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「Call of darkness     リポート3(GS)」

YOUKAI (2005-03-10 01:12/2005-03-10 11:53)
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 ここは人骨温泉ホテル。
 創業5年を迎える、なかなか立派なホテルである。

 そのホテルの露天風呂に、バンダナをつけた一人の男が
のんびりと浸かっていた。


「ふぅ〜〜〜〜〜〜。いい湯だなぁ〜〜〜〜〜」

 温泉につかりながら、ゆったりとした動作で体を伸ばす横島。
 その顔はまさに『極楽じゃ〜』と言った感じである。

「ここは料理も美味いし、値段のわりにサービスもイケてるし
 なかなか良い宿だよなぁ〜〜〜〜〜。ただ・・・・・・」

 横島は辺りを見回しながら、ポツリとつぶやく。


「俺、どうやってココ(人骨温泉ホテル)まで来たんだっけ?」


 横島はどうやってこのホテルまで来たのか、まったく憶えていなかった。
 気付いたら、目の前にホテルがあったのだ。

「崖から落ちたとこまでは、記憶があるんだけどなぁ〜」

 その後の事が、まったくと言っていいほど思い出せないのだ。

「誰かと逢ったような気はするんだけど・・・・・・。う〜〜〜〜ん」

 腕を組みながら、頭を傾げる横島。
 思い出そうとすると、何故か頭が痛くなる。

「まっいいか!思い出せないって事は、大した事じゃないんだろーし」

 その痛みに耐えられなくなった横島は、あっさりと結論を出すのだった。


「んな事より、何で俺以外に客がいないんだ?」

 もう一度辺りを見回しながら、疑問の声を上げる横島。

 そう、この人骨温泉ホテルには横島以外に客がいないのだ。
 これだけ値段のわりに質の良いホテルであるならば、もう少しぐらい
客がいてもいいはずなのだが・・・・・・。

 それに・・・・・・・・


「従業員の人らも、怯えてるっつーか、疲れてるっつーか
 なーんかヘンな雰囲気だったしなぁ」

 ここに宿泊する事を告げた時、驚いたような表情をした
彼らの態度を思い出し、首をひねる横島。

 彼らは、何か隠し事をしているような気がする・・・・・。

「・・・・・・ん?」

 背後から、自分に注がれる視線を感じる横島。
 そのネットリとした視線に、横島の鳥肌が総毛立つ。

 「だ、誰だッ!?」

 生理的な嫌悪感を感じ、思わず後ろを振り返る横島。

 そこにいたのは―――――


「・・・・・・・・登山家?」


 ―――――登山家の格好をしたオッサンだった。


 Call of darkness(闇からの呼び声)
 リポート3 Come across <その3>


「――――――で、アンタは?」

 あの後、背後に立っていた登山家のオッサンを脱衣所に連れて行き
彼の素性を問いただす横島。

「じっ・・・・自分は、明痔大学ワンダーホーゲル部員であります!!
 寒いであります!!助けてほしいでありますっ!!」

 ワンダーホーゲル部員を名乗る“登山家のオッサン”
 彼はなんと、おキヌと同じように幽霊だったのだ。

「ふ〜〜〜ん。あんた、ワンダーホーゲル部員なんだ。そんな格好で幽霊に
 なってるっつーことは、遭難でもしたのか?」

「はいっ!そうなん(遭難)でありますっ!!」


 ヒュウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・


「さ・・・・さむっ!!」

 あまりにも凄まじいギャグに、冷たい風が吹き抜ける・・・・・・。
 横島はかなりのダメージを受けたようだ。

「そ、そんな(涙)。ひどいっスよ!!自分の渾身のジョークなのに!!」

「ええーーーいっ!!そんなジョーク捨てちまえ!!」

「せっかく自分が、場の空気をなごませようとしたのに・・・・・」

「ぜんっぜんっ!これっぽちも、なごんどらんわっ!!
 そもそも遭難して死んだヤツが言ったら
 シャレにもならんっちゅーんじゃ!!」

「・・・・そ、そうなん(遭難)っスか?」(意味:そうなんですか?)

「くり返すなーーーーーッ!!」

 横島とワンダーホーゲルの漫才(?)は、しばらく続くのだった。


「つまり、だ。話を戻すと、お前は遭難して死んじまったってことだな?」

「はいっ!そうな『それはもういいッ!!』
 ・・・・・・・自分は仲間とはぐれ、雪に埋もれて死んだのであります。
 しかし、いまだ死体を発見してもらえず、放置されております!」

 無限ループになりそうな問答をムリヤリ止め、ワンダーホーゲルから
事情を聴く横島。

 さきほどのギャグをくり返そうとするあたり、ワンダーホーゲルは
自分のギャグに、けっこう自信を持っているのかもしれない・・・・・・。

「・・・・・・なるほど。それで自分の死体を見つけてほしくて
 ここに出没しているってワケだ」

 ワンダーホーゲルの話から、大まかな推測をたてる横島。
 どうして遭難したのかまでは分からないが、大体の事情は把握する事が
できた。

(・・・・・・どーりで、他に客がいないわけだ)

 心の中でそっとタメ息をつきながら、客がいない理由を察する。

(コイツのことだから、きっと泊まりに来た客にまで、助けを求めて
 たんだろうなぁ(汗)。

 いくら害が無いとはいえ、普通の人間が幽霊なんて見たら
 ビビるからなぁ)


 横島の考えは正しく、ここに泊まっていた客はワンダーホーゲルの姿を見て
全員逃げてしまったのだ。おまけに、幽霊がでるホテルという噂が
たってしまい、誰も寄り付かなくなっていたのである。


「お願いでありますっ!!自分を助けてください!!」

 瞳に涙を浮かべながら、横島にすがりつくワンダーホーゲル。

 ・・・・・・むさい男の泣き顔というのが、ちょっとアレだ。

 だが、しかし!!そこは我らが主人公、横島忠夫!!

 困っている人(幽霊)を見捨てるような――――――


「イヤだッ!!」(0.01秒)


 ――――――冷血漢だった。


「そ、そんな冷たいこと言わないでほしいっス!!」

「でぇ〜〜いッ!!世間の風は冷たいんじゃ〜〜〜ッ!!!」

 すがりつくワンダーホーゲルを振り払いながら、怒鳴りつける
横島だった・・・・・・。


「・・・・ったく!!つまりだ。お前は死体を見つけて供養さえすれば
 おとなしく成仏するって事だな?」

「はいっ!!そのつもりであります!!」

 ワンダーホーゲルのしつこさに音(ね)を上げた横島。
 とりあえず話だけでも聴こうと、この場に残ったようだ。

「じゃあ、肝心の死体の場所は?」

「だいたいの見当しかつかないのです!も、申し訳ありません!!」

「そっかぁ・・・・・・」

 何かを考えるようにうつむく横島。そして、おもむろに顔を上げ・・・・・


「じゃ、そーゆーことで」


 ・・・・・・・・帰ろうとした。


「ま、待ってほしいでありますっ!!自分を見捨てないでください!!」

「やかましいっ!!甘えんじゃねえっ!!!
 いくら今が春ったって、まだまだ雪が残ってんだぞ!?
 正確な死体の位置も分からないのに、雪山なんぞに行けるかっ!!
 ヘタすりゃ、こっちが幽霊になっちまうっつーの!!

「その点なら大丈夫であります!!自分は“山のプロ”っスから!!」

 自信満々に答えるワンダーホーゲル。

 ・・・・・しかし、彼は気付いているのだろうか?

 “山のプロ”である彼自身が、すでに幽霊になっているという現実に・・・・。


「・・・・・・まったく。おキヌちゃんといい、コイツといい
 何で今日はこんなにも、幽霊と縁があるのか・・・・・」

 タメ息をつきながら、頭をかかえる横島。
 頭の中では、とっとと帰るべきだと結論を出している。

 しかし・・・・・・・・


(下手に断ると、とり憑かれそうだしなぁ)

 おキヌのような美少女ならばともかく、こんなむさいオッサンに
憑かれるのは、横島の(女好きとしての)プライドが許さないらしい。

(・・・・・・まっ、しゃーないか)

 色々と考えた結果、横島は結論を出したようだ。


「おいっ!!ワンダーホーゲル!!」

 力強くワンダーホーゲルを呼ぶ横島。

「な・・・・何でありますか?」

「お前、山のプロって言ったな?じゃあ、今から登山に必要な道具を
 ピックアップしておいてくれ。
 俺が旅館の人に頼んで、用意させるからよ」

「じゃ・・・・・じゃあ・・・・?」

 横島の言葉を、信じられないといった様子で聞き返すワンダーホーゲル。

「乗りかかった船だ。最後まで付き合ってやるよ」

 そんなワンダーホーゲルに、横島はキッパリと答えた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

(・・・・・・ん?)

 何も答えないワンダーホーゲルを、横島は不思議そうに見つめる。

(・・・・何だ?コイツの事だから、もっと騒ぐと思ったんだが)

「・・・・・おい。ワンダーホー「感動したっス!!」・・・・!?」

 いきなり大きな声で叫びだすワンダーホーゲル。


「これこそ男同士の友情!!
 これこそ男同士の連帯!!
 ああっ!!自分は今ッ!!
 モーレツに感動してるっスゥゥ
 ゥゥゥゥゥゥッ!!!!」

「・・・・・・・・・・・・(汗)」

「とにかく!!山のことなら、自分にまかせてほしいっス!!
 この自分が、山の素晴らしさをタップリネッチョリ
 レクチャーしてあげるっスよ!!!
 今すぐ道具を用意するから、待っててほしいっス!!」

 雄たけびを上げながら、ホテルへ突撃して行くワンダーホーゲル。

「・・・・あっ、バカ!ちょっと待て!!」

 止めようとしたものの、とっとと飛び出していってしまった。


「あ、あのバカ(汗)。幽霊のお前が行ったら、パニックになる
 だろうが・・・・・・」


 その不安が的中し、ホテルで叫び声が上がったのは、すぐ後だった。

「あ・・・頭イテェ・・・・・」

 思わず頭を抱える横島。

 ・・・・・・・・前途多難である。


 ビュオオオオオオオオオオォォォォォォーーーーーッ!!!!


 ここは、御呂地岳(おろちだけ)の山中。

 凄まじい吹雪が吹き荒れ、景色が白一色である。

 そんな荒れ狂う吹雪の中を、2人の人影が突き進んでゆく。

 片方は『山男には惚れるなよ♪』などと歌を歌い、もう片方は
まったくの無言である。

 2人のうち、後ろに位置する人影が、前にいる人影に問いかける。

「・・・・・おい!まだ先なのか!?」

「あと2時間くらいであります!!」

 横島の怒りを込めた問いかけに、ワンダーホーゲルは歌を中断して
キッパリと答えた。

「何じゃそりゃあ!!そこへ着いても、こんな天気で死体を捜せるかっ!!
 俺まで死んでしまうわいっ!!」

「この程度なら、ビバーク(緊急野営)すれば大丈夫っスよ!!
 心配ないっス!!」

「何が“この程度”だ!!幽霊のお前は寒さを感じなくても
 俺はめちゃくちゃ寒いんだよ!!さっさとテントを張るから手伝え!!」

 どうやら、吹雪がおさまるまで野営する事を選んだようだ。


「さ・・・・寒い・・・暗い・・・・・」

 即席で張ったテントの中に逃げ込み、毛布で身体を包む横島。
 とても寒そうである。

 ちなみに、このテントや毛布といった登山道具一式は
人骨温泉ホテルから借りた物である。


 ホテルに突っ込んだワンダーホーゲルを黙らせた後、ホテルの支配人に
事情を説明したところ、快く登山道具一式を貸してもらえたのだ。

 どうやら、彼らもワンダーホーゲルの扱いに困っていたようで
このまま幽霊騒ぎが続き、客が寄り付かないようであるならば、東京から
高名なゴーストスイーパー(悪霊払い)を呼び寄せるつもりだったらしい。

 しかし、除霊するための料金が凄まじく高いらしく、どうしようかと
悩んでいたのである。

 そこで、『うまくやればタダで成仏させる事ができる』という
横島の提案を聞き、必要な物を全て用意してくれたのだ。


「くっそぉ〜・・・・・タダじゃ割りに合わないかもな・・・・・・」

「横島サン、コーヒーできたっスよ」

 ここに来るまでの、ホテルでのやり取り思い出して
グチを言う横島に、ほがらかに話しかけるワンダーホーゲル。

「・・・・・・ん?ああ、わりぃな」

 礼を言いつつ、受け取ったコーヒーをすする。

「・・・・っぷはぁ!くぅ〜〜〜〜〜っ、あったまるぜぇ!!

 ・・・・・・それにしても、お前も変わったヤツだよな。ワンダーホーゲル」

「何がっスか?」

 ワンダーホーゲルは、横島の問いかけに不思議そうな顔で聞き返す。

「だってよ。春の今でさえ、こんなスゲェ吹雪なんだろ?
 もっと天候の荒れる冬にこの山を登るなんざ、自殺行為もいいとこだぜ」

「はぁ・・・・。実は、自分は何度もこの山を登った事がありますが
 こんなにひどい天候は、今年が初めてでありまして・・・・・・」

「初めて・・・・ってことは、普段はこんなに天気は悪くないのか?」

「はいっ!!いつもは、もっと穏やかな天候であります!!
 それに、いくら自分が山を愛しているとはいえ、こんな吹雪があるなら
 冬に登頂なんてしないであります!!」

「なるほど・・・・・・・ってことは、今年は異常気象なのか。
 そういやぁ、お前も吹雪にあって遭難したんだっけ?」

「はいっ!ただ・・・・・・・・」

「ただ?」

「自分が遭難した時も、確かにこんな吹雪だった事は記憶しております。
 しかし、自分がどのようにして死んでしまったのか
 まったく憶えていないのであります!!」

「憶えていない?何にもか?」

「はいっ!!」


(う〜〜ん・・・・・何も憶えていない、か。まぁ、仕方ないかもな。
 自分が死んだことすら気付かない幽霊も、世の中にはいるんだし。
 寒さのせいで、意識がハッキリしていなかったのかもしれないしな)

 とりあえず、もっとも有りえそうな理由を、頭の片隅に置いておく。


「・・・・横島サン、俺、本当に嬉しいっスよ!」

「・・・・・・何がだよ?」

 話が中断したところで、唐突に話しかけてくるワンダーホーゲル。


「真剣に話を聞いてもらえるだけでなく、死んだ後もこうして
 もう一度、男同士で山の夜を過ごせるなんて・・・・。

 俺、すごく嬉しいっス!!

 横島との距離をずいっと狭め、近づいて来るワンダーホーゲル。 

「ちょ、ちょっと待て!!」

 横島の背中を、ぞくっとしたモノが駆け抜ける。

「・・・・・・・・・・・・・・!!ごっ、誤解せんでください!!
 俺が言ってるのは男同士の友情とゆーか、連帯とゆーか・・・・。

 そーゆう意味っスよ!」

「な・・・・なーんだ、そうなのか。おどかすなよなぁ。
 一瞬、サブいこと考えちまったじゃねぇか」


「「ア、アッハッハッハッハッハ・・・・・・・・・・・・」」


 お互いに、渇いた声で笑い合う2人。

 この寒い空気は、吹雪のせいだけなのだろうか・・・・・・・?


(コ・・・・コイツ、もしかして仲間とはぐれたんじゃなくて
 本当は仲間に見捨てられたんじゃねーのか!?

 ・・・・・・いやっ!俺がコイツの仲間なら、絶対に見捨てる!!

 先程から、なんとなくモーホーっぽい言動をするワンダーホーゲルに
危機感をつのらせる横島。


 そして――――――


「寒くないっスか?横島サンッ!!」(ぽっ)


 ――――――終末の時が来た!!


「ひーーーーーーっ!!」

 ワンダーホーゲルの言葉とともに、横島はダッシュで逃げ出した!


「よ、横島サン!!どこへ!?
 男同士あっためあって、友情と青春と人生を・・・・」


「やかましいっ!!
 冗談じゃねーっ!!」


 叫びながら逃げ続ける横島。そりゃあもう、必死な形相だ。


「友情っスよーーーーーーっ!!
 青春っスよーーーーーーっ!!」


「んな気色悪い友情や青春は、よそでやれっ!!」


「このままだと死ぬっスよー!!戻ってくださああい!!」


 叫びながら追いかけてくるワンダーホーゲル。
 彼は幽霊なのだが、別の意味でコワイ


「くっそがぁ!!これじゃあ『山男には惚れるなよ♪』じゃなくて
『山男には掘られるなよ♪』じゃねぇか!!」


 さきほどワンダーホーゲルが歌っていた曲の一節を思い出し
ケツを押さえながら毒づく横島。今、横島の頭の中では


『むっすこさん♪

 よっくきーけよっ♪

 やっまおとこにゃ♪

 ほーられるなよほうっ♪』


 という、ワケの分からない歌がこだましていた。 

 吹雪が吹き荒れる中、横島の生命(貞操)をかけた逃走が始まる・・・・・。


 続く・・・・・・


あとがき

 約2週間ぶりに投稿させていただいたYOUKAIです。今回の作品が出来た
ので、投稿させていただきました。
 また、レスを送っていただいた片やマン様、法師陰陽師様、咆牙紫苑様
葵様、リーマン様、
本当にありがとうございました。

 では、今日はこの辺で失礼いたします。

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