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▽レス始

「GS的今話(1st)〜夢か幻か〜(GS)」

斧 (2005-01-29 11:39/2005-01-30 05:54)
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 ――時は2005年。
 アシュタロスの事件より6年が経過した今。
 東京の、とあるGS事務所にて、ある重大な事件が発生していた――


――プルルル、プルルル…
「三河屋でー…じゃなくて、横島です」
 横島家。
 以前のボロアパートではなく、幽霊屋敷だったものを除霊して改修した山奥の日本家屋である。
 その広い屋敷に4つある電話の内、台所付近にあるものを、横島が取った。
 左手にはおたま、かけたエプロンには[達][人]の文珠が光っている。
《よ、横島さん!?済みませんが、雪之丞を連れて、早く来てくださいっ!!!》
 電話口から聞こえてきたのは弓の叫び声。
 弓とて優秀なGS、大抵な事では驚かないはずだが、と横島は思い、聞く。
「何があったんだ、弓さん?確かに雪之丞は家に居るが――俺たちでもないと手に負えない様な魔族でも?」
 小竜姫――並びのその親御さん、さらには自らの両親達のための料理を食われ、一辺ボコってからの再料理中である。
《…ある意味、ハルマゲドンよりも恐ろしいモノです…!!!!》
「…は?」
《美神所長――お姉様が――》
 弓は、恐ろしい事を言うように息を呑んだ。
 意を決し、言う。


《――壊れました。》


「…は?」
《具体的には、唐巣神父の教会を立て直したり、西条夫人――めぐみさんと笑顔で――心の底からの笑顔で会話したり、エミさん・冥子さんとお茶会をして優雅に微笑んだり、抱っこされたひのめちゃんが笑ったり、慈善事業のため資金を寄付したり、脱税していたお金を全額――いえ、3倍にして納めたり、妙神山の宿舎や道場などの建て替え、光ファイバー回線その他etcの工事を執り行い――しかも全部無償で!!!!ああもうタグの使いすぎかと思いますけど、とにかく酷い事になってるんですのよ!?しかも素直!!あのお姉様が、エミさんに「ありがとう」ですよ!?言っちゃったんですのよ!?しかも唐巣神父並みの料金(注・経費もほとんど落とさず、通常の除霊すら全て200万未満)で除霊まで!!!!ああ、キーやんは死にましたの!?南無ー!!!》
「……弓さん」
《なんですの!?》
「…今すぐ文珠を100個ほど郵送するから町ごと天界へ!大丈夫、竜神王はいいおっさんだから!ゲーム猿より現代ナイズされたレゲェなおっさんだから!!飛べ、美神さんだけ残して!!流星雨が振るかマイナス100度を超える大寒波が来るか富士山が噴火するか大地震が来るかするから!とにかく災害が起こ――」
「落ち着け」
 ズガ。
 鈍い音と同時、電話が吹っ飛ぶ。横島の頭によって。
 赤い物がだらだらとそこから滴り落ちるが、滴り落としている主は何事も無かったかのように霊波刀――栄光の手を振りぬいた。
 ぎゅん、としゃがんでそれを避けたのは伊達雪之丞。魔装術を極めた男であり、その戦力は中級魔族にも匹敵する人外である。
 その手に持つは、狐色になったコロッケの乗った皿と、箸。
 …どちらも、横島が改めて作り直した物である。
 双方、動く。雪之丞はまだ残っていたコロッケと箸を放り出し、魔装術を発動し。
 ――横島は、[魔/族][覚/醒]、[金][天][秤][聖][闘][士]、[滅/殺]…その他etcの、本気で。


 …ちゅどーん…ずがーん…ろざんひゃくりゅうはー…


 果てしなくイイ笑顔の横島、物言わぬ屍のユッキー。
 横島の栄光の手は龍の様な形。
 それを消し、時間を見る。…意外と時間がかかった。既にコロッケを作り直している暇は無い。
 文珠で[揚][蒸][芋][肉][混][衣]――6個も使って贅沢にコロッケを作り出す。
 …他にも食われていた味噌汁で3個、ご飯で2個。思いつきで雪之丞の霊力を[吸]収して10個を作り出し、戦闘中に切れていた[達][人]をもう一度発動、雪之丞に[吸]を投げつけて、事務所に置いてある[着]まですっ飛ばす。天井や床を[直]して怪我を[治]し。大分減ったな、と思いつつ残る9つはポケットに入れ、料理を再開する。
 …文珠は大体所長室に置かれてあったな、と考えながら。


…ヒィイ イイイイイイイイイイイン!!!!


…ズッドオオオオ・・・


「――ッくはっ!!」
 魔装術全壊雪之丞が無傷で上体を起こした。アンチ必殺・リアクティブ魔装術の効果の程が伺える。
 …周囲を見回し――そこは美神除霊事務所所長室。即ち。
「…雪之丞…?」
 …美神令子の城である!!
 雪之丞は瞬時に死ぬ、と言う単語――でなければ拷問とか血祭りとか殺戮とか弓・ママに会えそーもないなとかそんな事を思った。しかし事態は、彼の予想とは大きく外れて動き出す!!


「大丈夫!?怪我は無い!?」


 …ゑ゛
 思わず旧仮名使い。
 雪之丞、実際ちっとも話を聞いていないのである。
 横島が錯乱して叫んでいたから蹴ったわけで。
「…何だこれは…」
 とりあえず弓に殴られておこうと思った。不気味だから。


 ――5分後。
「馬鹿雪之丞ーッ!!!」
「ぐべらぼぁっ!!!!」
 ずがばきべきぼき…と、弓式除霊術裏奥義千手観音、500本同時の右ストレートが雪之丞の全身を打つ。
 不安をその痛みとともにふっとばし、聞く。
「…で、何があったんだ?」
「最近貴方も不死身になってきたような…まぁいいでしょう。一週間ほど前の除霊のときなのですけど――」


 ――事は8日前に遡る。


 美神除霊事務所の現在のメンバー6人――美神・シロ・タマモ・キヌ・一文字・弓が集い、美神の話に聞き入っている。仕事の話だ。
「今日の仕事は、ナイトメアって悪魔の駆除――」
 そう言って、資料を見せる。
「――今回のナイトメアは異常に強力で、Aランクの仕事なのよ…所詮ナイトメア…と言って油断しないようにね。特に一文字さんはこの前結婚したばかりなんだし」
 魔理の顔が途端に緩む。
 新婚熱々、美神もエミの所からタイガーが移ってくるかもしれない、という事も合って機嫌は上々である。タイガーはなんだかんだ言っても強力な精神感応能力者、居るに越したことは無い。荷物持ちもできるし。
 6人は違法改造ノア(上部にミサイルが格納されてたりとか、マシンガンが搭載されてたりとか)に乗り込み、その除霊現場――白井病院へと向かったのだ。


「ほうほう」
 雪之丞が相槌を打つ。
 この事務所に貯蔵されていた文珠で壁と結界を[直]し、家具の配置を直しながら話を聞いていたのだが、ソレがやっと終わったのだ。
 …ちなみに美神、後で私がやっておくわ、なんて言ってたりもする。彼女は現在どこかに出かけているが、いつもと同じく居ない方が平和ではあるのだった。
「…その除霊が終わったあとからなのでござる…」
 いつの間にか入ってきていたシロが言う。
 同じくタマモも、
「…あれは肉を食べないシロと同じくらい不自然ね」
 と、この6年で成長したモノを揺らして言う(シロは…動きやすくてこっちの方が良いと負け惜しみを言っているが)
 現在一文字・キヌは別件の仕事で熱海まで行っているらしいが、今日の午後には帰って来るらしい。その仕事も本来のこの事務所の相場とは銀河系とスッポンくらいの値段の違いがある。
 色々と怖いので豪華な美神専用の椅子は使わず、絨毯(ひのめの火でも燃えず、卵を落としても割れないほどの勘違い高級絨毯)に座る。十二分以上に座布団の役割を果たすそれを、俺の食費に回してくれと自分勝手に考えつつ、話を聞いていく。


「さ、準備はいい?」
 美神(ナース服装備)が、他の5人に聞く。
 目の前のベッドには患者――30くらいの女性(一昔前の横島クンなら襲うかもね、と美神は思った)が眠っている。
 そして取り出したのは便利アイテム、文珠――それも双極文珠だ。
 数は少ないが、今回のナイトメアは、他に類を見ないほど強い。霊波の放射だけで追い出せそうにないので、直接中に入って叩きのめす。そのための物だ。
 [夢/中]を発動させる。
 そして、院長が頭を抱える中、彼女たちは夢の中へと入っていく。


〜その頃の横島〜

「よぅ、忠夫!俺たちの老後のためにこんな家を残してくれるなんていい根性じゃないか!と言うワケで小りゅズギャガキゴスッ!!
 とりあえず入るなりそんな事を言ってきた親父を前後左――自分・百合子・小竜姫で殴り倒す。
 小竜姫が話は聞いていたけど、と言う顔をする。決して嫌ってはいないのが判るが…別に嫌っても良いような、と思い、蹴り入れられる親父を見る。
 次に入ってきたのは、四角いアゴ、刈り込まれた米国軍人のような髪型、妙に小さい眼鏡、顔の大きさに反比例するかのように目は小さく、しかし眉毛は太い、と言うか太すぎる。広い肩幅にがっちりとした体格、竜と言うよか熊の変化とでも言った方が良さ気である。そのむさ苦しさは弓パパに匹敵する!!
 とにかく、濃い男が入ってきた。
「えーと…ようこそ…」
 横島も思わず威圧される。
 彼が小竜姫の父だろう、と思い、小竜姫の言葉を思い出す。
 ――確かに見た目は無口で怖いですけど…あ、ホントもやっぱり無口ですけど、面白い人ですよ?
 …面白い人?
 冗談を言ったら殺されそうな雰囲気ですらある。
 ぐっ、と彼が腰を曲げる。
 そして右耳に手を当て、


「でっかくなっちゃった」

 ボン、と耳が大きくなる。
 さらに左手を首筋に持って行き、圧す。
 びろん。
 そんな効果音が聞こえてくる気がした。
「ま…眉毛が…」
 軽い煙と同時、眉毛が、飛び出た。
 眉毛の形だけ小竜姫とそっくり、という事は見て取れた。そのびろん、と伸びた眉毛は蛇腹状のもので、左側に[私が小竜姫の父親、旋々竜でございます]――右側に[よろしくね♪]と書いてある…ちなみに、両方筆書きである。 ――とりあえず、愉快な人、という言葉の意味はよーく解った横島であった。
 …いつの間にか小竜姫の母親――旋々竜夫人が後ろに居たのは、恐怖体験としてアルバムにしまっておく事にした。


読んでくれた人、有難うございます。斧です。
ちょっと続く予定です。
しかし、いつにも増して駄目駄目なような。
きちんと横島君もかかわる予定です。一応。
…後書きってやっぱり難しい。

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