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▽レス始

「横島日誌9(GS)」

マッキー (2005-03-12 02:19)
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「「「なっ、なんだってー!」」」


ヒャクメの口から発せられた言葉に、その場にいる猿神以外の全員が驚きの声を上げた。
皆訳が分からないといった表情で、こちらも困惑の極みに陥っているヒャクメと、呆然とする横島を見守る。

猿神だけが一人、驚く一同を他所に、のんびりと煙管をふかしている。
その顔には、悪戯が成功した子供のような表情が浮かんでいた。

「ヒャクメ、それは確かなの!?」

横島から魔力を感じ取った張本人であるヒャクメも、自分の感覚がいまだに信じられなかった。小竜姫に促されるまでもなく、すでに確認の体勢に入っている。額の目をいっぱいに開いて、何度も繰り返し横島の霊波の分析を続けてゆく。

「間違いないのね〜、確かに横島さんの体からは、ほんの僅かだけど魔力が放出されているのね〜」

異常とも言えるほど入念に観察し、彼女は自分の判断に間違いが無いと断言した。
人間の美神から“ヘタレ神族”などと言われるほど、どこか抜けているところがある彼女だが、自らの感覚には絶対の自信を持っている。ここまで調べて間違えることは無いと、自信を持って言えた。
実際、こと探査という分野において、彼女の能力は神界でも一流のものだ。だからこそ、アシュタロスの反乱という神界の一大事の調査に派遣されたのだ。その彼女がこれほど念入りに調べたならば、それがどのような結果だろうと信じざるを得ない。
それに、注意深く探ると、小竜姫やパピリオにも、確かに魔力が感じられるのだ。
彼の霊力の放出は既に止まっていたが、彼女らとてそれなりの実力を持った神魔だ、前もって在ると分かって魔力だけに狙いを絞れば、横島の体から放出される僅かなそれを感じ取る程度の能力は持ち合わせている。
半信半疑だった横島も、彼女たちの真剣な表情に、自らの変化が厳然たる事実であることを悟った。


いかなる原因によるものかは分からないが、横島は、魔族となりつつある・・・
その事実は、小竜姫とパピリオ、そして当然横島を驚愕させるには、十分過ぎる物であった。


特に衝撃が大きかったのは、やはり横島本人だった。自分の顔を指差したまま、半ば放心したような顔で、周囲の人物の顔へ視線を巡らせていく。
彼の頭の内には、ルシオラを救えるかもしれないという期待、魔族になることへの不安や恐れ、これからの生活のことなど、様々な思いが次々と浮かび上がっていた。
それも当然だろう。
確かに彼は、美神に出会ってからずっと、常識では考えられないような人生を送ってきたし、文殊という異能も身に着けた。

それでも、人間の両親の元に生まれて、十七年の人生を人間として歩んできたのだ。
その自分が今、魔族になりつつある・・・わずか十七歳の少年にとって、その驚きは筆舌に尽くし難いものだった。
猿神に事情を問い質す事も忘れて、呆然とたたずんでいる。


「老師、これはどういう事なんですか?」

そんな横島を見かねて、GS美神で一番の良識の人―素人の横島に切り掛かったりもしたが―である小竜姫が助け舟を出した。
横島の変化に最初から気付いていたとしか思えない言動をした猿神に、皆を代表して疑問をぶつける。その場に居るものすべてが、ただ一人落ち着いている猿神を注視した。
特に横島は、ルシオラのこともあって、一際真剣な表情だった。その熱意に押され、猿神の表情も引き締まったものとなる。


虚空から椅子を五脚取り出し、その内のひとつに腰掛けると、皆にも座るよう命じる。
全員が腰掛け、話を聞く体勢が整うと、彼は説明を始めた。


「皆も薄々感付いとると思うが・・・横島の変化は、そのルシオラという魔族の霊気構造によるものじゃろう。それ以外に、普通に暮らしていた人間が魔族になる理由は見当たらん。十中八九、それで間違いは無かろう。」


「やっぱりそうですか・・・」


恐る恐るといった風に、猿神に確認する。その顔には、魔族になるという事への僅かな恐れが感じられた。
その脳裏に浮かぶものは、かつて戦った勘九郎の姿だった。自分と同じように魔族となった彼は、メドーサに忠誠を誓い、己の生まれ育った人間界を破壊しようとした。
たとえどんな力が手に入ろうと、横島はそのような存在にはなりたくなかった。

当時一緒に戦ってその姿を見ている小竜姫も、同じことを考えていた。彼の身を案じて、不安げな顔で二人に視線をさまよわせる。


その不安を見て取った猿神は、二人に理由を聞いた。横島が勘九郎について説明すると、猿神はしばらく考え込んだ後に、彼らの不安を否定した。
もちろん、根拠の無いただの気休めではない。

「その心配はなかろう。その勘九郎とやらがそうなったのは、魔装術という技の特性のせいじゃ。それに、そやつの心には元々悪の芽があった。
お主の場合は、そうはならんじゃろう。ルシオラとやらは大人しい魔族だったようだし、お主の人格に影響はあるまい。
外見も、自分が記憶している姿、つまり今のままじゃ。
要するに、霊体と力が魔族のそれになるわけじゃ。」


外見や性格に変化が出ない可能性が高いと聞いて、横島は少なからぬ喜びを感じていた。
魔族になると聞いて、彼は最初、何かおどろおどろしい物になるというイメージがあったのだ。性格もデミアンなどのように、攻撃的なものになると思っていた。
しかし、そんな心配は杞憂だったと知って、彼は胸をなでおろした。
小竜姫や、勘九郎の話を聞いて心配していたヒャクメとパピリオも、ほっとしたような表情をしていた。
彼女たちは、横島の、人外だろうと関係なく接することができる優しい心根に惚れたのだ。その彼に、デミアンやベルゼバブのような凶暴な存在になって欲しく無かった。
外見も、できるなら今のままの方が良い。


さらに、横島と小竜姫の二人には、それとは別の心配があった。
もしも魔族化によって外見に変化が起こるとして、勘九郎と同じように、己がシャドウのような姿になるとしたら?


そう、横島のシャドウといえば・・・アレだ。関西弁を話す、胡散臭いピエロ・・・
初対面の小竜姫に、「こんな避けないシャドウは始めて見ました」と言わしめた、あの凄まじく情け無いやつなのだ。
できるのなら、横島さんがアレになるのは勘弁して欲しい・・・
小竜姫は、神界の最高指導者に祈った。


横島の悩みは、さらに深刻なものだった。何しろ彼は、もしそうなった場合、一生その姿で生きていくのだ。ルシオラと再会できたとしても、あの姿では感動がぶち壊しだ。
あの二頭身キャラクターの自分を想像して、彼は泣きたくなった。


彼らの脳裏に、リアルな映像が浮かんでくる。

あの姿で、ベスパ並みの力を振るう、凶暴な横島・・・

二人は、一瞬気が遠くなるのを感じた。頭を振って、その映像を意識の外に放り出す。
それでも、顔色が少々悪くなっていた。


「では俺の力は、いずれは魔族に通用するような物になるんですね?」


「いや、今まで変化しなかった事からして、そう簡単ではない。
おそらく、人間として力を使わずにいる分には変化が無いが、霊力を成長させるにしたがって、魔力の割合が増えていくのじゃな。
要は、霊力が上がる度に、段々魔族に近くなっていくということじゃ。」

方法によっては人間のままで居られると聞いても、彼の心は揺るがなかった。魔族になるということは、ルシオラと同じ存在になるということだ。人格に影響は無いと知った今、それを拒むのは彼女を否定することになる。横島の心に、迷いはなかった。


「たとえ人間じゃ無くなっても、俺はあいつを復活させます。
これからここで修業させて下さい!」


強い決意を秘めた声で、まっすぐに言い放った。その瞳には、猿神の目を以ってしても、ひとかけらのためらいも見つからなかった。その熱意に、猿神も真剣な表情で返す。
答えはもちろん、イエスである。才能ある修行者の存在は、彼にとっても好ましいことなのだ。


「よく言った。今日より、お主を妙神山の正式な弟子とする。」


「有難うございます!」


猿神に深々と頭を下げる横島の顔には、これからの修業に対する決意がみなぎっていた。
どんな修業となるかはまだ判らないが、相当厳しい物となるのは確実だった。
ただの人間に過ぎない自分が、一流の戦闘力を持つ魔族と渡り合えるようになろうと言うのだ、おそらく並大抵の努力ではないだろう。

しかし、どんな障害があろうと、絶対に成し遂げてやる!

横島は、記憶の中のルシオラに誓った。


三人の女たちも、これから横島と一緒にいられるとあって、皆嬉しそうだった。

「それで、修行はいつから始めるのじゃ?」

「本当は明日からでも始めたいんですが、色々することもあると思うんで、明後日からにしたいのですが。」

「よし。ではそうしよう。
ときに、この方法には、ルシオラとやらを生き返らせる以外に、もうひとつ大きな利点があるのじゃ。何だと思う?」


「利点・・・強くなることですか?」


「それもあるが、もっと重要なことじゃ。神族であるわしは、何年生きてきたと思う?」


「・・・そうか、寿命!」


「その通り。魔族となったら、殺されん限り寿命は無限じゃ。そのルシオラという魔族も、もちろん例外ではない。今のままでは、たとえ再会しても、お主はそやつよりずっと早く死んでしまう。
お主が魔族になれば、そやつとずっと一緒にいられるのじゃ。」


言われてみれば、確かにその通りだった。今まで考えたことは無かったが、魔族のルシオラと自分では、根本的に寿命が違うのだ。自分の寿命がどう頑張っても百年程度に対し、相手はほぼ無限なのである。
せっかく会えても、自分がすぐに死んでしまったのでは、ルシオラを悲しませることになる。
元々はルシオラを復活させるための魔族化だったのだが、それがこんなことになるとは・・・
横島は、ルシオラとずっと一緒にいられるという喜びを噛み締めていた。


喜んでいるのは、横島だけではない。ルシオラと同じく永遠の命を持つ女たちもまた、一様に嬉しそうな顔をしていた。その倫理観ゆえに横島を諦めた小竜姫はそれほどでもなかったが、横島の傍に居られるだけで嬉しいパピリオや、シロタマのことを知っているヒャクメは、飛び上がらんばかりに喜んでいた。


「それでは、わしは部屋に戻るぞ。横島、今日のところは家に帰って、準備を整えよ。修業開始の日時はお主に任せる。」


そう言うと、猿神はどっこらしょと立ち上がった。2,3回腰を叩いて、扉から出て行く。

その後姿を見送ったところで、彼らはこれからのことの相談に入った。

「それでは、これからのことを決めたいと思いますが・・・横島さんは、下界と自由に行き来できたほうが良いですよね?」

「ええ、GSの仕事は続けたいんで、出来るならそうしたいんですが・・・可能なんですか?」


横島の願いは、かなり切実なものだった。今の彼は、殆ど元手なしでウン千万クラスの仕事をこなせる、美神にとって非常にありがたい存在なのだ。その彼が抜けることなど、あの守銭奴美神令子が許すとは思えなかった。
それに、小竜姫には言えないが、シロとタマモに会いたいという理由もあった。自分たちは、今日やっと恋人同士になったばかりなのだ。できればずっと傍に居たいというのが、彼の偽らざる本心だった。


「ええ。妙神山とあなたの部屋の空間を繋げるんです。丁度ヒャクメがいるので、今すぐにでもできますよ。」


結局、妙神山の空き部屋のひとつを横島の部屋とし、そこと彼のアパートを繋げることとなった。
一同は椅子から立ち上がり、住むための部屋がある区域へと向かった。全部で二十ばかりの数の部屋があるそこは、妙神山で修行をする人間のためのものであり、当然、小竜姫たちの部屋とは離れたところにあった。
今は修行をしている者がいない為、全て空き部屋となっている。
部屋の内装はどれも同じだった。

横島は、移動に便利だからという理由で、一番手前の部屋を借りることに決めた。
内装は完全に和風であり、なかなかの広さだ。
今まで住んでいたボロアパートよりはるかにいい環境であり、横島は大満足であった。

部屋決めの次は、そこと下界とをつなぐ入り口を作る作業だ。
机の引き出しというド○えもんスタイルや押入れの中など色々な意見が出たが、結局、普段使わないところが良かろうということで、壁の一角に設置することになった。
傍で見る分にはただの壁だが、許可された人物が通るときのみ、そこを素通りできるというものである。ヒャクメがパソコンを操作すると、この部屋と横島のアパートとをつなぐ“道”ができあがる。
腕を差し入れてみて、無事に使えることを確認した横島は、皆に別れを告げた。


「それじゃ、さようなら。」

「「「さようならー。」」」

三人に見送られて、横島は壁の中へと消えていった。音は伝わらないようになっているため、完全に横島の気配は感じられなくなった。


「明後日から、ここで修業ですか・・・ルシオラさんのこと、うまくいくと良いですね。」


「横島はきっとやってくれるでちゅ!それで、ずっとルシオラちゃんと幸せに・・・」

姉の復活を喜びながらも、少し寂しさを覗かせる声でパピリオが言う。その声に、シロタマの事について迷っていたヒャクメが、ついに言う決心をした。黙っていてもいずれは知られるだろうし、自分だけが知っていると言うのも不公平だろう。パピリオと小竜姫は、このことを知っているべきだと思ったのだ。


「ルシオラさんだけじゃないのね〜。」

「どういうこと(でちゅか)?」


「それはね・・・」

身を乗り出す二人に、ヒャクメは横島の決断を打ち明けた。


所変わって、ここは横島のアパートである。時刻は、午後六時を二十分ほど
妙神山の部屋の壁に入った彼は、この部屋の壁の一角から出てきた。その間のタイムラグは全く無く、まさにどこでもド○といった感じだった。
部屋に付いた彼が後ろを振り向いても、そこにあるのは昨日までと同じただの壁だった。
以前からあったしみや傷なども、全く同じようにそこにあった。
これなら、事情を知らないものは全く気付かないだろう。


しばらくそのままでいた彼だが、用事を思い出して壁から目を離した。美神に、妙神山から帰ったことや、これからのことを伝えなくてはならない。
昨日自分で引っこ抜いた電話線を入れなおすと、彼は美神所霊事務所の番号を押していった。


「はい、こちら美神除霊事務所・・・」

「美神さんですか?横島です。今、妙神山から帰りました。」

「横島クン?そう、お帰りなさい。」

二回目のコール音が鳴り終わると同時に、電話が繋がる。取ったのは、丁度いいことに美神本人だった。
美神たちは丁度そのとき食事時であり、食事を邪魔された美神の声は少々険しいものだったが、相手が横島と分かり表情を変える。
恋人の生死に関わる話をしてきた彼に対し、真剣な声で話しかける。


「それで、ルシオラはどうなったの!?」

「それが、何とかなりそうなんですよ。それで、これからの事とかの説明を、明日そっちでしたいと思うんですが、いいでしょうか?」


「構わないわ。明日は仕事も入ってないし。」

「じゃあ、朝の九時ごろ行きますんで。それじゃ。」


受話器を置き一息ついたところで、彼は自分の空腹に気付いた。時計を見ると、すでに六時を二十分ほど回っている。窓の外はすっかり暗くなっていた。
することもないし、そろそろ夕食にしようと思ったが、疲れていて何か作る気にもなれない。
財布にまだ多少の金が残っていることもあって、彼は外食をすることに決めた。
人民服のポケットから財布を取り出し、普通の服に着替える。灯りを消すと、彼は部屋から出て行った。
目的地は、彼が知る限りこの町で一番美味い――高い店には行ったことが無いのだが――魔鈴の店だ。今日はルシオラが復活できると分かっためでたい日だ、そのぐらいの贅沢は許されるだろう。


そのころ、美神の事務所では・・・


「ねえ、今の電話誰から?」


「横島よ。向こうでルシオラを復活させる方法が見つかったらしくて、明日その説明に来るらしいわ。」


「「「本当(でござるか)(ですか)!?」」」


その報告に、事務所の女たちは喜びに沸いた。
横島の恋人が復活することにやや複雑な思いを感じていた美神とおキヌも、この時ばかりはそんなことは忘れて、素直にルシオラ復活の可能性を祝っていた。
一連の騒動の元となったシロタマの二人も、手を取り合って――シロは尻尾を振って――喜んでいる。自分がルシオラの転生を諦めさせた原因を作っただけに、無事にルシオラが復活できると言うのは何よりも喜ばしいことだった。


しばらくして興奮も収まり、皆が食事を再開した。ルシオラ復活の喜びで、皆陽気になっていた。いつもより速いペースで、皿から料理が消えてゆく。その後五分ほどで、皿は綺麗に空となった。それぞれが皿を片付け、おキヌが洗って乾燥機に入れる。
その後は普段通り、各自思い思いに時を過ごした。美神は帳簿をチェックし、おキヌはテーブルに宿題を広げる。シロとタマモは、そろってテレビを見ていた。
しばらく、ゆったりとした時間が流れていく。


と、そこで、タマモが声を上げた。

「それじゃ、私シャワー浴びて来るから。」

彼女が今時分にシャワーを浴びるのはいつものことであり、誰も気にかける者は無かった。
しかし、今日はいつもとは違う。風呂場に向かう彼女の顔には、ある決意が秘められていた。


いつもより念入りに、時間をかけて体を洗うと、彼女は皆のいる部屋に戻った。依然として寛いだ様子の一同に、何でもないような声でいった。


「それじゃ私、ちょっと散歩に行って来るから。帰りは遅くなるかもしれないけど、心配しないでね。」

「いってらっしゃい。車に気をつけんのよ。」「いってらっしゃい。」

なんとか緊張を悟られずに済み、タマモは心の中で胸をなでおろした。おキヌも美神も、全く不審に思ってはいないようだった。二人とも、それぞれの作業に没頭している。
安心して、タマモが部屋を出ようとしたとき、シロが声をかけてきた。彼女が本当に散歩をすると思い込んで、一緒に行こうと思ったのだ。
心の中でシロに謝りながら、「今日は静かに歩きたいの」とあしらう。自分のサンポの荒っぽさを自覚している彼女は、大人しく引き下がった。
こうして、誰にも邪魔されずに、タマモは事務所を出た。


記憶を頼りに、横島は魔鈴の店に着いた。
表の看板に書かれた料理の値段と、自分の財布の中身を見比べ、安心して中に入る。
かなり情けない行動だが、食べてから金が足りないことに気付くよりはましだ。横島は、魔鈴と言う美女の前で恥をかきたくは無かった。
彼が一人で食事に来たことに、美神のがめつさと彼の待遇を知る魔鈴は驚いた。
なにしろ、彼女が知る横島の時給は二百五十五円なのだ。そんなに高い料理を出しているわけではないが、彼は大金だろう。
失礼だとは思いながらその事を尋ねると、横島はやや自慢げに、一人での除霊を成功させた事を告げた。
魔鈴はその事実に大いに感心した。考えてみれば、横島は大戦中に、アシュタロスに止めを刺す等の八面六臂の大活躍をしたのだ。一般の除霊をこなす力は十分にあるのだろう
魔鈴は、横島の評価を大いに改めた。


やがて料理が届き、彼は湯気の立つそれを美味そうに食べ始めた。真心込めて作った料理を、「美味い、美味い」と食べてもらい、魔鈴も厨房で笑顔を浮かべていた。好意を持った人に自分の作った料理を食べてもらうのは、誰でも嬉しいものだ。料理をする手にも、自然と熱が入る。
そんな料理を、恋人復活の可能性が見えためでたい日に、魔鈴と言う美女の給仕で食べたのだ、注文したのは平凡なお任せコースだったが、彼には人生で最高の美味に感じられた。

三十分ほどで、彼が食事を終える。笑顔の魔鈴に見送られ、横島は店を出た。


笑顔の魔鈴に見送られ、横島は店を出る。
地下鉄に乗ったところで財布が殆ど空になってしまったが、まあ問題ないだろう。もしもの時のために取っておいた千円札があるから、明日困ることは無い。


歩いていると、慣れ親しんだアパートが見えてくる。何気なく自分の部屋を見上げた彼は、扉の前に人が立っていることに気付いた。確認しようと近づくごとに、その人物の特徴ある外見が見えてきた。九つの房にまとめられた金色の髪、まだ幼さの残る体つき・・・

それが誰だか気付いて、彼は眠気が吹き飛ぶのを感じた。歩を進めるごとに、心臓の鼓動が高まってゆく。


「タマモ・・・」


つづく????

感謝の極み。(こんな時間に何やってんだわしは)
一昨日誕生日を迎え、私は晴れて十七歳になりました。彼女いない暦も十七年に更新です。
いいんだ、僕には猫さえいれば・・・(体育祭のフォークダンスで、大仏のマスクをつけてどじょうすくいを踊ったところ、女子は大変笑ってはくれたのですが、恋愛対象としては永久に外されました。多分卒業するまで彼女はできないでしょう。)
次回のために、『連邦軍が捕まって、あんなことも!こんなことも!』でも見て勉強します。(キーアイテムは掃除機。)


>オロチ様
復活後は、また大戦が終わるまで外国かどこかで潜伏している、というのが良いでしょうか。やっぱり、妨害はアシュが死ぬまでは消えないのでしょう。


>Dr.J様
私もそれで悩みました。結局、彼女らと同程度の力の文殊で“伝”を使うことにしましたが、ほかにも良い方法を思いつかれましたら、ぜひお教えください。


>D様
時期の問題については、けっこう選択肢が多いですね。
方法については、戦闘中にタワーに近づくのは見つかる可能性が高いんで、やっぱり本人から提供してもらう方がいいかと。
いつもご意見有難うございます。


>LINUS様
横島が去った直後というのも考えに残ったんですが、原作に消えるルシオラのシーンがあることから、それ以前にしました。
霊気構造が足りなかった理由についてですが、未来の横島が持ってったからだとすると、それが無ければ足りていたということで、横島が過去に行く理由が無くなっちゃうと思います。


>Dan様
魔族化については、寿命の関係でどうしても入れたかったんです。ほかに強くなるといったら、美神に連れてって貰って向こうで合体(変な意味じゃありません)するとか・・・
アシュに化けると、時期的に覚醒してないので、この時期に使うのは無理かと。


>猿サブレ様
“学生の本分は勉強”大変耳が痛いです。一応頑張ったのですが、多分えらい事になってると思います。ああ、日頃勉強していれば・・・あ、でも、模試の小説だけは満点でした。

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