――気がつくと私は彼女の柔らかなお腹の上でで眠っていた。
そっと体を起こして辺りを見回してみる。
しかし辺りは暗くてよく分からない
がしかしこのドラゴンの巣であることは間違いなかった。

「あら、起きたのね…」
鈴を振るったような美しい声がした。
私は声の主を確認しようと辺りを見回す。

「ふふ…どこを見ているの…?」
もう一度同じ声が聞こえた。
今度は解った。声の主はあのドラゴンだった。

私は声の主が彼女と解ると安堵して彼女の顔をじっと見つめた
そして私をどうするつもりなのか訊いた

「それはね、あなたを食べるためよ…」
と言いながら彼女は私の頬をそっと舐めた。

私は耳を疑った。私が食べられるということに恐怖を感じていた
つまり私は彼女にこれから喰い殺されるということ
そのことに対し恐怖を感じていた

「ふふ…怯えてるわね…でも大丈夫、命を奪うようなことはしないから…」
怯える私を彼女は宥めるように言った。
ただ何か引っかかる気がするのは気のせいだろうか?
でも何故か彼女の言葉を信じようと思った。

だから……私は食べられることに肯定した。
そして私は何か覚悟したかのように彼女の元へと歩み寄っていく

「素直ね…さぁ…おいで」
そう言いながら私を抱き上げて大きく口を開ける彼女
開かれた口内をじっとわたしは見つめていた。
そして私は彼女の中へと入っていった。


彼女の口内は意外にも獣独特の生臭さは感じなかった
むしろそこにいるだけで心地よい、そんな空間だった。

私はただひたすら彼女の舌での愛撫を受けていた。
全身が唾液塗れになりながら私は心地よく喘いでいた。

そしてどれくらい時間が過ぎただろうか。
次第に空間が傾いていき、喉へと運びこまれていく。

――呑み込まれる。――

そう思い軽く抵抗したが抵抗虚しくただ彼女の体内へ直結する道へと滑り落ちていた。


――ゴクン――


生々しく呑み込まれる音を聞きながら私は呑み込まれていた。

 

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