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▽レス始

「GS的今話(7th)(GS)」

斧 (2005-03-15 18:17)
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 時は、雪之丞が夢の世界に入った瞬間。

 洞窟内に、数人の男女が土角結界で捕まえられていた。

 タイガー、魔理、弓、西条。この四人だ。

 波――雪之丞が突入した際のものだ――が、彼らを包んでいた結界を揺るがせた。

 タイガーにとっては、それだけで十分な隙間。

「ワッシは…結界破りの鉄人ジャーッ!!」

 ばきぃ、と土塊が真っ二つになった。

 かなりの力を使ったタイガーは疲労しながらも(ワッシは気合と努力と根性の固まりジャー!)捕まえられている弓達を助け出す。

「不覚ですわ…」

 助けられた弓の第一声がそれだ。1時間半前から何回も何回も言っていたのだが。

「あたしだってそうさ。いつ捕らえられたかも解りません、じゃなぁ…」

 その情けない、という思いは西条も同じだ。

 彼の場合は、似非美神に驚きその隙を突かれたというものだったからだ。

「とにかく、進むとしよう」

 無論の事、彼はそんな事はおくびにも出さない。

 ――雪之丞が洞窟にたどり着く、1時間前の事。


――第7話


「…うぉ」

 横島の口から思わずこんな声が漏れる。

 白井総合病院が黒い霧に覆われていたからだ。

 結界が張られていることは分かっていたが、このような形とは。

 その前は通行人はおろかサイレンをかき鳴らした救急車すら素通りしていく。

 (半ば強制的に置いて来た)人工幽霊一号からのテレパシーが脳裏に響いた。

 カオスの、今となっては10年に一回ぐらいの大発明【時遡り霊波レーダー2号半】――名前のセンスはやっぱり壊滅的か、と横島はいつも思う――を用いた人工幽霊一号が言う。

『…雪之丞さんの反応がその病院で途切れています』

 微妙に声が刺々しいのが、横島のハートを槍の雨が降り注いでいるかのような気分にさせる。

 とにかく、横島は病院に歩いていく。

 霧は恐らくアレクソウル自らの体を媒介とした結界だ。

 近づくにつれ、体を重たげに動かす人が増えてくる。

 神気の筈なのに禍々しい。

 霊圧が低い人間には影響もあるだろう…瘴気ではない分マシだが。

 文珠を取り出し文字を込め――しかしそれは発動させずに置くだけに留め、横島は裏路地に入って行った。

 ここには美神除霊事務所メンバーもよくお世話になるので、やっぱり秘密通路というものがあるのだ。当然無断である。

 ちょっぴりお金をかけて作られた通路は、最上階――4階に直通だった。


 横島が病院敷地内に入ったのと同時刻、女性の夢の中。

「…本物のようですわね」

 弓が言った。[通]で互いの心を読んだのだ。

「さっきからそう言ってるだろうが…」

 雪之丞はタコ殴りと言うのもおこがましいある意味18禁シーンを潜り抜けて横たわっていた。

 弓曰く、さっさと助けに来なさいこの鬼チビ、と。

 雪之丞からすれば理不尽極まりない言葉だ(ついでに隕石落下ほどのダメージ)。

 とにかく、と弓は前置きしてから言った。

「遅いとは言え貴方が来てくれて少しはマシになりましたわ」

「可愛げがねぇな」

「あったら気持ち悪いと言うのでしょう?」

「…そこまでは言わんが」

 よっ、と雪之丞は立ち上がった。

「で、戻るか、脱出するか?」

「当然進みます」

 弓は断言し、さっさと歩き出す。

「西条さんたちが、捕まってしまったのですから」

「はぁ?捕まった?いや確かにおかしいと聞いたが旦那等も既に?」

「ええ。先程捕らえられていた結界から脱出出来たのですが――」

 弓は首を振った。

「先を急ぎましょう」

 雪之丞も、また捕まえられたのか、とは思ったが、ただ姫を守る戦士のように弓を守る、と決意。

 …その後すぐに、思い直した。姫ってガラじゃねーな、と。

 そしてその直後、腕千本の無○○駄ラッシュでぶっ飛ばされた。


 そう言えば、と雪之丞は色々と流れ出てそうな頭の中で思った。

 自分が病院に来るまで途中隠れ家に寄ったが事務所から1時間少々。

 夢の中を歩いた時間は1時間程度――合計2時間だ。

 そして弓。

 彼女は気がつくとここで捕らえられていたという。

 それから1時間半程度他の3人と話し、1時間後に脱出した――つまり、合計2時間半。

 時間軸がおかしい。

 【捕らえられた弓】と【事務所に居る弓】の時間が重なっている。

 しかし、その記憶は本物だ。

 …何故、と思う間に、弓に引きずられる。

 弓が進んできた方向だ。

「いつまで寝ているの?」

 さすがに起きるのは無理なんだが、と目で訴える。お前のせいだ、とも。

 弓はそれをスルー。引き摺る手を足から離した。

 やれやれ、と全身に霊力を廻し回復力を高め、よっこらしょと立ち上がる。

 昔の横島は煩悩で増幅した霊力の残りカスで全快するほどの効率の良さを見せたが(しかも無意識)、雪之丞にはそこまでは出来ない。

「酷い扱いだよなぁ…」

 この程度では死なないと言うされたくない信頼の元ボコられているわけだが。

 もう一度やれやれ、と言い、歩き始める。

 曲がり角一つ、二つ――明かりが見えた。

 松明の光ではない。

 しかし、電気の光とも言いがたかった。

 その光は電気のように明るいが火のように揺らいでいた。

 雪之丞と弓は足を止める。

 雪之丞は魔装術を展開、さらに外皮を飛ばし、それに一歩だけ遅れて飛び出た。

 そこに在った、揺らぐ光の正体は――鶏の卵のようなモノ。それが、明滅していたのだ。

 100や200と言う数字ではない。

 ここの地面は丸くないので地平線と言うものが無いが、雪之丞の視力でも果てなど見えない。

 高さは流石に霞むほどと言うほどではないが、それでも高い。およそ100m程か。

 通路は広く、王宮の回廊のようだった。

 誰も、何も居ない――しかし静謐ではない、光と闇が漂っていた。

「な…!?何で、こんな物があるんだよっ!?」

 雪之丞は、話に聞いたソレを思い浮かべる。

「…なんですの?西条さん達も、コレを見て奥に向かったのですが…私には外に助けを呼びに行ってくれ、と言い残して」

『――宇宙の卵だ』

 弓の疑問に答えたのは雪之丞ではなかった。

 弓の背後。そこに、黒い霧が――

「はぁっ!」

 弓はとっさにコートに霊波を流して薙いだ。

 黒い霧が霧散する。

「違う――壁だっ!!」

 雪之丞の叫びは、一瞬遅かった。

 壁が――卵を収める黒い壁が、迫って来た。

 襲いかかり、包みかかり。黒い壁が霧と化し、圧倒的な、魔装術すら破る密度で二人を襲う。

「コレが在るってコトは…!」

 雪之丞の呻きの様な呟きも、弓には届かなかった――。


 森の中――背景と混ざり薄く消えそうな黒い獣が横島に飛び掛る。

「無駄無駄無駄っ!」

 コレより霧の密度が高かった獣も雪之丞に一撃で倒されている。

 彼に匹敵する実力を持つ横島ならば、

ズバァアッ!!

 倒すのは容易い。

 問題は、と横島は呟いた。

「…本体の場所が分からん…」

 この女性には、戸籍が無い。

 と言うよりは、偽造されている。

 この女性は人形だ。ソレも、完璧な人間のカタチを持った。ヒトの手では不可能だが、それこそ神なる手ならば作ることも可能だ。

 彼女の魂は、外もこの中の世界も人間の霊気で作られている。

 しかし、実際にはアレクソウル――正確に言えばその体を分解し変換した霊気で形成されている。

 恐らくナイトメアもアレクソウルが人形として作ったものだ。シロとタマモ、文珠がアレクソウルを察知できなかったのも無理は無い。世界自体が標的と同じにおいでは嗅ぎ分けることはできない。

「くそっ…」

 ただ歩き回り、怪しい場所を探すだけ。

 極稀にトラップや、先程の様な獣に襲われるときもあるが――概ねそんなもの。

 早く助け出したい。そんな気持ちだけが空回りする。

 ――そして、その焦燥を打ち破る存在がやって来た。

 ズズ、と空が割れた。唐突に。

 大抵の事では驚かない横島も、一瞬虚を突かれた。

「…何だ?」

 警戒は解かない。

 ――ぎゅん、と。紅いモノが飛ぶのが見えた。

 警戒を強める。

 そして、一気に硬直した。

 割れた空から、一直線に巨大なモノが飛んでくる。

 その姿はまるで――

「横島ぁああああああ!!!」

 ジェットの火にも負けないような、派手な配色の機体が奏でる風切り音にも負けない叫び。

 コックピットの南国セットを着込んだ雪之丞の叫びだった。

「済まんが弓の為…死ねええええ!!!」

 ――子供のアニメに出てくるような戦闘機。

 しかも、と横島は考えた。

 まるで変形でもできそーなフォルムではないか、と。

 ソレを肯定するかのような金属音。

 ガションガションとソレは変形。

 まず機体の後ろがが折れバックパックになり、機首が伸びて曲がって足になり、翼が背部に回り、そこから腕が出でてコクピット周辺が移動して胸になり腰になり、頭が出てきてトドメに角ががひょんと広がる。

 雪之丞の魔装術をメタリックにして派手にしたようなフォルムの巨人が、横島に向かって飛んでくる。

「俺がいったい何をしたぁーっ!?」

 腕から魔装術ロボ(仮名)が突っ込み、轟音、振動。

 次いで土煙があがる。そこからボハッ、と文珠――[飛]を持った横島が飛び出した。

 恐らくは魔装術強化のバケモノだ、と横島は検討をつける。

 そして土煙が晴れたそこには。もうなんか隕石でも落ちたんかい的なクレーターがぽっかりと開いていた。

「バケモノすぎだろー!?」

 久々に、いやああああ、と泣き叫びながら。

 横島は逃げ出した。全力で。


ウソ予告でしたすいませんー!と、斧です。
横島君合流はしましたけどユッキー暴走。
弓さん捕らえられちゃってます。
実はこのお話ではタイガーは文珠以上に万能です。
「ワッシは文珠作りの達人ジャー」なんて自分に暗示をかければ文珠創れます。
問題は疲労と言葉に出さなければできないという所ですが。…こうでもしなきゃ役に立たないじゃないですか!


さ、レス返し~3件もあるなんて幸せ(涙がほろり)


>柳野雫様
ユッキー未だに胡散臭げな格好です。
解らなかったとのことですがいやそれはまさしく私の文章力不足でしてしかも読み返してみてやっぱ止めときゃよかったぐぁあああと悶えておりましてしかも何回かプロット練り直しを投稿してからしておりますし駄目じゃんと思っているところであります(一息)
獰猛な笑いは、一応次回かその次回で再登場の予定…ああ、予定は不確定(ガクリ)


>犬雀様
犬雀様こそ絶好調って感じがします。(むはー!)
今回は不意を突かれてあっさり捕まった上に人質状態です…復讐はさせますが!


>偽バルタン様
1月ごろGS美神を読み返したのがきっかけで、彼女たちのカップルがかなり上位にに上がったのです。と言うわけで優遇。
実はまだ結構続きそうな…妄想がいけないんやぁと言い訳です。


今回は文章と文章の間を一行空けてみたのですが、この方が見やすいでしょうか?
最近欲しいと思うのが文章力で、せめてそれを誤魔化す為の苦肉の策ってやつなんですが。
あ、あとストーリー作りの才能も…アイデアの才能とか…あ、でも推敲の才能とか…(中略)と言うわけで。
次回は目的判明、の予定…解りきってるでしょうけど。

斧でした。

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