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▽レス始

「GSB横島修羅黙示録!!リポート8(GS)」

ルー (2005-01-01 02:39/2005-01-01 02:40)
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「あ、もしもし―――人骨ホテルですか?―――はい、三人で今日から明日まで部屋空いてますか?―――、えぇ・・・あ、私は縦島という者ですが―――それでは午後あたりに向かいますので・・・それでは」


                           ピッ


縦島と名乗った青年―――横島は左手に持つ携帯電話の電源を切ると、その反対の手にある、今時珍しい紙を使ったチラシに目をやる。

―――そこには、


『数百年に及ぶ伝統!人骨ホテル近くにお寄りの際には是非ご利用下さい!』


そのチラシにはでかでかと、ホテルの宣伝が書き出されていたそれを横島は捻じ込むようにポケットに突っ込む。


「ただいまー」

「ただ今戻りました、横島さん」


バイクに跨って待機していた横島の耳に、飲み物休憩に行っていた蛍とその付き添いのパシリスクの声が届く。


「そろそろ出発すっか」


横島は、二人―――パシリスクが先にサイドカーに座り、その膝に蛍が腰を下ろすのを、確認するとバイクのエンジンを動かす。


                      ドドドドドドドッ

横島達を乗せたバイクは道路脇に存在する休憩所から抜け出す。


―――現在、横島達は長野県に存在したりする。


              GSB横島修羅黙示録!!リポート8


昨夜、ポン達との別れ際に横島は、人狼について何か知らないか聞いていた。

そして、ポンが言うには妖狼の群れが東北から西へと移動しているらしい事が動物妖怪独自のネットワークで噂されているという。


―――さらにはポンからも、


「そういや、ここから北のほうで騒がしかったんですが、もしかしたら旦那の言う人狼と何か関係があるやもしれやせんね」


という、情報を元に横島は情報収集を目的として、長野へと赴いたのである。


―――そして現地で、公的施設や地元の人からの聞き込みなどした結果、狼の群れはここ・・・長野から更に西へと向かったことが分かった。


「で・・・これから何しようかね」


横島は一通りの調査を終え、何もすることが無くなっていた。

現時刻はまだお昼で、今からホテルへ向かっても何もする事がない。

ちなみにパシリスクは蛍に肩車―――これは蛍がねだった為では無く。歩きつかれた様な蛍を気遣った行動だったりする―――、をしており、横島はそんな二人を微笑ましく思える反面、少し疎外感を感じてたりする。


(なんていうかほのぼのとした二人だなぁ・・・蛍は素直でいい子だし)


横島には当然、育児経験が無いので蛍の素直さにはとても助かってる面があった。


(なんていうか・・・、蛍って美神さんの反対だよな)


―――横島はふと過去の丁稚時代を思い出す


(美神さんやおキヌちゃんがいて―――ん・・・、おキヌちゃんって言えば・・・)


「そういえば・・・」


横島は200年前の出来事を必死に思い出す―――流石に200年も生きていると記憶力が衰えるのは仕方が無い(カオスよりはマシかもしれないが)


「―――あっ!?」


                            ポンッ

横島はハッと顔を上げると手を叩く。


(そうだよ―――、ここはおキヌちゃんと出会った所じゃないか)


横島は懐かしさに顔を緩ませ、辺りを見回す―――その目は今ではない過去を見ているのかもしれない。


(そういえば・・・、一度も行ってなかったなぁ)


「・・・」

「?」

「どうかしましたか、横島さん」


突然立ち止まり、空を見上げる横島をパシリスクと蛍は怪訝そうに見る。


「ちょっと、付き合ってくれない?」


                            パシャ


ここは小高い丘に位置する墓地―――そこで一つのお墓を前に近くで借りた、手桶に入れた水をしきみの葉っぱでお墓に水を掛けた横島は静かに合掌する。


その墓石には『氷室家之墓』と刻まれていた。


合掌する横島の隣では、横島の真似をして手を合わせる蛍と静かに目を瞑るパシリスクが居た。


(・・・そういえば、事務所の人の死に目にもあってないんだな・・・俺ってサイアクだな・・・―――、勝手にあの時逃げ出して―――きっと怨んでるんやろうなぁ・・・化けて出てきたら嫌だなぁ・・・、おキヌちゃん何気に怖いし・・・?!?おキヌちゃん!?!目を光らせて迫ってこないでぇーーー!?


静かに合掌していた横島が突然中空に向かって奇声を放ちながら土下座する―――そんな姿を見る蛍とパシリスクは不思議・・・というよりは何か可哀相なモノを見る目で見ていた―――ちなみに、少し距離を置いている。


「ちょ―――!?れ、霊団は許してぇーーー!?」


「「「ようこそ!人骨ホテルへ!」」」


日が傾きかける時間―――夕方になり、横島達は予約していた旅館へと辿り着いていた。


―――流石に泊まる場所が無く、ラブホテルに泊まるような恥はもうかきたくなかったらしい・・・。


「お客さんはどちらからいらしたんで?」

「東京から家族旅行で・・・、ここの名物は露天風呂と聞いたものでして」


先導する女将さんとその後ろを横島達は追いながら会話する。


「露天風呂は勿論、お食事もご期待下さい・・・あら―――、こちらの方はもしや」

「始めまして、アンドロイドのパシリスクM・3と言います」


耳のカバーに気がついたのか、女将さんはパシリスクに問いかける。


「あららら・・・食事は三人分用意いたしたのですが・・・」

「―――あ!すみません、言い忘れてました・・・」


パシリスクは食事を取ることは出来ない―――エネルギーの補給方法は充電である。


「いえ・・・でもどうしましょう・・・一人分余りますね」

「―――俺が二人分食べるので大丈夫ですよ」

「あら・・・お子さんが居るのにずいぶんお若いんですね」


コロコロ笑いながら歩く女将さんは、目的の部屋に辿り着いたのかある部屋で泊まると鍵を開ける。


女将さんに通された部屋は和風な1部屋であった。


「景色がいいですねー」

「キレイだね・・・」

「そうでしょう―――、この旅館の目玉の一つですよ」


部屋の奥にある大窓からは、山にかかる雪景色が横島たちの目に届いてきた。


「さて・・・早速露天風呂に入ろうかな」

「あの横島さん、私はどうすればよろしいのでしょうか?」


いそいそと浴衣の用意をする横島の背に、荷物を部屋に置いたパシリスクが聞いてくる。


「そういえば・・・パシリスクは防水加工してたっけ?」

「はい、Mシリーズ最新作である私には完全防水加工が為されてます」


何処か心なしか誇らしげに性能を語るパシリスクの答えに、横島は満足そうに頷く―――すると、


「女将さん・・・、ちょっと話があるんですが」

「あら・・・なんでしょう?」


人骨ホテル名物の人骨饅頭を頬張る蛍の相手をしていた女将さんは、横島の問いかけに振り返りながら問いかけた。


「実は・・・」


横島は蛍は預かっている子供なので、余り一緒にお風呂に入れない事、それでアンドロイドであるパシリスクを付き添いで女風呂に入れて欲しい旨を告げる。


「うーん・・・―――、今の時間帯なら人が殆どいないでしょうし・・・、大丈夫でしょう―――その代わり、画像記録データはこちらで消去させて頂きますが」

「無理言ってスミマセン―――、・・・・・・・・・チッ

今なんて言いました!?『チッ』って今言いましたかーー!?

「うわーーーッ!?スミマセン!!堪忍して下さい!!」


                     ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

目を光らせながら迫ってくる女将さんのその異様なまでの迫力に横島は屈し、腰を引かせていた。


                           ザパンッ

「ふーーーーーぅ」


ようやく―――ようやく一息つけた横島は人っ子一人いない露天風呂で一人寛いでいた。


(そういえば・・・、ここでおキヌちゃんに出会ったっけ―――、懐かしいなぁ)


記憶力の衰えた横島ではあるが、あの頃の事は殆ど忘れていない。


(誰かもう一人いた気がするけど気のせいだろう)


空に浮かぶ、中々神格が高そうな暑苦しい男のイイ顔を故意に無視すると、横島は一人静かに熟考する。


(今までその場に居ない事を確認すると、すぐにここを出たというのに・・・、今じゃ露天風呂にのんびりと浸かってるなんて―――、ちょっと前は考えられないな)


横島の顔に皮肉げな苦笑が浮かぶ。


―――殺して殺して殺されかけたり・・・ここ百年余り殺伐としてたなぁ・・・。


(もう計画が終わりを迎えることに気が抜けたか?それとも・・・)


―――横島の脳裏に浮かぶは一人の少女。


(何か放って置けないんだよなぁ・・・、なんていうか本当に美神さんの正反対だなぁ)


横島の考えうる美神令子の姿は、一言で言って完璧に近かった。

何でも一人でこなせたり、除霊の時の冷静な判断、更に大人の女性としての魅力に溢れていた。


(そういえば・・・、美神さんはあの時の後どうしたんだろう・・・)


横島は"あの日"に外界と一切遮断して以来、周りとの付き合いを一切止めていたので、彼らの後は全く知らない。


(美神さんだから―――もしかしたら西条の奴と一緒になったのか)


                            ムカ


もう200年前の事だというのに、幸せそうな二人(特に西条)を思い浮かべると苛つく。


―――横島は胸のむかつきを抑える為に別の事を考える。


(それに比べて蛍は・・・、保護欲に駆られる少し手間のかかる娘って所かなぁ)


蛍は目を離せない―――そのお蔭で結構なハプニングを背負ったこともあったりするが。


(まぁ・・・、蛍のお蔭で色々と変わった―――いや、戻ったのかなぁ・・善い意味であれ悪い意味であれ)


                    ガラガラガラッ


と、いい感じで纏めようとした横島の耳に響いたのは、隣の柵から響く桶のような音であった。


「待ってください、蛍さん!」

「シャンプーはいたいよ!」


走り回る二人の気配に思わず、嘆息する横島。


―――しかし、その顔はこの雰囲気が決して嫌いでは無いという事を表していた。


「警告!これ以上止まらない場合は威嚇射撃を始めます」

待てーーーーーッ!!?


―――横島の顔はこんな雰囲気が少し嫌いでは無いという事を表していた。


あとがき

すみませんすみません
相変わらず遅筆ですみません、実はキーボードに茶を零して壊してしまったり。
年末に間に合うように頑張ったのですが、結局間に合いませんでした。

批評感想お願いします

今年の抱負は週一で書き上げること・・・無理かなぁ。

遅くなりましたが、新年明けましておめでとう御座います。

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