そんな中、 多くの生徒がUに近づいていった。 NやOはいち早くUと関わりを深め、行動を共にしていた。
しかし、ここで予想外の展開が起こる。 俺に散々いじめを繰り返してきたSと I だ。
Sや I は、 あれだけ いじめをする陰湿さは持っていても、 根本的な「ワル」の要素が欠けており、 不良になりきれず、Uとは巧くいかなかったのだ。 今思えば、この二人とUは明らかに毛色が違うのが分かる。
仲間が次々と離れて行く中、孤立するSとI。 この時、自分達に「淘汰の波」が迫って来るのを、恐ろしいほど肌で感じた筈だ。
これだけの、いじめの犠牲者でも飽き足らず、 次々とホウキンのターゲットを代えるUとY ・・・けれど、もう次を探すまでもなかった。 既にクラスで浮いた存在は、このSと I しかいないのだ。
あたかも果実が熟すように、クラスの中に機運が高まる。 一人がいじめられていれば、その間、自分達は安全な事を実感出来るからだ。 追い詰められた人間の心理とは、本当に利己的だよ。