ＧＳ横島忠夫の除霊日記 その１の２
「ここです」
おキヌが指差した扉には『超常現象研究部』と真新しい
プレートが掲げてある。
「じゃあ、入りましょ」
そう言いながらノックをしドアを開けるおキヌ
「遅くなりました、横島さんをお連れしました」
「遅れてすんまへ〜ん」
「失礼しま〜す」
おキヌに案内されて入った部屋は、２０畳程の広さがあった
廊下側に窓は無く、壁には防音壁が使われている、入り口は
横島達が入ってきたドア１つのようだ。
部屋の中には、男性２人、女性２人がいる、すでに準備が
整っているのか、部屋の中央で話し込んでいたようだが
こちらに気付いて男が１人、近付いてきた。
「お待ちしてましたよ、横島さんでしたっけ？」
「ええ、横島忠夫です」
「僕は東條 芳輝（とうじょうよしてる）です、こちらの女性は？」
「ん、・・ああ妹のタマモです、単なる付き添いですんで
気にしないでください」
東條と名乗った男はやたらと高そうなスーツと
ネクタイをしている、背は１８０を超えているだろう、ブローチ
のようなタイピンは精霊石のようだ、所々色を抜きメッシュにした髪に
眼鏡を掛け、白い歯を覗かせてスマイル全開だ。
「そうですか、それじゃあ早速始めますんで、氷室クン、部屋に結界を
張るから手伝ってもらえるかな？」
「わかりました」
「お２人はこちらへ、椅子にでも座って待っていてください」
横島とタマモは、部屋の隅に立て掛けてあったパイプ椅子に
腰掛け、東條達が結界を張っているのを眺めている。
「なあタマモ」
「なに？」
「あの東條って奴、どう思う？」
「んー、・・・・見た目は良いわね」
「いや、そうじゃなくて・・・」
「じゃあなによ？」
「・・・なんかさ、西条に似てないか？・・・・・」
「・・・・そうね、気障な所はそっくりね」
「・・・・それで、時々こっち見てるけど・・・・タマモに惚れたか？」
「違うわね、私じゃなくてよこしまを見てるもん」
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「・・・・・・・・・・・・・・帰っていいか？」
「心配しなくても、あれはあんたを値踏みしてる目よ」
「値踏み？なんでだ？」
「さあ？そこまでは分からないわよ」
「「なにをコソコソと話しておられるのですか？」」
結界を張り終えたのか、２人の女性が横島の前に来ていた
２人とも同じ顔、同じ服装をしている、双子だろう、髪がロング
ショートの違いだけだ。
「いやいや別に、それよりも始めるんですか？」
「ええ、すぐに終わりますんで、そこで見ていて下さい！」
そう言ったのは東條だ、部屋の中央に立ち、サーベルを
帯剣している、霊刀だろう、相変わらずスマイル全開だが
危ない笑顔になっている。
「氷室クン！準備はいいかい？」
「は、・・・はいできてますけど・・・」
「良し！それじゃあ始め「ちょっと待ったーーーー！！！」・・・なんだい
横島君！邪魔をしないでくれたまえ！！」
東條はかなりデンションが上がっているようで、邪悪な笑顔になり
目が血走っている
「いや、こっちはなにも聞いてないんで・・・説明とか
してもらえます？」
「チッ！・・・彩香君、悪いが説明して上げてくれたまえ」
東條は忌々しげに告げて、剣を抜き素振りを始めた
「わかりましたわ」
答えたのは髪の長い方の女性だ
「それではわたくし、伊東彩香（いとうさいか）
が説明させていただきますまず吸魔護符を破きまして封を解き
それを除霊いたします、吸印されているのは浮遊霊ぐらいの
力しか持っていない悪霊ですので安全ですわよ
なにかご質問はございますか？」
「しっつも〜ん」
「えっと、タマモさんでしたわね、なんでしょうか？」
「２人は除霊に参加しないの？」
「ええ、私達は霊能力がありませんので」
「そう、で、東條ってＧＳ免許もってるの？」
「もちろんですわ」
「じゃあ除霊経験はどれくらいなの？」
「そうですね、何時もは式神ケント紙を相手に訓練を重ねておりまして
最後に除霊をしたのは・・・・３年ぐらい前でしょうか・・・・・」
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「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は？」」
「えっと・・・」
横島はショートヘアの女性を仰いだ
「私は妹の真麻（まあさ）です、なんでしょう横島さん」
「３年って聞こえた気がするけど、３日の間違いかな？」
「いえいえ、３年前ですわ」
「・・・・・・・・・３ヶ月？」
「・３・年・ですわ、ちなみに単独での除霊経験は、ありませんことよ」
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「・・・お兄様、わたしデートの約束があるので帰りますね」
タマモは立ち上がり、優雅に一礼して部屋から出ようとした
「・・・お前に彼氏が居たとは初耳だな、だがまだ異性と
付き合うのは賛成できん、ここは兄として相手にガツンと言って
やろう、待ち合わせ場所はどこかな？安心しろおキヌちゃんに
付いてきてもらうから暴力には訴えないぞ」
横島はそう言ってタマモの腕を持ち行かせまいとする
「いえいえ、お兄様、そういうことなら、自分でお断りしてきますので
心配しなくても平気ですよ、そうですね、おキヌちゃんが一緒なら彼も
無茶はしないでしょう」
「いやいや・・・・」
「いえいえ・・・・」
「「・・・・ふふふふふふ・・・・・・」」
二人は笑顔で言い合っているがもちろん目は笑っていない
３人で脱出する考えはないようだ。
「お２人とも心配のしすぎですよ、東條さんの持っている剣は
かなりの業物ですし、１千万円の破魔札を束で持ってますから」
２人に声を掛けたのは、吸魔護符を破く役目をする男だ
小柄で着物を着て、木刀を差している
横島とタマモはいつの間にか席からかなり離れドアの
手前まで来ていた。
「え〜とあなたは？」
「僕は二階堂（にかいどう）です」
「そう、そっか、それだけ強力な装備ならなんとかなるかな？」
「おキヌちゃんもいるし大丈夫じゃない？」
「そうだな、仕事を放棄するわけにもいかんしな、一応おキヌちゃんに
文殊渡しとくわ、タマモ、お前も持っとけ」
「ん、分かった」
横島はタマモに（護）の文字の入った文殊を渡した
おキヌちゃんにも渡しに行く
「おキヌちゃん」
「どうしたんですか？」
「うん、東條って除霊経験ほとんど無いの知ってた？」
「えっ・・・・・・そうなんですか？」
「うん、まあ、符に入ってるのは弱い悪霊らしいけど
万が一ってのがあるから、おキヌちゃんも気をつけてね」
「わかりました」
「破魔札は持ってる？」
「はい、２０万円の札を１枚ですが・・・・・」
「そう、じゃあこれ、文殊持ってて」
「え・・・あ、ありがとうございます」
おキヌは会心の笑みを浮かべている
横島は（護）の文字の入った文殊と（浄）の文殊を渡し席に戻った。
席に戻るとタマモと伊藤姉妹が話をしていた
「彩香さんと真麻さんは、なんでこのサークルに入ったの？」
「「それは、もちろん東條さんについていくためです」」
「そ・・・そう、付き合い長いの？」
「「高校からですわ」」
「えっと・・・失礼だけど、あれのどこが良いの？」
「まあ、確かに性格はアレですが」「顔はいいですし」
「スマートですし」「背も高いですわ」「それに、なにより」
「「お金持ちですのよ！！！」」
「・・・・そ、そうなんだ」
流石は双子と言うべきだろう、息がぴったりだ
「「ええ、日本でも有数の資産家ですのよ、玉の輿の為なら
アレな性格ぐらい目を瞑ってもお釣りがきますことよ！！！」」
「・・・・・・そ、そうね」
タマモはでっかい汗をかきつつ、少々腰が引けている、２人は東條に
負けず劣らずの性格のようだ
「・・・・・・世の中間違っとる・・・・・・」
横島は席に着き、静かに泣いていた
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「説明は終わったようだね、じゃあ気を取り直して、始めるよ！
二階堂君！符を破いたらすぐに離れるんだよ！いいね！！！」
「わかりました！」
「氷室クン！準備はいいかい？危なくなったらすぐ引くんだよ！」
「はい！」
「よし！二階堂君！やってくれたまえ！！！」
おキヌは２人からやや離れた位置で、ネクロマンサーの笛を構えている
東條は、右手に剣を持ち、左手で破魔札を持っている
「いきます！」
二階堂は符を破り、一目散に東條の斜め後ろに並び木刀を構えた！
「さあ来い、悪霊め、このＧＳ東條芳輝が地獄に送ってやるぞ！！！」
後書き
ようやく続きが書けました、この大学での除霊はプロローグの
つもりなのですが、なかなか進まない・・・・・・・
今回登場のオリキャラは後半では出演予定はありませんので
実力の無い西条を意識してみました。
＞wata様 設定なんですが、この横島は２８巻に登場した、
１０年後の横島を目指しています、事務所の位置なんかは
もうしばらくお待ちください。
＞TPO様 はい、出来る限り原作のキャラクターの雰囲気を壊さないように
していきたいと思っています
＞ささめ雪様 ありがとうございます、長い目で見てやって下さい
＞LINUS様 そうなんです、横島とタマモは対等な位置に立てるコンビだと思っていますので、２人の掛け合いはとても書きやすいです
＞五月雨様 タマモは生まれて数年経っていますが、人間社会の環境で
始めに触れたのは美神の事務所の面々ですので、周りのキャラに毒されている設定になっています
＞柳野雫様 え〜横島君の髪が伸びているのには一応訳があります
楽しみにしていただければ嬉しいです
暖かい感想をいただいてとても嬉しいです
これからもがんばって書いていきたいとおもいますので
よろしくお願いします