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▽レス始

「横島の町〜プロローグ〜(GS)」

とみぃ (2005-01-10 03:15)
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なんでもひとり立ちするにはそれ相当の経験が必要だ。

・・・当然だがそれはGSも同じ。


美神さんから

「戦闘能力に関してはもう私のレベルでは測りきれない程」

になっていると聞かされた。


俺自身にそんな実感はないのだけど・・・好きな女一人守れなかったのに・・
それが顔に出ていたのか、美神さんは俺を少し悲しそうに見ると
大量の資料を目の前に置いて説明した。

美神さんは依頼主への報告とは別に、毎回詳細な分析を行っていた。敵の強さと性質、攻撃により与えたダメージ、道具の効果、建物などに与えた影響、
そして俺やおキヌちゃんへの指示とそれぞれの行動。厚さ50cmはありそうなアシュタロス戦の資料を軽く指で叩きながら、

「サイキック・ソーサーと栄光の手だけでも一流GSに引けをとらない能力だけどさ、それに加えて文珠の応用力とあんたの嘘みたいな体力・霊力があればもう私でも勝てない」

実際一度私に勝ってるでしょ?と美神さんは言う。

「で、私が『私より強い』と戦闘能力を分析した結果について何か文句があるなら意見してくれていいのよ♪」

美神さんはそれはもう満面の笑みで言い切ってくれました。
その笑顔が怖いんですけど(汗


「それでも戦闘能力をまだ向上させる余地はあると思う。その底なしの可能性は恐ろしくもあるけど・・・」

急に真面目な顔でそう続けられたので、俺は力なく「はい・・」というのが精一杯だった。

「だけど後あんたに必要なものって何か自分でわかる?」

「へ?どういう事っすか?」

「あたしはあくまで戦闘能力に関してだけ一応合格点を付けたのよ」

美神さんの説明によると、GSに必要な資質は多い。
依頼を完全にこなすには戦闘能力だけではなく、


×知識

・・・霊の種類や性質を見極め、最適な除霊方法を使う事が重要。


×交渉能力

・・・霊や魔族との交渉はもちろん、(そういえば美神さんは死神とだって交渉してたな〜)依頼人やオカGとの折衝、被害の及びそうな現場周辺住民をスムーズに避難させるのに必要。


○経営能力

・・・大丈夫らしい。以前美神さんがいなかった事務所を切り盛りし相当な利益を残したことがある。


△人脈

・・・「偏りすぎ」との事。神族・妖怪・GS関係の知り合いは多いが、高額な依頼を受けるには経営者層の人間に顔を売っておく必要がある。


×指示・指導能力

・・・実際の除霊現場で単独行動をとることはまずない。そのためチームを率いるリーダーシップと、部下の能力を把握し向上させる指導力も必要。


まだまだあるが、おおまかにはこんな感じだそうだ。

「ま、すごーく簡単に言うと勉強と場数を踏む事が大事なの」
現場の経験・・・それも自分が中心となって除霊する場数を踏まないと半人前のまま。

もうすぐ高校も卒業で、真剣に進路を決めなくてはならない。特に独立にこだわっているわけではないのだが、それでも一人前にはなりたい。

というか、美神さんに「お前は一人前だ」と言ってもらいたいだけかもしれない。

だけど・・・本当はルシオラに見せたいのかもしれない。でも・・・自分でそうわかっていはいるけど


今の俺にはそれしかないから・・


いつのまにかセクハラもしなくなっていた。無理に昔の真似をしなくても思えるようになったから。


あいつのことを忘れたわけではないし、夜は今でも辛い。


眠れないのではなく、夢に出てきた姿を見て幸せな気分になった後
「夢だった」と目覚めた後に気が付く朝が最悪だから。


それでも・・「生きていて欲しい」という最後の願いがあるから俺は生きる。


だから真剣に「GSになろう」と決意した。


俺にとって「生きる」事と「GSの仕事」は同じ意味になっているから。


「では今週の月曜会議をはじめるわね」

美神さんが集まった事務所の全員・・・おキヌちゃん、シロタマの2人、そして俺の前に
スケジュールが書き込まれた表を配る。毎週月曜はスケジュールの確認と各種伝達のためミーティングがある。
まるで普通の会社のようだが、そうなったのにも理由がある。

以前は「何だかよくわからないものに対応するよくわからない能力をもつ者」
という程度の一般認識しかなかったGSだが、あの事件・・アシュタロス戦以来、広くその存在が認められ、注目されることとなった。

おかげで仕事の際ずいぶんやりやすくなった点も多いが、注目されることがいい事ばかりとは限らない。

特に国税局査察部とか厚生労働省からも熱い視線を受ける事となったので、さすがの美神さんも

「コンプライアンス・ポリシー・ガイド」
・・・要は「きちんと令子だって法律を守ります♪」

「セキュリティ・ポリシー」
・・・これは「令子、あなたの秘密は守るわ♪」

といった本来事務所を構えている以上、アタリマエな事を今更ながら整備せざるを得ず、これまでのようながめついわりに大雑把な経営を大幅に改めた。


ていうか、それ以前に時給255円はないと思うのだが・・
ま、俺も変わり始めたが美神さんも変わっていくのだろう。


無論、最初のうちは

「私のお金は一銭たりも税金なんてドブに捨てるような真似させないわっ!」

と言っていた美神さんだが、母親からしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく・・説教されているうちに渋々始めた「経営の勉強」が意外に面白かったのと、一流企業のトップとサシで話すにはこれぐらいの教養は絶対必要だということもあり、次第と「経営」に目覚めていった。


そんなわけで、5人の事務所とはいえ、ちゃんと週1回のミーティングもあるし、除霊後には報告書を書かなくちゃならない。面倒だが、そうしておけば自分が参加しなかった除霊の状況を知ることもできる。


「まず今日は予定通り私とおキヌちゃんで取り壊すビルの除霊、シロとタマモは横島君の指示に従ってね」

「おう、こっちはたいしたことはないがどこにいるかわからんという悪霊退治だ」

「拙者の鼻ですぐ見つけるからご安心くだされ、先生」

「バカ犬に見つけられるかしら?無理だと思うけど」

「な、なにぃ!拙者は犬ではござらん!」

「あーわかったからケンカは後でなー」

「はいはい、ちゃんと横島君の言うことを聞きなさいシロ」

「う、うう・・なんで拙者だけ」

「やーい♪怒られた」

「タマモもね」

「え」

「で、明日火曜日は私とシロ・タマモがデジャブーランドの定期メインテナンス、横島君とおキヌちゃんは・・」


メンバーも増え、俺と美神さんが別々の現場に行く事も多くなった。最近は一度除霊した企業から定期的にメインテナンスを請け負う仕事もある。以前なら「やーよ、そんな儲からない仕事」といいそうだが、儲かる大きな除霊案件はそうそうやってこないため、「経営の安定化」のためと、企業とのパイプを維持するために受けているそうだ。


おかげでさらに美神さんは稼げるようになったのか、俺の給料も相当上がった。

時給から年棒制にしてくれたのだが、
ちよっとしたプロ野球選手並の額だったのにはマジで驚いた。
以前の美神さん相手なら

「嘘やーコレは絶対何かの罠だぁーっ!」

と俺も大騒ぎしただろけど、

「どうせ税金で持っていかれるなら従業員に還元した方がましよ」
ということらしいからありがたく頂くことにした。

なんでも一度国税局査察部に目をつけられたら、ヤクザに追い込みかけられるより余程タチが悪いと実感したそうだ。実際、以前国税局査察部・・通称「マルサ」が入った時の捜査は凄かったもんな〜!

なにせ灰になった書類の文字まで読みとってたし(汗


ただし、この金額にはシロ・タマモの指導料とチームの指揮をとる手当ても含まれている。指導・指揮も実戦で覚えろということか?そのかわり、さっきみたいにさりげなく俺を立てて指示しやすい雰囲気にしてくれているのはありがたい。

そしてもう1つ「文珠使用料」も入っている。だから俺は除霊現場で使用する分はもちろん、メンバー全員に「万が一の備え」として3コずつ文珠を配っている。


でも正直、人に何かを教えたり、指示したりするのは苦手なんだけどなぜかおキヌちゃんもシロ、タマモも俺の指示に素直に従ってくれるんだよな〜。


しかも、皆自発的に

「横島さん、この封印を貼り直してきましょうか?」

「先生、拙者が先行して警戒するでござるよ」

「ヨコシマ、幻覚で撹乱しようか?」

と、それぞれ意見を出して俺の返答を待ってくれる。


美神さんに相談すると、

「それはいい傾向よ。皆横島君を頼りにしているって事」

「でも俺ですよ?自分ですら信用してないってのに」

「あんたねぇ・・自分の事があいかわらず全然わかってないわね・・」

「俺、自分を含めて人のこと良くわからないことが多くて。よく『空気を読め』って言われますし・・」

最後にそう言ったのはアイツだったなぁ。

「まーそれはそうなんだけどさ、彼女達の事は信頼してみたら?」

「信頼はしてます。俺なんかよりずっとしっかりしてますし」

「だったらその信頼する彼女達から認められている自分を知っておいてね」

自分を知り、他人を知る。それが大事なの、と真剣な顔で言うから俺は何も言えなくなった。


またチーム分けは相手によって毎回変わるが、
たまには全員で同じ現場に行く事もある。

「ひどく強い霊かもしれない」

という可能性だけで全員出動となることもあるが、実際は全然たいしたことがない場合が多い。それでも油断したことはない。


いや、そのつもりだけだったのか。
どちらにせよ、ルシオラの時にわかっていたはずなのに。


「後悔、先に立たず」
と。


あとがき

はじめまして。とみぃと申します。
皆様のSSに触発されて無謀にも書いてみました。
初モノですので、色々お気づきの点がありましたらご指摘下さいませ!


此処の横島君は高校3年生で、18歳とお考えください。
一応原作終了後の設定でみんな性格が少し「真面目」になっています。
そりゃもう固すぎるくらいに。


これはただでさえ文章力のない私が、無謀にも大風呂敷を広げようとしているため、少しでも書きやすいように「生身の人間に近い」感覚を残したかったからです。最後まで完結させたいですから・・・・

風呂敷の中身は小出しにしていきますが、私の地元の民話や伝承なんかをベースにしていきます。そのため、どうしても今後オリキャラを出さざるをえないので、そういったモノがお嫌いな方はご遠慮くださいませ。

今のところ、全部で20話前後の予定ですが、ストックは2話程度しかありませんし、仕事も忙しいので更新は遅れ気味になると思いますが、こんなんでよければがんばりますんで、以後よろしくお願いします。

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