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「彼の元に栄光を 第3話(GS)」

ちるちる (2005-04-07 00:46)
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オカルトGメンの事務所を出てきた横島は、入り口で立ち止まり考え事に没頭し始めた。

(知識…か。確かに正論だよな、けど知識って事は勉強だろ?
勉強か〜、こう何というか、なぁ。俺には向かなさそうなんだけど、どうすっかな〜)

「おや、横島君。どうしたんだい? そんな所で馬鹿面下げて立っていたら迷惑じゃないか」

考え事をしている横島の元へ、西条が近づいてきた。
仕事先から戻ってきたのだろう、スーツ姿である。

「ん、ああ西条か。 っく、この際こいつに聞いてみるか。
なぁ、西条ちょっといいか?」

悔しそうに顔を歪めながら西条に問い掛ける。

「聞こえているぞ。まったく、それが人に物を頼む態度か。
それで、どうした?」
「さっき隊長に“強さ”って何か相談しに行ったんだけどよ、お前ならどう考える?」
「また、君らしからぬ質問だね。とうとう、頭がボケた、ってわけでも無さそうだね。
ふむ、僕の場合は正義を示す力、かな。
自分が正しい、と思った事を貫き通す為の手段ともいえるね。
それにしても、急にどうしたんだい?」
「いや、強くなりたいって思ってな」

顎に手を当てながら答える西条。
西条の前半の台詞に反応する事も無く、真面目に答える横島。

(ふむ、横島君がこうまで悩んでいるとはね。やはり彼女が原因…いや、彼女のおかげで、というべきかな。
人生の先輩として、後輩を導くは当然のことだね、ここは真面目に答えてやるとしようか)
「横島君、とりあえず中に入ろう」

西条は横島を促して、事務所のロビーで話を再開する。

「とりあえず、まずは何故強くなりたいのか、それをしっかり考える事だ。
ちゃんと、理由はあるのだろう?」
「ああ、俺がもっと強かったら、ルシオラを助けられたんじゃないか、って。
どうしても考えちまうんだよ。今更意味の無い事だってのは自分でも分かっているのにな」

横島の答えに、“やっぱり”という顔をする西条。
先程、自販機で買ったコーヒーを一口飲み、言葉を返す。

「それは、自惚れだよ。君一人が強くてもどうこう出来た問題じゃないだろう。
寧ろ、あの選択をさせた僕たち大人こそが責任を負うべき存在であると思うがね。
まぁ、それは置いといて、それだけじゃないだろう?」
「ああ、それだけなら問題ないんだけどな、俺は…な、怖いんだよ。
GSの仕事は常に死と隣り合わせだろう?
ルシオラみたいに、美神さんや、おキヌちゃん、冥子ちゃん、エミさん、魔鈴さん。
皆が殺されるかもしれないって考えると」

横島の台詞に男の名前が出てこないのは、やはり腐っても横島なのだからだろう。
その考えは、ある種当然の結果とも言える。
あの戦いで、横島は初めて身近の者の死を感じた。
ずっと、一緒に居れると思っていた、幸せが永遠に続くと思っていたのだから。
それが壊されるなんて、思ってもいなかった。
普通の人間ならば、誰しもが無意識に持っている考えである。
それが、ルシオラの死で見せ付けられたのだ。
ふとした切欠でそれが壊されるという事を。
横島は自覚していないであろうが、トラウマとなっているのだ。

「確かに、その通りではあるね。それで、皆を守れるだけの力が欲しい、とか?」
「ああ。だから、強くなりたい」

横島の台詞に、西条はつまらない物を見るような表情をする。

「はぁ、何度も言うようだけど、自惚れるのも大概にしたまえ」
「俺が、自惚れているだって!?」

西条の言葉を腹を立てたのか、声を荒立てる横島。
横島の雰囲気が硬くなって行く中、西条は涼しげな顔をして、受け流す。

「自覚が無いのかい? やれやれ、重傷だね。
それとも、「俺は、あのアシュタロスを倒したんだぞ」とでも、言うつもりかい?
もしくは「俺は、人界唯一の文殊使いなんだぞ」とか?
それこそ、冗談はよしてくれたまえ」
「っく! な、なにを…」

自覚していなくとも、少なからず考えていたのだろう。
図星を指されたのか、横島は言葉を詰まらせる。

「君が居なければ勝てなかったのは事実だが、君だけでは必ず死んでいただろう。
っと、話を元に戻そう。
 そもそも、君はまだまだ未熟なんだ。確かに、戦闘においてはかなり強いだろうね。判断力もある程度はある、僕から見れば甘いとしかいえないが。
でも、それだけだ。他に何が出来るわけでもなし、知識が無ければ、経験も少ない。
君に出来る事は、力押しだけ。
そんな君が、君より遥かに、判断力も知識も経験も優れている皆を守りたいだって?
これを自惚れと言わなくて、なんと言うんだい?」
「そ、それは…」

西条の辛辣な台詞が、棘の如く横島に突き刺さっていく。
刺されている横島はたまったもんじゃ無いだろう。
守りたいと思っている存在よりも、自分が格下なのだと知らされていくのだから。
横島は、まともに西条の顔を見る事が出来ず、どんどん項垂れていく。

「だから、まず君は彼女達の隣に立てる様に成りたまえ」
「え?」
「彼女達を守るんじゃなくて、共に闘い、お互いサポートしあえる事を
第一の目標として目指したまえ」

西条の最後の台詞に咄嗟に顔を上げる横島。
横島はその言葉を反芻するかのように何度も呟くと、多少迷いが晴れたのか付き物が落ちたように、表情がさっぱりとしていた。

「サンキュー、西条。正直助かった、けどあれだな、お前に教えられるとは非常に悔しい。こう、何か、ぐつぐつとした物が煮えたぎるような」
「はっはっは。大いに感謝したまえ横島君。
さし当てって、玲子ちゃんを僕に任せる事でチャラにしてやろう」
「ぬかせ、この道楽公務員が」

この日、久しぶりに横島の表情が実に晴々としていた。


後書いてみる


あ〜、スンマセン。
一週間いじょう間が空きましたね。
仕事が忙しくて、書いている暇が無いんですよ。
言い訳ですね、はい。頑張ります。

なんか、西条が実にいい人っぽく成っちゃいました。
何ででしょうね?

ではでは、また次話でお会いしませう。

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