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▽レス始

「皆の笑顔の為に・・・ 第三十三話(GS)」

ファリス (2005-01-24 12:50/2005-01-24 15:07)
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校庭と校内に昼食の時間になった放送が入り、
観客席から生徒達が出て行くのをボ〜と見ながら、昼をどうするか考えている横島に令子が歩み寄る。
冥菜との話し合いの結果で疲れ切っていた横島は、注意力が散漫になっていてそれに気付かない。

「横島クン?」
「どうすっかな〜。・・・ん?あれ?美神さん何時の間にそこに?」

何処か上の空だった横島は呼び掛けられ振り返ると、そこには令子が訝しげに立っていた。

「どうかしたの?何時もだったら、私がここまで近づく前に気付いて振り向いていたでしょ?」

令子のこの言葉に横島は内心自分を叱咤し返事を返す。

「いえ、どうもしませんよ?」
「そう?(何かを隠してる?)」
「それで、美神さんはどうしてここに?クラスの人と昼食は食べないんですか?」
「(どうして隠す必要があるの?)え?ああ、今日は横島クンが来てるから、
横島クンと食べようかなぁ〜と思って。・・・もう誰かと約束しちゃった?」
「い、いや、まだ誰とも約束してませんよ?
(可愛いな。こんな美神さんを見るのはあの時代ぶりだな。・・・令子さん、元気かな)」

令子は横島に少しだけ顔を近づけて、上目使いで横島の顔を覗き込みながら聞いてきた。
それを直視した横島は、可愛く思うと同時にあの時代の令子の面影を思い出していた。
横島の瞳を見続けていた令子は、また横島が自分と話している時に他の誰かの事を、
思い出す様にしている事を寂しく思いながらも顔には出さず、
普段と同じ様に話しながら横島を昼食に誘った。

「(またなのね・・・)そうなんだ。だったら、私と一緒に食べない?」
「はい。喜んでお供させて貰います!」
「ふふ。じゃあ行きましょう?」


令子が内心は寂しそうにしている事に横島は気付かない。
これは横島が女性の想いに鈍感だと言うのも関係しているが、
令子が表情や想いを隠す事がうまかった事も関係している。
何せあの時代でも、横島への想いを認めたくが無い為に、
前世の記憶にプロテクトを掛けていた位なのだから。

令子はそう言って横島の腕に自分の腕を絡めると、校舎の屋上に向かって歩き出した。

何故屋上かと言うと、令子は対抗戦が行われている最中に街に食材と弁当箱を買いに行き、
家庭科室に行くと料理を開始した。
令子は美智恵が死んでからは一人暮らしをしているので、料理の腕は結構高い。
料理だけでなく、家事全般がそれなりの腕を持っている。

あの時代でも令子と横島がいた最初の事務所は、汚れても散らかってもいなかった事から、
当初は自分でやっていたのだろう。それが、おキヌが来てからはそれらを任せてしまい、
自然と自分ではやらなくなっていったのだと思われる。

それは置いといて。
腕を絡まれた横島は、邪な心と必死に戦っていた。
何故なら、横島の腕に柔らかい『物体』が当たり、その感触がひしひしと伝わっているからだった。

「あ、あの、美神さん・・・は、離れてくれませんか?」
「? 何で?」

横島の問いかけに、美神はきょとんとした眼をしながら問い返す。

「何でって・・・と、兎に角離れてください!」

そう言うと同時に横島は令子の腕から自分の腕を抜き取り、
お互いの間に少しだけ隙間を開けた。
その瞬間だけは、令子も寂しそうにしていたが、顔を赤くして横を向いていた横島は、
それを見なかった。・・・令子は、自分の気持ちに気が付き始めてきていた。

いや、気付いてはいたが、決して認めようとはしていなかったのだ。
自分が大切だと思っている人達は、全員が自分の所からいなくなってしまう。
母の美智恵然り、兄の様に慕っていた西条然りである。
だったら、そう思わなければいい。令子は自然とそう思う様になっていた。
しかし、横島と出会った事でその考え自体が崩れようとしていた。

「まぁいいわ。・・・でも、これくらいは許してくれる?」

令子はそう言うと横島の手を取り、片手でキュッと握り手を繋いだ。

「まあ、これくらいなら(何か、まるであの時代の美神さんといるみたいだな)」

横島が了承すると、令子は少しだけ嬉しそうに微笑むと、再び屋上に向かって歩き出した。


令子が横島と出会ってから変わった考えとは、
『何かが原因で私の前からいなくなってしまうのなら、その原因を私が取り除けばいい!』
と言う物だった。これは、あの時代の令子にも言えた事だろう。

横島を丁稚と言いながらも心配し、自分以外が原因で怪我をするとイライラしていたのだから。
それに、メフィストの魂が関係しているのかもしれないが、
横島はどんな事があっても、自分の傍からいなくならないとも思っていたのかもしれない。

―――閑話終了―――


屋上に着いた横島と令子は、夏の暑い陽射しを避けるように入り口の建物の日陰に入り、
並んで床に腰掛けると、令子が作った弁当を食べ始めた。
そして、弁当の中身を何度か口に運ぶと横島は、

「おぉ!こらうまい!こらうまい!」

そう言って、あっという間に自分の弁当を平らげた。

「・・・もう食べたの?」

その様子に令子は、冷や汗を流していた。
それもそうだろう。それなりに大きい弁当箱を用意し、それを横島に渡したのだから。
しかし横島は、その弁当を一分と経たずに平らげたのだから、驚くなと言う方が無理だろう。

「ええ。めっちゃうまかったですよ、美神さん」
「そ、そう?それは良かったわ」

横島がそう言うと、美神は頬を染めて嬉しそうにしながら返事を返すと、
自分の分の弁当を食べ始めた。
暫く校庭をボ〜っと見下ろしていた横島は令子に対抗戦について質問をする事にした。

「美神さん、対抗戦の準備は終わっているんですか?」
「ん?ええ、終わってるわ。使用できる武器は一つだけだから、神通棍を持っていくだけだし、
格好はこのままだからね」
「え?美神さんは霊服を持ってないんですか?」
「ん〜・・・家にはあると思うんだけど、どうもああ言うのって好きになれないのよね」
「好きになれないって・・・身体に傷が付いたらどうするんですか!?」
「よ、横島クン?」

令子は自分の言葉に突然怒り出した横島に驚いていた。

横島が怒った理由は、あの時代で初めて令子と身体を重ねた時に令子は気を抜いてしまい、
令子の身体にある傷が出てきてしまった。
それを見てしまった時に横島は眉を顰めてしまい、
そんな横島を見た令子は寂しそうに微笑みながら『やっぱり、こんな傷だらけの女は抱きたくない?』
と聞いてきた。その問いかけに横島は心が痛かった。
そして、令子にそんな事を言わせてしまった自分を殴り倒したくなっていたが、
そんな事をしても令子が喜ばない事を知っている横島は、別の行為を令子にしだした。
傷の一つ一つにキスをして行き、慈しんでいった。

この時横島は、『二度と美神さんにあんな顔はさせない』と考え、想っていた。
そう言う理由で横島は先程令子に怒ったのだ。


「いいですか!?GSになるという事は、何時一生消えない傷が身体に付くか分かんないんですよ!
だったら、それを少しでも少なくしましょうよ!それに、俺は令子さんが傷付く所を見たくありません!」

興奮していた横島は、自分が今までの様に『美神さん』とではなく、
あの時代の『令子さん』と言う呼び方をしている事に気付いていなかった。
しかし、その呼び方に一番驚いたのは令子だろう。
と言っても、あの時代では二人っきりの時だけの呼び方だったが。

「横島クン・・・今、私の事なんて呼んだの?」
「え?美神さんってよ・・・・・・令子さんって呼びました?」

令子に自分の呼び方を聞かれた横島は先程、美神の事を『令子』と呼んだ事に初めて気付いた。
そして、今度は逆に自分が令子に同じ様に質問すると、
令子はコクンと頷く事で答えた。その令子は首筋まで真っ赤に染まっているのはご愛嬌。

「あ、あははははは・・・・・・すみません、み「やだ!」 え?」

乾いた笑いをした横島は、令子の事を美神さんと呼んで謝ろうしたが、
その言葉は令子自身の声によって遮られ、そのまま令子は言葉を紡ぎ続ける。

「嫌よ!私の事を『美神さん』って苗字で呼ぶんじゃ無くて、
令子って私自身の名前で呼んでよ!今、そう呼んでくれたじゃない!
私、横島クンがそう呼んでくれて嬉しかったんだから!」

令子はそう叫ぶように横島に言いながら涙を流していた。
その涙は、あの時代で別れの時に令子が流した涙と同じに横島は感じた。
それに横島は、自分が大切だと想っている人が流す涙が一番堪える。
だから横島は、令子が自分を見詰めながら流す涙を自分の指で拭い、
令子の頬に手を当てながら言った。

「分かりました。これからは美神さんとでは無く、令子さんって呼びますね?いいですか?」
「うん」

横島の問いかけに令子は、か細く小さい声だったが確かに答え、
自分の頬に当たっている横島の手を握り返した。
そして二人はお互いの眼を見詰めあうと、二人とも眼を瞑り少しずつ顔が近づいて行き、
もう少しで触れ合うと言う所で、屋上の扉が勢い良く開くと、一人の少女が駆け込んで来た。

バンッ!!

「センパイ、いますか〜〜?いますね!?いるでしょ!?何処ですか、センパ〜イ!!」

令子の学校での親友で後輩の千穂だった。
入ってきた音と千穂の声に驚いた二人はバッと身体を離して、少しだけ距離を置いて座り直した。

二人が座り直すと同時に、タイミングよく千穂が二人のいる場所に顔を覗かせた。

「センパイ見つけましたよ!さあ、私とお昼を一緒しましょ!?」
「ごめん千穂。私はもう食べちゃったのよ」
「え?・・・そうですか、分かりました。じ、じゃあ、食後のお茶を!」
「貴女、まだお昼食べてないんでしょ?だったら、教室で食べなさい?
それに私はまだ、横島クンと話したい事があるしね?」
「横島君?何言ってるんですか?ここにはセンパイしかいませんよ?」
「え?」

入り口側に座っていた令子が千穂と話している間に、
奥に座っていた横島はその身体能力と霊力を使って屋上が消えていた。
と言うか、飛び降りていた。

令子が後ろを振り返ると、其処には誰もいなかった。
しかも、律儀に弁当箱も持って行ったようだ。
それを見た令子はポツリと小声で呟いた。

「横島クンのバカ・・・・・・」


で、屋上から逃げ出した横島はと言うと、
屋上から飛び降りる所を霊能科の生徒に見られ、死んだと思われたのか気絶されてしまい、
保健室にその生徒を運んでいた。


あとがき〜
本当にすみませんでした。
掲示板に書き込んだように、ちょっと体調を崩してしまい、気力が底をついてしまったんです。
でも、少しよくなったんで、また数日中には続きを投稿できると思います。
あんな事を書いてしまい、私の作品なんかを少しでも待っていてくれ方には、
本当に謝っても謝りきれません・・・。
しかも、二話に分けると言っておきながら、増えてるし・・・。
ダメだな、俺・・・


レス返し〜
D,さん、紫苑さん、漆黒神龍さん、渋さん、大神さん、柳野雫さん、weyさん、
矢沢さん、Danさん、J.さん、あららさん、レスありがとうございます。

皆さん、某神族と某魔族は攻めて来ないですw
美神はあの時代でも関係を持っていた内の一人なんでw

あと矢沢さん、あららさんへ

矢沢さん。
えっと、『除霊』と言うのは、除霊場所の浄化も100%行い、
『場』を『悪霊が溜まる前』の『状態に戻す』と言う事なのだ。
と書いてると思うんですけど、これでは説明不足でしたか?
つまり、魔鈴と違う点は、完全に浄化するのでは無く、悪霊が溜まる前の状態に戻す。
と言う事を書いたつもりだったのですが、説明不足だったのだと思います。すみません。

あららさん。
本当ですね・・・。出来ない事を言うなって言うのは正論ですね。
本当にすみませんでした。

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