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▽レス始

「素晴らしい日々へ 第十九話(GS)」

ほんだら参世 (2004-12-22 22:13/2004-12-22 22:17)
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どうも、横島唯です。
私は今、妙神山と言う霊能の修行場に来ています。
・・・・・・・・・・え、前回と始まりが同じだろって?


そんな事言う人は嫌いです(オイオイ)


*  *  *  *  *  *


「さて、それじゃあ始めるのねー。」

今、私の目の前にはこの前マンションであったヒャクメさんがいた。
驚いた事に、彼女も神族だったのだと言う。
というか、神様を二人も恋人にしてる忠夫さんって一体・・・・。

「ん、どうしたのね? 気分でも悪いの?」

頭がこんがらがっていた私に、ヒャクメさんが顔を覗きこむようにしてきた。
どうやら、私が何も反応しないから、心配させてしまってみたいだ。

「あ、大丈夫です。 ただ、こんな所でヒャクメさんに会う事になるとは思わなかったから。」

「加えて、私みたいなノリの女が神族だったことに呆然としてるってとこかなー。」

うっ! ず、図星。

「はっ、ははははははーーー、 ・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。」

「ふふ、別に良いのねー。 横島さんなんて、私の事を“種族:ヒャクメ”だなんて言ってるんだから。」

「そ、そんな事・・・・・・言ってましたね、そういえば。」

始めてあったあの日に、漫才みたいな感じで言い合いながらそんな事を言ってたっけ。

「さて、それじゃあ、今度こそ始めるけど。 私が教えるのは、さっき唯ちゃんにあげた私の心眼の使用法なのね。」

ヒャクメさんは、そう言いながら私の首にネックレスみたいに下げられているモノを指差した。
これはさっきヒャクメさんに貰ったもので、様々なものを見通す事の出来る心眼というモノならしい。
ヒャクメさん曰く、

「唯ちゃんはヒーリングが得意なんでしょ。 だったら、これを使って霊力の流れや肉体の構成を見れるようにすれば効果倍増なのね。 それに、慣れてくれば他にも色々見れるようになって役に立つの間違い無しなのね。」

だそうだ。
人の心とかまで見れるようになると精神的にもまずいから、そこらへんの効果にはリミッターが掛かってるって言ってたけど。

「いきなり霊視は難しいから、今日は遠視の修行を徹底的にするのね。」

「えっと、今日はって、私達は今日で帰るんですけど。」

「大丈夫、小竜姫と違って、私はここに括られてる訳じゃないから。 ちょくちょく様子を見にいってあげるのねー。」

・・・・・・・神様がそんなんで良いんですか。

「それじゃあ、レッスン1、行ってみるのねーー!」


*  *  *  *  *  *


一時間後

「うー、目がしばしばします。」

「あははー、まあ、一時間も必死で目を凝らしてたらそうなっても仕方ないのね。 じゃあ、一旦休憩ね。」

そう言って、ヒャクメさんはどこから出したのか、お茶の入った湯のみをこちらに差し出してくれた。

「あ、どうも。」

そのお茶を飲みながら、私はヒャクメさんの事を見ていた。
この人が小竜姫様の親友だったと言うのは、本当に驚いたな。
あの後、知るべき事を語るって小竜姫様に言われて緊張していた所にこの人が現れて、

「とりあえず心の準備とかもいるだろうから、修行の後にしない?」

と言ってくれて、小竜姫様は美神さんの、ヒャクメさんは折角だからと私の修行を見てくれる事となったのだ。
そして、その後にヒャクメさんがどうしてここに居るのか等を話してくれて今に至るというわけだ。

「何、どうしたのね?」

じっと見ていたのに気付いたらしく、ヒャクメさんがそう言って私の方に顔を向けてきた。

「あ、いえ、えっと。 ひゃ、ヒャクメさんも忠夫さんの恋人の一人なんですよね?」

「ん、そうねーー。 出遅れちゃったから、5人目になっちゃたけどねー。」

ヒャクメさんは嬉しそうな笑顔を、こっちに見せてくれた。
わあ、なんか幸せそうな笑顔だなー。
私も忠夫さんの恋人の一人だって言えるようになったら、こんな風な笑顔で笑えるのかな?

「・・・・良いなー。」

はっ! く、口に出しちゃった!!
ああああああ、ヒャクメさんがこっち見ながらクスクス笑いしてるーーーーー!
あうーーーーー、穴があったら入りたいーーーーー!

「くすくすくす。 唯ちゃんも、横島さんの恋人になりたいのね?」

「あう!! ううううう、えうあうあうあうえうあうあう。 ・・・・・・・・・・・・・・はい。

確かにそうだけど、忠夫さんの恋人って二人とも神様で、人の倫理観の通用しない相手だったから、人間の私が入れるのかなーって思っちゃうんだよね。
恋愛は基本的に一対一っていう観念があるから。

「多分、唯ちゃんは人の倫理観を持ってる自分が横島さんの複数の恋人の一人になる事が出来るのか、心配になってるんじゃないかなー。」

図星を差されて顔を上げると、そこにはさっきと同じ笑みを浮かべ続けるヒャクメさんの笑顔があった。
いや、少しだけだけど、さっきと違う何かが目の奥に見えるように感じる。

「まあ、唯ちゃんは知らない事も多いし、余裕のある環境にいたから仕方がないのねー。 でも、唯ちゃんが本当に私達と同じなら、きっと受け入れられるのねー。」

私達と同じ、それはつまり忠夫さんが好きだと言う事なんだろうな。
でも、知らない事が多いと言うのは分かるけど、余裕があるってなんの事だろう?
忠夫さん達は余裕の無い環境に居たと言う事?
何の事かわからない私は、ヒャクメさんに質問しようとしたけど、それはヒャクメさんの手によって遮られる事になった。

「色々疑問が出てるみたいだけど、後で小竜姫がまとめて話すから、それまで待つのね。 とりあえず、今は修行の続きにするのね。」

そう言いながらヒャクメさんが立ちあがるのを見て、私もすっかり覚めてしまったお茶を飲み干して、修行を再開するために立ち上がった。
疑問に思う事の答えは後で分かるのだから、今は美神さんや忠夫さんの助けに少しでもなるように頑張ろう。


*  *  *  *  *  *


小竜姫SIDE

「はあ、はあ、はあ、はあ。」

今、私の目の前には美神さんが荒い息を吐きながら座り込んでいた。
彼女の影法師も、槍を杖代わりにしてなんとか立っている状況だ。
前回の美神さんと違い、彼女には侮りも油断も無く、剛練武や禍刀羅守をほとんど負傷0で倒している。
横島さんと唯さんの違いがこれほど出ているとは思わなかったけど、これは嬉しい誤算だ。
この美神さんなら、前回以上にこれからの戦いを有利に進めてくれることだろう。
未来を知っている有利さも減る事になるかもしれないけど、どうせ色々変えていく事になるから問題無い。

「さて、そろそろ終わりにしますよ、美神さん。」

「はあ、はあ、   そうね、そろそろこっちも限界だし、決着をつけましょうね。」

そう言いながらこちらをみる美神さんの目には、諦めの色など微塵も無かった。

「美神さん、ガンバレーーーーー!!!」

場外から聞こえてくるおキヌちゃんの応援に微笑んで、美神さんは影法師に槍を構えさせた。
どうやら何か狙いがあるようだけど、そう簡単には勝ちを譲るつもりは無い。
本来、この修行はいきなり力を手に入れても持て余すだけだから、戦闘によって無理やり器を作らせるものなので、このまま私が勝っても力を与える事に問題はないのだから。

「では、行きますよ!!」

そう呼びかけると共に、超加速に入り突っ込んで行った私を、美神さんはかろうじて避けた。
そして私が一旦加速を解き振りかえろうとした瞬間、いきなり周りに爆発が起き、土煙の中に捕われる事になった。

「なっ!?」

どういう事かは分からないが、先程おキヌちゃんと二人で話したいと言った時に何かを仕掛けたのだろう。
まったく、どこに道具を隠していたのだか。
そう思った瞬間、真横から槍が伸びてくるのが分かった。

「甘い!!」

土煙に隠れていたとは言え、当たる瞬間が見極められれば問題無い。
横島さんの必死の修行に付き合って、私自身も少しは腕を上げたのだ、これくらいは当然に出来る。
私はその槍の一撃を受け止め、そのまま跳ね上げるようにして槍を吹き飛ばした。

「終わりです!!」

槍を吹き飛ばされ、丸腰になった影法師を見止めた私は止めとばかりに剣を大上段に構えた。
この瞬間、槍を無くした影法師を見て油断したのが私の敗因だろう。

「はああああああああああああ!!!」

次の瞬間に、私は美神さんの気合の声と共に影法師の手から伸びた“神通棍”の突きによって、吹き飛ばされていた。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、わ、私の勝ちね。」

今の一撃に全ての力を注ぎ込んだらしく、美神さんはへたり込みながらそう言った。

「参りましたね。 まさか、影法師に道具を使わせる人がいるとは思いませんでした。」

まあ、横島さんとは違った意味で、美神さんに常識なんて通用しないとは思ってますけど。
だけど、気を失う程ではないが、まともにお腹に食らったからかなり痛いな。

「影法師は私の霊能の集大成なんでしょ? だったら、私のいつも使っている道具は問題無く使えるはずじゃない。 それに、持ちこんじゃいけないのは俗界の“衣服”だっていってたんだから、“道具”の持ちこみは問題無いでしょう?」

はあ、さすが美神さん。
反則スレスレの方法はお手のものなんですね。

「まあいいです、勝ちは勝ちですから。 それでは最後の力を授けますね。」

私はそう言いながら、影法師に手を向け、力を注ぎ込んだ。

「まぶしいですねー。」

「これで、美神さんの全体的な能力の底上げがされる事になります。 あらゆる点で、これ以上の力を持つ人間はごくわずかのはずです。」

「はーーー、確かに凄いわねー。 体中に今までと違う力が溢れてるのを感じるわ。 ん、ありがとうね、小竜姫様。 良いもんもらったわ。」

影法師を体内に戻した美神さんは、手を閉じたり開いたりしながらそんな事を言って来た。

「別に感謝はいりませんよ。 それは修行を終えた証なんですから。」

そうして言葉を交わした後、私達は閉ざしていた異界空間の入り口を開き、現空間へと戻った。

「そういえば、この後唯ちゃんと話をするのよね?」

更衣室で着替え始めていた美神さんが、ふと気付いたように私にそう言って尋ねてきた。
まあ、あの時に美神さんは一緒の部屋に居たのだから、聞いていてもおかしくはないだろう。

「はい。 彼女が横島さんの事を好きで、共に居続けたいのなら、当然知るべき事を。 まあ、横島さん本人が言うべき事に関しては、語るつもりはありませんが。」

私のこの言葉を聞いた美神さんは、真剣な顔で私の方を見ている。
どうやら、私の言葉からその話の重さを推測して、それを聞く唯さんの事を心配しているみたいだ。
本当に、この世界の美神さん達の関係はまったく違うものになっているらしい。

「まあ、あれだけの力を持っているんだから、普通じゃない過去があってもおかしくないと思ってたけど。 そんなに重っ苦しい過去を経験してきたの、彼?」

「そうですね。 

・・・・・・美神さん、自分を命がけで愛してくれた一人の人と、家族や仲間を含めた世界、選ぶならどちらを選びますか?」


後書き

うぃ、ほんだら参世です。
なんかしばらく見ぬ間に、掲示板が様変わりしててびっくりっす。

今回は唯ちゃんと美神さんの修行風景となりました。
唯ちゃんの心眼はどうかなと思ったんですが、まあ慣れない内はそんなに役立つものじゃないし、物語の進行に合わせて少しづつ見えるものが増えていくようにすれば大丈夫だろ、と思ってのものです。
実際、今はまだ少し遠くまで見とおせる程度の事しか出来ませんから。
美神のほうは、唯ちゃんを別所で修行させたからどうやって小竜姫に勝たせようかと考えて、道具を使った奇襲にしてみました。
地雷代わりの札と、暗器代わりの神通棍というわけでさあ。
何で道具を持ってるんだとか思うでしょうが、GSたるもの常時使いなれた道具を手元に持っておけという方針を美神が取っていたからと言うことで納得しといてください。

次回はもう一回唯ちゃんパートで、小竜姫との会話がメインです。
もしかしたら、13話の最後に出てきた彼女らの到着もあるかも(笑)。

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