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▽レス始

「極楽の守護者・4(GS+スプリガン)」

ほんだら参世 (2005-02-19 23:31)
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タマモには目の前の光景が信じられなかった。
隣りに居る自分の相棒(公私共に)にして保護者である横島忠夫の生態は、よく知っている。
その知識からいって、目の前の美人を見ても飛びつくようにしてナンパする等と言った事をしないのはおかしいのだ。
その上、借りてきた猫の様に大人しく正座しながら、目すらも合わせようとしないなんてのは有り得ない事だなのだ。

「ふむ、そう緊張するな、横島。 この前のアレは、お前があまりに不埒な真似を続けたからやったのだ。 お前がまた不埒な真似をくり返すような事をしない限り、あのような事はせん。」

「い、イエッサーであります!! 亜取さん!!!」

「いきなり大声で吼えるな、隣りの娘が驚いてるではないか。  ゴス  」

ちなみに今のゴスっという音は、亜取と呼ばれた女性が横島に向かって投げた灰皿がクリーンヒットした音であったりする。
その会話と光景を見て、慣れているタマモは、ああそう言う事か、とため息をつきつつ目の前に出されたお茶を一啜りし、まだ慣れていない美神とおキヌちゃんは顔を引きつらせていた。

「え、えっと、亜取さんは横島君と知り合いなんですか?」

「うむ、この男の師匠にあたる人物とは懇意にさせてもらっていてな。 この男とも何度か顔を合わせていたのだ。」

「あ、私も聞きたいんだけど、忠夫に何やったの? 何か、普通じゃない様子なんだけど。」

美神からの質問に即座に答えた亜取に、今度はタマモが質問したが、亜取は直ぐに答えずにフッという笑みを浮かべ虚空を見た。

「いやな、あまりにもこの男のセクハラがうっとおしかったからな、真っ暗闇の空間に毒虫や毒蛇や毒蛙などと一緒に一晩閉じこめておいたのだよ。」

それを聞いた瞬間、その様子を想像したらしい女性陣三人が顔を青くし、その時の事を思い出したらしい横島が部屋の隅でブルブルと震え始めていた。
特に横島の状態は酷く(一匹も殺すなよと殺気をふんだんに込めたお言葉を貰っていたので、一晩中虫たちにされるがままだった時の感触をリアルに思い出しているのだ)多分この会談中には復活できないだろう。

「まあ、いまはそれは関係ない話だからな。 とりあえず、仕事の話をしようではないか。」

「え、ええ、そうね。」

「さ、賛成。」

これ以上おぞましい事実を聞きたくなかった美神とタマモは、その亜取の意見に賛同して、ようやく仕事の話が始まった。


ちなみに、横島はその会話の間中、部屋の隅で慰めにきたおキヌちゃんにしがみついてがくがく震え続けていたりする。


SIDE:優


「見てるだけで寒気がするぜ・・・」

壁の至るところに髑髏が掘り込まれている洞窟の中で、優は身を潜めながら何十人もの人間が一つの像を崇めているのを観察していた。

「忠夫の野郎なら、こんな色気の無い集会なんぞ見たくねえよ、て言うだろうな。 ・・・・さて、そろそろ行くとしますか。」

優は満足行くまで見物できたらしく、見つからない様にこっそりと後へ下がろうとする。
だがその次の瞬間、彼は信じられない(信じたくない)人物が見えた。

「ゲ! ・・・・・・・・・・そ、染井芳乃!?」

そこにいたのは彼と、彼の親友の天敵の一人である茶髪の少女―遺跡あらし“染井芳乃”だったのだ。
しかも、植物の蔓で作ったロープを手にして何やらやっているのだから、これから起こるであろう事も想像できる。

「や、やめ 「とう!!」 ああああああ!」

優の静止の祈りも届かず、掛け声とともに飛び降りる芳乃。
そして予想通り像を強奪するのに加え、ロ―プが切れて地面に不時着、みなさんこんにちは状態のオマケ付きの結果を迎える。

「だああああああ!」

予想以上の芳乃の成果にうなり、わき目も振らずに優は後ろに逃げ出した。

「あ、優ちゃ〜〜〜〜〜ん、おひさ〜〜〜〜! 待ってよ〜〜〜〜〜♪」

「来んじゃねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

だが、偶然同じ方向に逃げ出した芳乃に見つかり、数十人の原住民達との追い駆けっこが始まるのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・

数十分後、槍やら矢やらを飛ばして追って来るパワフルな原住民の皆さんを何とか撒き、息を荒げながら地面に腰を落とす二人が居た。

「はぁ。 はぁ。 はぁ。 おい、一つだけ答えろ!」

「はぁ。 はぁ。 な、なに!?」

「何しに来やがった、この野郎?」

いらん事言って自分を追いかけっこに巻き込んだ目の前の悪魔に顔を向け、優はそう言いながら殺気を隠さずに睨みつける。

「なーに言ってんのよ、優ちゃんに会いに来たに決まってるじゃない♪」

だが芳乃は、そんな殺気など通用しないとばかりに受け流し、にこやかな笑顔で声を返す。
じゃあそれは何だ、と抱えている像を指差しても、偶然見つけたの♪、とこれまたにこやかに返事をする。

「でも、世界で最も珍しい神像の一つ―英雄ラーマの像が、こんな所で手に入るなんてねえ・・・・・ これなら好事家や宗教研究家が良い値をつけてくれるはず、あんたが動くからって先回りしといてよかったわぁ♪」

「ちぇっ・・・・ さすが遺跡荒らしの芳乃・・・・ いい根性してるぜ    って、俺がここに居る事を知ってたって事は、さっき俺が逃げる方向に一緒に来たのは、思いっきりわざとか!!」

芳乃の言葉の中の聞き逃せない部分を聞き取り、優がそう吼える。
どんなに吼えようと目の前の悪魔には全然無駄であろう事を、頭の隅で理解しながら・・・

「怒らない怒らない、いざとなったらこの可愛い芳乃ちゃんを守ってやるってぐらいじゃないと、女の子にもてないわよ。 そ・れ・よ・り♪ 今度の目的って本当は何なの!? まさか“ラーマ神像”をとりに来たわけじゃないんでしょ!!」

予想通り全然無駄だったらしく、こたえる所か情報を得ようと纏わりついて来るのであった。
その様子に優は辟易にたような顔になり、振り払うように手を動かす。

「あー、うっとおしい!! ・・・いいか!! 俺はこれから地元の人間でも近づかねえ“帰らずの森”って所を探索しなきゃなんねーんだ。 一度入ったら二度と出てこれねえと言われてる“魔の森”だ!! 悪い事は言わねえ、死にたくなけりゃあとっとと帰んな!!」

と優は言って帰そうとしたが、目の前の芳乃と言う少女にはそれは逆効果だろう。
この時の優は、彼女の性格と職業を忘れていたとしか言えない。

「・・・・・・・・・ そんなすごい森なら、出てくるお宝はさぞかし凄いもんだろーね・・・」

優はそう言いながら怪しげな笑顔を浮かべる芳乃の顔を見た瞬間、ようやく自分の失敗を悟った。
自分の言葉は、彼女を焚き付けるだけにしかならなかった、と。

「それに、あんた達が動いてるとなると、かなり信憑性があるって事だからね。」

(あー、完全に余計な事を言っちまったみたいだな。)

優はそう思いながら、頭を抱えたいのを必死に押さえた。

「ねえー、もう村にも戻れないし、いいでしょ!?」

「(なにがだちくしょう)あーあー、わかったよ勝手にしろ!!」

そう言いながら、あわよくば等と考えてニヤリと笑う芳乃に背を向けて、優は足を進める。

(ったく、今回は忠夫達もいねーのに、めんどくせえ事になったぜ。 それでなくとも、今回は厄介な件なのに・・・・・)


*  *  *  *  *  *  *


『優・・・・ 気をつけて行って来いよ。』

『珍しいじゃん、どーしたの? 今回に限ってそんな心配してくれちゃって。』

『バカもん!! 私はいつも心配しとる!! だが・・・・・ 今回だけは少し話が違うんだ・・・・・  私は今回のアーカムのやり方には賛同しかねている。 やはり“帰らずの森”には手を出すべきではなかっらんだ。』

『・・・・・・・・』

『話したとは思うが、あの森には不老不死の妙薬“神酒(ソーマ)”があるといううわさがある。 我々もその正体をつきとめるために数名のエージェントを送った・・・だが・・・・・その全員の消息があの森で途絶えてしまった・・・・・』

『近頃は、あらゆる組織が超古代文明の遺産に手を出し始めている。 あの森にも数多くの人員が送り込まれているらしい。 しかし、だからといって我々までもがあの森に手を出す事はないと思う。 最近どうもライバル組織との競争意識が先立った行動が増えていて、本来の目的から外れた行動が多い気がしてならんのだ。 不老不死の薬なんか、愚か者共があさっていればいい・・・ そして勝手にあの森に飲み込まれればいいのだ・・・・・・  だが・・・ それに手をつけようとしている我々も・・・ もはや愚か者の仲間にすぎんのかもしれん・・・』

『・・・・・・・・・・・・・・準備も整ったみたいだし、そろそろ行って来るわ。』

『優・・・・・ 今回は我々の尻拭い的な仕事を押し付けてすまんが・・・・・ 本部の言う通りに無理をしてまでエージェントを救出しようと思うな。 あの森の近辺を少し調査すればいい!! “帰らずの森”だけには絶対に入るなよ!!』

『大丈夫だって、山本さん!! 空と地面がある場所で、俺が迷うわけねーだろ!!』

『ああ・・・ だが油断はするな!! 今回は忠夫もタマモ君もいない上に、我々を目の仇にしている兵器開発集団“トライデント”も動いているらしい。 どんな事があっても交戦だけはさけるんだ。 いいな、お前だけは必ず帰って来い!!』


*  *  *  *  *  *  *


「ゆ・・・ん ・う・・ん」

(山本さんが言ってた通り、今回は忠夫のヤツがいないしな。 こういう仕事の場合、絶対にアイツと組んでいたから、気をつけて行かねえとな。)

「聞こえてないのか、御神苗優!!」

「うおわっ!! 耳元で騒ぐんじゃねえ!!」

何度読んでも返事をしない優に業を煮やした芳乃の絶叫により、優は思考の淵から浮上させられた。
どうやらかなり長い事無視した形になっていたらしく、横の芳乃はかなりご立腹の様子である。 

「お、おう。 で、何の用だ?」

「・・・今回は忠君とタマちゃんはどうしたの? って聞いてんのよ。」

「ああ、あいつらか。 あいつらなら今別の任務についててな。 今頃、二人仲良くのんびりやってんじゃねえか。」


SIDE:忠夫


「ほら、何時まで震えている! しゃきっとしろ、しゃきっと!! ゲシッ

「ふべっ! い、イエッサーであります!! 亜取さん!!!」

優の予想と違い、全然のんびりした様子の無い横島であった。
何時の間にか話が終わったらしく、周りは自分と自分がしがみついていたおキヌちゃん以外全員がすでに立ちあがって出発の準備をしている。

「あ、あーーー・・・・・ お話は終わったのですか?」

「ああ、お前が隅で震えている間にな。」

亜取はやれやれといった感じにそう言った後に、出口に向かって歩き出した。
それを見た横島はあわてて付いて行き、同じように後に続いたタマモに質問をした。

「なあ、今回の目的地ってどこなん?」

「あんた、本当に何も聞いてなかったのね。」

「・・・・・・・・お前は、あの人の恐ろしさを知らんからそんな事が言えんだよ。」

呆れた様子のタマモにそう反論して、横島は耐えきれんとばかりに自分の肩を抱き、一度身震いをする。
この男、件の毒虫の罰以外にも、そうとうの事をやられているらしい。

「あーーーーー、まあ良いわ。 それで、今回の目的地だけどね。


“帰らずの森”って所らしいわ。」


後書き

うぃ、自分と同じく当分は独身貴族を続けると思っていたのに、そうそうと結婚を決めた裏切り者に呪詛の念を送りまくっている、ほんだら参世です。
皆さんの中にも、結婚を決めている人は居ませんか?
居たら言ってくださいね ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・呪いますから♪

まあそんな事はどうでも良いとして、今回の話はキリが良かったんで亜取さんと芳乃ちゃんのご登場で終わりました。
原作ではこの話は長くない話ですから、次回合流してそのまま一気に最後までって行きたいとこですが、多分二話に分けていくでしょうね。

次は『極楽の守護者』か『素晴らしい日々へ』かは決めてませんが、まあぼちぼち行きますわ。
とりあえず、偽バルタンさん達のリクを片付けてからあぷします。
あと三つ、気張って書くぞ〜〜〜。

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