助けてくれた、恩返しに・・・

作:KOGRI

 

ある夜、なかなか眠れなかったアルは大きなフードのあるローブを身に纏い、山小屋を出て行きました。

外に出ると、夜の冷えた風がアルの頬を撫で眠気を奪っていきました。

アルは一回深呼吸をしてから、山の中を散歩し始めました。

 

夜空を眺めたり、夜の動物たちを観察しながら山を歩いていると、一匹の狼が倒れていました。

急いでアルはその狼に駆け寄り、揺すったり声をかけたりしましたが、全く反応が無く意識が無い様子でした。

(・・・ちょっと大きいけど大丈夫かな?)

そう思いながらその狼を背中乗せて立ち上がりました。

その狼は成熟したような体つきで、アルの体位の大きさがありましたが、

アルはそれを自分の山小屋まで運び、その狼を看病しました。

 

看病とは疲れるもので、さっきまで眠気なんて皆無だった筈なのに、

看病を初めて1時間位経った頃には物凄い眠気が襲ってきて、アルの集中力をドンドン削いで行きました。

そして、ついには狼に覆いかぶさる様に眠ってしまいました・・・

(温かい・・・zzz)

 

次の日アルが起きたのは狼が起きて、アルを振り落とした時でした。

狼に振り落とされ、地面にうつ伏せの状態で落ちたアルは弾かれる様に顔をあげてると、狼が喉を鳴らしながらアルを威嚇していました。

 

「大丈夫、俺は何もしないよ・・・」

獣達と話せるアルは、動物の警戒心を解く等簡単な事で。

しばらく睨んでいた狼が口を開きました。

 

『アナタが私を助けてくれたの?』

普通の人が聞いたらタダの鳴き声だが、アルにはちゃんと理解できます。

 

「うん」

そして、アルの言った言葉もちゃんと獣達にも理解できる、不思議な力を持っているのです

 

『・・・ありがとう、私の名前はヒール。メスの狼よ』

一礼をしてから、ユックリとした口調で話しだすヒール。

 

「俺はアル。オスの人間だ」

同じ位のペースで話すアル

 

『宜しくね・・・って何故私の言葉がわかるの?』

そして、ヒールはハッとした様に質門をしました。

 

「俺の生まれつきで、獣達と何故か話せる能力を持っている為だ」

アルは簡単に説明をしました。

 

『へー・・・』

関心してる様に言いました。

 

「ところで、ヒールは一体何歳なんだ?もう成熟しているから45歳か?」

 

『ウウン、まだ9カ月・・・要するに0歳よ』

下を向きながら言いました

 

「!?その大きさで?」

 

『・・・』

ヒールは頷きました。

 

「それに、群れとかは?」

 

『その年齢でその体格はおかしいと言われて、仲間外れに・・・』

声が震えていました。

 

「あ、ゴメン・・・」

しばらく静かになりましたが、

アルが言いました。

「なぁ、良かったら一緒に住まないか?」

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