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「ひのめと横島・前編(GS)」

むぎちゃ (2005-02-21 02:25/2005-02-21 22:16)
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 「じゃあ横島君、留守番頼んだわね」

 「ういーっす」

 「それじゃあ横島さん、行ってきますね」

 「先生〜 ちゃんと待っているでござるよ〜〜」

 「横島・・・ ちょっと遅くなるかもしれないけど、ちゃんと帰ってくるからそれまで家に帰らないでよ?」

 「はいはい、わーったよ。気をつけて行ってこいよ」


 「さてと・・・・・・ 昼寝でもしてますか」


 「こんにちは、人工幽霊♪」

 「お帰りなさい、ひのめさん」

 自分の姉の事務所の前に立った、ひのめと呼ばれた少女がそうあいさつをすると建物自体から彼女に対してあいさつが返ってくる。

 一般の人間には不思議に思えるそのことも、少女からすれば気にするようなことではなかった。

 物心がついた頃からずっと続いているやりとり、高校に入り16歳になった今でもほとんど毎日交わされるあいさつ。

 「今日、忠にぃいる?」

 「えぇ、横島さんなら先ほど帰ってきて今は中で休んでらっしゃいますよ」

 あいさつの後に続く、このやりとりもいつものことだったりする。ただ日によっては横島がいないこともあるので、ひのめにとっては残念な結果に終わることもあるのだが。

 「ほんと? よかった〜♪」

 人工幽霊の答えにひのめはほっとしたような笑顔を浮かべると、後ろで束ねた亜麻色の長い髪をぴょこぴょこと揺らしながら建物の中へ入っていった。

 「待っててね、忠にぃ。愛しのひのめが今行くから♪」


 「ただいま〜〜〜〜♪」

 カチャリという、扉の開く音と共に部屋の中に飛び込んでくる、何処か甘えるようなひのめの声。

 横島のいる日であれば、そのひのめに気づいた彼が『お帰り』という言葉と共に、優しい笑顔で彼女を温かく迎えてくれるのだが。

 「あれ?」

 今日は横島がいるはずなのに、何故かその期待していたお出迎えがない。変わりに、しんとした静寂とその中に小さく響く時計の音が彼女を出迎えた。

 「むぅ。おかしい・・・ 忠にぃいないのかな? でも、人工幽霊が嘘なんてつくわけないし・・・」

 さっきまでの元気はどこへ行ったのか、ひのめはあからさまに落ち込んだ様子で、きょろきょろと辺りを見回しながら部屋の中へ入っていく。

 部屋の中に置いてあるソファーの辺り、ちょうど入り口からは死角になっている、人の座る方が見える辺りにまで来たとき。

 「ん?」

 小さな人影が彼女の視界に入ってきた。

 (誰か寝てる?)

 そんなことを思いながら、ソファーの前にまわってみる。

 「誰だろ、この子・・・」

 ひのめが見つけた人影は幼い子供だった。ソファーをベッド代わりにして身体を少し丸め、す〜す〜と小さな寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている。

 初めて見る子供を不思議に思いながらも、もう少しよく見ようと、ひのめはソファーの前にしゃがみこんだ。

 年は5、6歳だろうか。その年頃のせいもあって、ひのめの方を向いて寝ている子供は男の子か女の子かよく分からない、中性的な可愛らしい顔立ちをしていた。

 (だけど何処かやんちゃそうな感じがするから・・・)

 「男の子だよね・・・?」

 自信なさげにそう呟く。ひのめが確信を持てない理由、それは子供が寝間着で着ているピンク色のパジャマであった。白い水玉模様の入った可愛らしいそれのせいで、女の子だと言われてもまったく違和感がわかない、それほどぴったりと似合っていた。

 そんな少年をじ〜〜〜っと見続けるひのめ。

 「な〜んか誰かに似てるような気がするんだけどなぁ。さてさて誰に似てるのでしょうか・・・」

 何処かで見たような顔立ちに、う〜んと頭を捻る。下唇に人差し指をあてて考える姿が可愛らしい。そんな少女の脳裏に、今まで出会った人物の姿が次々と写し出されては消えていくが、一向に思い当たる人物が思い浮かばない。

 「う〜〜〜〜〜〜〜」

 「・・・・・・・・・」

 必死に考えている、その間も少年は少女の目の前ですやすやと眠り続けていた。

 しばらく考えていたひのめだったが少年の気持ちよさそうな寝顔を見ていると、だんだんと一人悩んでいる自分が馬鹿みたいに思えてきて、結局は少年が誰なのかなんてことは気にならなくなっていた。 

 「それにしてもよく寝てるわね」

 自分以外の人間がこんなに近くにいるのに、余程ぐっすりと眠っているのか、まったく目を覚ます気配のない少年にひのめは少し呆れたように小さく呟く。と、同時に、自分の目の前で無邪気に眠る少年に対して、心の中にちょっとした悪戯心が生まれた。

 「さてと、できればこのまま気持ちよく寝させておいてあげたいんだけど・・・・・」

 そこまで言って、にやりと笑みを浮かべると、

 「こんなに気持ちよさそうに寝てられると何かしてやりたくなるのが人間ってものよねぇ♪」

 少年のやわらかそうな頬に自分の人差し指を押し付けた。


 ふに〜〜〜〜〜


 そんな音が聞こえてきそうなくらい、少年の頬にひのめの指が沈む。

 頬に沈んだ指を、優しく包み込むような柔らかい感触。予想していた以上の気持ちよさに、驚いたような表情で少しの間、動きが止まっていたが、すぐにその表情を笑顔に変えた。

 「きゃあぁ〜♪ 小さい子のほっぺたってこんなに気持ちいいんだ♪」


 ふにふにふにふにふにふにふに


 少年の頬が余程気持ちいいのか、指を押し付けては離すという行為を物凄い速さで繰り返す。興奮してきたのか、少女の頬が少しずつ赤く染まってきていた。ひのめの指の動きに合わせて、少年の頬もへっこんだり戻ったりを繰り返しているが、少年の方はいまだに目を覚ます気配がない。


 ふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふに


 それをいいことに、夢中になって少年の頬を堪能するひのめ。


 ふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふに


 だが、流石にここまで自分の頬をいじられていると目を覚ましそうなものなのだが。

 「・・・んぅ〜〜〜〜・・・・・・・」

 少年は突かれていた頬がくすぐったかったのか、ぐしぐしと手で何度かぬぐっただけだった。目は瞑ったままなので、まだ寝ているらしい。なかなかの強者である。

 一方、ひのめはと言うと。

 「・・・・・・・・・(ぽ〜〜)」

 少年の口から漏れた何処か甘えるような言葉と、猫が顔を洗う時のような可愛らしいしぐさに固まっていた。一本だけ突き出されたままの人差し指が少しだけ間抜けに見える。

 「・・・・・・か、可愛い・・・」

 悪戯の最中よりも頬を赤く染めて、ポツリと呟いた言葉。無意識だったのか、自分の口から漏れた言葉の意味が分からなかったようだが、すぐに理解し、はっとなる。

 「ち、違うの! い、今のは純粋に可愛いと思っただけで・・・私にそんな趣味があるはずがないわ!! そ、それに私には忠にぃが・・・・・・ そうよ、私は忠にぃが好きなの! ラヴなの・・・愛してるんだから!!」

 両手で頭を抱え込みながら、その場にしゃがみ込んで必死になって自分に言い聞かせるひのめ。

 「落ち着くのよ、ひのめ。私にはそんな趣味はないの・・・ ひのめ、あなたの好きな人は誰? 私が好きなのは忠にぃ・・・ 無邪気な笑顔がばっちし似合うGS横島忠夫・・・・・・・・・」

 しばらくの間、なにやらぶつぶつと呟いてたが、しゃがみ込んだまま何度か深呼吸をすると、ようやく落ち着いたのか顔を少年の方へ向けた。

 「ほ、ほら。大丈夫なんだから・・・さっきのは何かの間違いよ、勘違いなの、錯覚な「・・・うんぁ・・・・・・」」

 ひのめの言葉を寝言でさえぎると、寝返りをうって仰向けになる少年。


 ちらり


 寝返りをうった拍子にパジャマがめくれ、少年のすべすべなお腹があらわになる。小さなおへそもおまけ程度に顔を覗かせていたり。

 「・・・・・・・・・・・・・・」

 再び、ひのめの時が止まる。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「す〜〜すぅ〜〜〜〜」

 チッチッチッチッチッチッチッチッ

 静まり返った部屋の中で聞こえる、少年の寝息と時を刻む時計の小さな音。


 ごくっ・・・


 どれくらいの時間が経ったのか・・・

 一際大きな、喉をならす音が、静寂の空間に響いた。

 「だっからっ! 違うって言ってるの! 私はショタじゃな〜〜〜い!!」

 心の底から叫びながら、ひのめが、がすっがすっと部屋の壁に頭を何度も打ちつける。いつの間にソファーの前から壁際にまで移動したのか、恐るべき速さである。

 「冷静に、冷静になるのよ!!」

 言いながらも自分への戒めを続ける姿は、彼女の慕う横島が『煩悩少年』と呼ばれていた頃を彷彿とさせるほど似ているのだが、ひのめにとってそれが喜ぶべきことなのかどうか、それは彼女自身にしか分からないことだろう。

 余談ではあるが、ひのめが頭を打ちつけている壁のポイントが、かつて横島が犬・・・もとい人狼の少女や妖弧の少女に心を揺さぶられるたびに、己を戒めていたポイントと1ミリもずれがないのは驚くべき偶然なのだが、その事実を彼女が知る由もない。

 「はぁはぁ・・・はぁ・・・・・・はぁはぁ・・・」

 ようやく動きを止め、荒い呼吸をしながらもソファーの方へ振り返ると。

 「・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・」

 あれだけ壁に打ち付けていたのに、おでこが少しだけ赤くなっただけの少女と、いつの間に起きたのか、まだ半分ほど瞳が閉じている少年の視線が、お互いをとらえた。


 「・・・・・・・・・ひのめちゃん?」

 少年の口から漏れた言葉は、それほど大きいものではなかったが、その声は不思議と部屋に響いた。


 「それじゃあ、忠にぃは仕事のせいで、こんなにちっちゃくなってたんだ・・・」

 「まぁ、そういうこと」

 少し時間が経った事務所の部屋の中では、少年・・・横島忠夫の説明に納得したのか、なるほどね・・・なんて呟くひのめの姿があった。

 (な〜んだ・・・ 小さい子にドキッとしちゃって焦ったけど、忠にぃなんだったら何にも問題ないじゃない♪)

 少年が横島だと知って、心の中でそんなことを考えながら安堵しているひのめだが、十分に問題なことに気づいてほしいものだ。

 それはともかく・・・・・・横島の説明によると、少年の姿をしているのは、彼が担当した依頼が関係しているとのことだった。

 美神の所に舞い込んできた『幼稚園に出現する霊を退治してほしい』という一つの依頼。

 その依頼を横島が受け持つことになったのだが、ここで一つの問題が生じた。

 その問題というのが、その霊が園児たちの前でしか出現しないということだった。

 子供達の世話をしている大人の前には一切姿を現さず、また子供達がいてもその周りに大人がいると姿を見せないらしい。

 そこで登場するのが、横島の能力の一つ『文珠』。

 キーワードを込めて使用すると、込められた言葉によって様々な力を発動させることができる、ある意味反則的な能力である。

 その文珠に『幼』という言葉を込めて発動させた横島。

 込められた言葉通り、幼い頃の自分の姿になった横島は、美神に送られて依頼先の幼稚園に向かうこととなった。

 小さくなった横島に、彼の弟子であるシロがまとわりついたりして、出発が遅くなったりしながらも、一時間もしないうちに到着した依頼先。

 そこの園長と保育士のお姉さん方に事情を話し、さぁ調査を開始しようとした矢先。

 「何でか知らないけど、いきなり問題の霊が襲い掛かってきて、それを除霊して仕事は完了」

 そう言う横島に、ひのめは少し疑問気に言葉を返す。

 「あれ? でも、その霊って大人がいると出てこないんじゃなかったの?」

 「そうなんだよなぁ。美神さんから渡された資料には、そう書かれてたんだけど・・・」

 まぁ、そういうこともあるよ、と続けた横島にひのめもそうかもね、と頷いた。

 「で、事務所に帰ってきて昼寝をしてると、ひのめちゃんが帰ってきたと」

 「でも私が帰ってきたときには、忠にぃ以外は誰もいなかったけど。お姉ちゃんは一緒じゃなかったの?」

 「あぁ、美神さんは事務所に帰ってくると、留守番をしてたおキヌちゃんとシロタマを連れて何処かに買い物に行ったよ」

 「それで、誰もいなかったんだ」

 そう言って、ひのめが一人納得していると、横島が少し遠慮がちに声をかけてくる。 

 「と、ところで、ひのめちゃん。そろそろ離してほしいかなぁ・・・なんて思うんだけど」

 「へ?」

 ひのめが顔を下に向けると、遠慮がちに自分の方を見上げている横島の顔があった。

 「・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・」

 少しの間、見詰め合ったままの二人だったが、ひのめは満面の笑みを浮かべると。

 「ダメ♪」

 そう言って、膝の上に座っている横島をぎゅっと抱きしめるかのように、軽く少年の腰にまわされていた両手に力を入れた。

 「い、いや、ほら・・・恥ずかしいから・・・・・・ね?」

 「え〜〜忠にぃだって私が小さい頃、こうやってよく抱っこしてくれてたじゃない」

 「それは、まだひのめちゃんが小さいときだったしさ・・・」

 「今の忠にぃだって小さいよ?」

 「で、でもさ。身体は小さくても中身はいい年の大人だし・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「ね? だから離してくれると嬉しいんだけど・・・」

 余程恥ずかしいのか、膝の上から離れようと懸命になってひのめを諭そうとする横島に、ひのめが小さくポツリと呟く。

 「・・・・・・・・・・・・忠にぃは・・・私に抱っこされるのが嫌なんだ・・・・・・」

 「・・・・・・へ? いや、そ、そういうわけじゃ!?」

 目に涙を浮かべて、自分を見つめてくるひのめに横島は慌てて否定するが、少女の言葉は止まらない。

 「ううん・・・いいの。そうだよね、私なんかにこんなことされても迷惑なだけだよね? 忠にぃにはお姉ちゃんとか、おキヌちゃんとか、シロねぇ、タマモねぇ達がいるし・・・・・・」

 「あ、あの・・・ひのめちゃん?」

 「でも、昔から忠にぃには、こうやってよく抱っこしてもらってたから・・・・・・私にはそれがすごく嬉しくて・・・だから、忠にぃにも喜んでもらえるかなって思ったんだけど・・・・・・・・・」

 「ひのめさ〜〜〜ん・・・」

 「ごめんね、忠にぃ。もう、こんなことしないから・・・」 

 そこまで言って悲しそうに微笑み、抱きしめていた腕の力を抜いていくひのめに、横島ができることなんて一つだけしかない。

 「オレが悪かったです。どうか、このまま抱っこしていてください・・・・・・」

 「忠にぃ大好き♪」

 横島が完全敗北の白旗を掲げた瞬間、今までの表情はどこへやら、笑顔で横島を抱きしめ直すひのめ。さっきまで目に浮かんでいた涙は、その痕跡を一切残していない。

 「あぁ〜〜!? また、だまされたぁ!!」

 ひのめのうそ泣きに、見事に騙された横島がそう嘆いた。『また』と言っている事は、今までに何度もこんなことがあったのだろうが・・・・・・ まぁ、このやりとりを見ている限りでは、結果は簡単に想像できそうだ。

 「騙されたなんて人聞きが悪いわよ、忠にぃ♪」

 横島に対して、いまだに無敗の演技に満足しながら、ひのめは自分の腕の中でさめざめと涙を流している少年の頭を慰めるように撫でる。

 「いっつもそうなんだよな・・・ シロとタマモも俺が逆らえないのを知って・・・・・・ 女の涙見せられてダメだなんて言えるわけないってのに、どうしろってんだか・・・」

 「忠にぃってば、いじけないの。ほら、いい子〜いい子〜〜〜♪」

 どんどんいじけていく横島を、そのいじけさせた張本人であるひのめがあやすが、その表情はとっても楽しそうである。

 「いや、いい子いい子って・・・ 子供じゃないんだから・・・・・・」

 ぷくぅっと膨らんだ頬に唇をつんと尖らせて、と拗ねたような表情で、少しだけ恨めしそうにひのめを見上げる横島。どこからどう見ても、それは小さな子の仕草で、そんな仕草でそんなことを言われても説得力の欠片すらない。というか、今のひのめには逆効果だったり。

 「もう、そんな可愛い顔してたらお姉さんが食べちゃうぞ〜〜〜♪」

 からかうような口調で、横島の身体を自分の身体で包み込むように力いっぱい抱きしめるひのめだが、その頬は赤くなっており、呼吸も少し荒くて、目が笑っておらず瞳が潤んでいた。

 なんてことはない。愛しの忠にぃをずっと抱っこしていたせいで、我慢ができなくなってきただけだった。ただでさえ膝の上に感じる横島の温もりに幸せを感じていたのに、そこへ今の拗ねたような表情である。最早、ひのめの理性の糸は繋がっているのを確認するのが難しいくらい細くなっていた。

 「ちょっ、ちょっと、ひのめちゃん!? 少し離れて! む、胸があたってるってば!!」

 「なぁに? 忠にぃってば、もしかして私の胸が気持ちよかったの? もう・・・しょうがないなぁ♪」

 「ち、ちがっ・・・・・・」

 に〜っと笑うと、さらにぎゅうっと横島を抱きしめる。

 「どう? 形とか大きさって自分では結構自信あるんだけど・・・ 忠にぃ・・・ 気持ちいい?」

 横島の耳元で、そっと囁くひのめ。その息が横島の耳をくすぐって・・・


 「ひゃんっ・・・」


 横島の口から、子供特有の声変わりがしていない高い悲鳴が漏れた。


 ぷつん


 その瞬間、ひのめは自分の頭の中で、そんな音を聴いたような気がした。


 「ねぇ? 忠にぃ・・・・・・」

 ぎゅうっと胸を押し付けたまま、少し声を低くしたひのめが横島の耳元でぼそぼそっと囁いた。

 「んっ・・・ な、なに? ひのめちゃん・・・」

 耳がくすぐったいのを我慢しながら、横島がひのめに言葉を返す。何処か声の低くなったひのめに、言いようのない不安を感じる横島だが、自分の抱きしめている少女の顔を見ようにも、お腹に回された両手でしっかりと固定されていて、身体を動かすことができない。

 「あのね、忠にぃ・・・・・・・・・


                 えっちなことしようか・・・・・・?


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」


 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 まるで時が止まったかのように、微動だにしない二人。その沈黙を破ったのは横島の方だった。

 「あ、あの・・・ ひのめちゃん? い、今なんて・・・・・・?」

 耳元で聞こえた言葉が信じられないのか、おずおずとひのめに聞き返す横島。

 「うん、だからね・・・ 今から私と忠にぃで・・・・・・えっちしようか? って言ったの♪」


 「・・・・・・・・・・・・」


 「・・・・・・忠にぃ?」

 「・・・・・・・・・・・・!?」

 ひのめが声をかけると、それまで黙り込んだまま固まっていた横島が、少女の膝の上から慌てて飛びのこうとするが・・・

 「だ〜〜〜めっ♪ 逃がさないよ、忠にぃ♪」

 腰にまわされたひのめの両腕が、がっちりと身体を捕まえているので、ただその場でじたばたと暴れることしかできない。

 「は〜〜な〜〜し〜〜て〜〜!!」

 「絶対に離さないんだから♪」

 そう言うと、ひのめは横島を脇に抱えてソファーから立ち上がった。

 「ひ、ひのめちゃん・・・ どこに連れて行く気なのさ! てか、早く離して〜〜〜!!」

 「どこって・・・ ここじゃ雰囲気でないからベッドのある寝室に行こうかなぁって♪」

 「いやいやいやいやいや!! 駄目だって!!」

 「いいから♪ いいから〜♪」

 「よくな〜〜〜〜〜〜い!!」

 脇に抱えた横島をまったく気にすることなく、ひのめはご機嫌で部屋から出て行った。

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