「隊長、“強さ”って何ですか?」
横島は美智恵に、そう質問した。
ある種、究極の問いかけと言える。
「唐突ね、横島君。
そうね、あえて言うのなら、答えなんて物は無いのかも知れないわね。
横島君は、権力に興味ある?」
「権力っすか? 総理大臣とかの?」
紅茶で喉を潤しながら答え、少し考えたあと首を横に振る。
「まぁ、君ならそう答えるでしょう。でも、権力を持つ事、これも一つの強さではあるわ。
己の采配で、数十から数百、時には数千から数万の人間を動かすことが出来る。
それって、怖い事だと思わない? その人を敵に回すと、数万が敵に回るんだから。まぁ、極端な例ではあるけど」
「確かに、そう考えると怖いものがありますね。でも、俺には縁の無い話っすから」
横島の返答に、美智恵は苦笑する。
彼は己の事を分かっていない、彼がその気になればGS界に置いて将来かなりの権限を持つことが可能だろう。それ相応の努力は必要ではあるが。
横島には、人―この際、人外もだが―を引き付ける魅力がある。
カリスマとも言えるかもしれない。
似合わないと言えば似合わないわね。
美智恵はそんな事を思う。
「そうじゃくなくてっすね、権力云々は置いといて、霊的戦闘に置いての強さを知りたいんです」
「霊的戦闘での? そうね、令子や先生、それに西条君なんかも強いと言えるわ」
「美神さんが強いのは分かりますって、けど唐巣神父はあまり強いようには見えないんですけど。西条は、どうでもいいや」
横島は西条の名を聞いて露骨に顔を顰める。
「なら令子が何故強いか分かるかしら?」
「えっと、霊力が高い、から?」
「10点ね。それに霊力で言えば横島君の方が令子よりも高いわ」
美智恵は横島に厳しい点をつける。
「俺がっすか!?」
「そうよ。とりあえず、それは置いときましょ。
令子たちが強いと言えるのは、霊に対して深い知識があるからよ。
他にも、的確な判断が出来る事、実戦経験が豊富な事、それに基づいた戦闘の上手さ。心の強さもあるわね。それぞれ欠点もあるけどね」
美智恵は指を一本ずつ立てて行きながら教える。
「なるほど、確かに今までも、美神さんの指示に従えば上手く行きました」
横島は美智恵の答えに頷きながらこれまでの事を思い返す。
「霊に対する知識、これを持っているだけでもかなり違ってくるわよ。
実戦経験は除霊をこなして行くしかないけど、戦闘センスはそれこそ千差万別ね」
知識は増やせばいい、判断力は実戦を経験して行けば身に付くであろう。
だが、戦闘センスだけはアドバイス出来る物ではない。
近距離、中距離、遠距離それぞれで闘い方が変われば、それこそ使用する武器の違いもある。
ましてや、横島は唯一の文殊使い。闘い方は誰にも真似出来る物ではない。
美智恵は一通り話し終えた後、一息ついて纏めに入る。
「とりあえず、言葉として表せるものはこんなものかしら? 私の考えではだけどね。
でもね横島君、これだけでは駄目よ。
今のは、あくまでも戦闘に置いての強さでしかないわ。
身につけた力を考えなしに振るうのはただの暴力よ。
最終的には、何を求めるかによるわ。
何を求めてその力を振るうのか、それをしっかり考えなくては駄目よ。
横島君、今はしっかりと悩みなさい。
悩んで、悩んで、自分だけの強さというものを見つけなさい」
美智恵はそう結論付ける。
結局、答えを教えたわけではない、寧ろ答えなどは存在しないとも言える。
美智恵に出来る事は、方向性を示す事だけ。
その力を、正しき方向へと向かわせる事だけである。
「隊長、ありがとうございます、少し分かった気がします」
「また、何か会ったらいらっしゃい」
横島は美智恵に頭を下げて、署長室から退室して行った。
「ふぅ、強さ…か。横島君があんな事を聞いてくるなんてね。
成長しているという事かしら」
美智恵は苦い顔をする。
横島が成長したかどうかは、分からないが、変わったというのは確かである。
寧ろ、変わらない方がどうかしているとも言えるだろう。
どれだけ偉業を成し遂げた所で、彼は所詮は17歳の少年なのだ。
ましてや、数ヶ月前までは、霊力の“れ”の字も知らない一般人なのだから。
「ごめんなさい」
美智恵はソファーに座り、俯いたまま誰ともなしに呟く。
それは懺悔しているかの様であった。
後書いてみる
自分で話し振っといてなんだけど、難しいです。
強さ、ん~私の頭ではこんな考えしか思いつかない。
皆様はどんな考えをお持ちなのでしょうかね。
誤字が多くてスンマセン!
閑話休題
ども、皆様レスありがとうございます。
>kureさん
酔いですか~。自分ではそんな事を考えていたつもりではないですけど、やっぱ読み手によって捕らえ方が違ってきますね。
ひとえに私の力量不足なんですけどね。
精進したいところです。
>不動さん
強さの答えってのは難しいですね~。
ネタにしやすいんだけど、結論に達し難い。
がんばってみますので、見捨てずに読んでくださると、嬉しいです。
>wataさん
私のSSを面白いと言ってくれるとは、ありがとうございます。
期待してくれるとは、さらに感謝!
がんばります。
>直輝さん
ども、ありがとうございます。
十人十色の答え、そうなんですよね、ちと難しいです。
自分の頭では、あんな感じになりつつ、先を考えるという形です。
見(読?)守って下さると嬉しいです。
>飛竜のしっぽさん
誤字の多さすんません。
強さをあえて、言葉にしたのがあんな感じです。
霊的戦闘においてですけど。
チープな答えな気がしないでもないですけどね。
期待を裏切らないようにがんばります。
>Mayさん
面白いと言って頂き、ありがとうです。
続編を期待までして頂くとは、プレッシャーがかかりますね。
がんばります。
>レイジさん
私が無知なのでしょうか? マハトマガンジー、マザーテレサ………誰?
名前を聞いた事があるような無いような。
…それはさて置き、横島の強さ、これを目指しつつ、上手く話を掛けていけたらいいと思います。
では、皆様、第3話で。
>NEXT