありませんから」

「はー……力ないなーわしら。≪明けの明星≫なんて言われててもこんなもんや。横っちにやってしまおか」

「そんなもの、彼は欲しがらないでしょう。それより彼女たちです」

「そしてそれが終わった後は、わしらにできる最後の作業やな。それでしまいや」

「ええ。後は彼に託しましょう」

「頼むで、横っち」

「頼みます」


変わるもの、変えるもの、変えられるもの

すべては御都合主義の予定調和

無茶苦茶な物語


未来

運命

過去


シュレジンガーの猫は死ななかったのか否か

何がそこにあるのか

そこに世界はあるのか


因果律の果ての終焉<トリガーハッピーエンド>

『物語』は――


あとがき

最近GS美神の二次創作に出会い、逆行というジャンルに強い衝撃(少し言い過ぎかな)を受け自分でも書いてみることにしました。

あんまり量を読んでないんですが、なるべくありきたりにならないように気を付けたいと思います。(逆行っていうテーマ自体ありきたりみたいだけど)

プロローグなんであまり長くはありませんが、読んでくれてありがとうございます。

では。

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