竜とは、普通の生物とは比べ物にならない生命力を持つ種族。 他の種族が関知されない場所で、実は小さな社会も成り立っている。 しかし、殆どの竜は自分の住処で『自分ルール』を確立しており、気の向くままに生活しているのだ。 そして俺・・・いや、竜からの突然変異で 人の姿をしたドラゴン としてここに居る。 生命力、体力、腕力etc... それらが全て、他の種族より優っていたりするせいで、 何処の街に行っても、何かしら獣人から珍しかったり、美味しそうな目で・・・ いやいやいや。 何もこんなことまで話さなくたって・・・そうだ、これはちょっと興味の或る話だ。 とある港町で聞いたご利益のあるスポットとか言う、不思議な場所がとある島にあると聞いて船を出した。 祈るだけで病が治るだとか、商売が繁盛するだとか、ケンカに勝てるとか、 ・・・まあ、俺とてこの旅の道中安全を心配している訳である。 そんな不思議なモノがあるなら、効果があろうが無かろうが一度見にいくのもいいかもしれないと思った。 そして、木造の小船でユラユラと、風の向くまま気の向くまま漂って・・・陸が見えなくなってから、もう数週間・・・いや、一ヶ月以上経ってるかもしれない。 ここから北北西に10日向かった場所に、小さな島があって、そこの社に何かの魚の御神体が奉ってあるだとか・・・ 今思えば、そんなコトで航海もロクにしたことがない自分がそんな場所に行くのは無謀だったかもしれない。 素直に定期便を待った方が・・・いや、もう過ぎたことをぐだぐだと言うのもヤメにしよう。 なぜなら、今は嵐に出会って目の前に高波が・・・ 意識は、そこで途絶えた。 *********************************** ゴボッ・・・ 気が付けば深く澄んだ蒼の空間。上には光、下には・・・無限に広がる闇・・・ どうやら海の中に居るようで、フワフワと海中を漂っている。 「・・・これは・・・夢・・・?」 それにしてはやけに静かで、先程までの嵐の荒れた海や生物の気配を感じない・・・この場所には、自分1人しか居ないという孤独感。 何故か息は出来る。 しかし、そんなコトより 自分がこの場所にヒトリで居ることが苦痛でしょうがない・・・と、感じた所に何か生物のような巨影がこちらに向かって泳いで、 数十メートルにもなるだろうと思われるその生物は、自分目掛けて真っ直ぐ泳いで来たと思った直後に、その巨大な身体のどこからか現れた穴を開いてこちらに迫ってきている。 「う・・・うわぁっ!」 思わず声を上げてしまうが、その間にも艶かしい真紅色の穴が物凄い速度で迫って来ていて、それこそ自分の身体を丸々その内に収めてしまうほどである。 必死に逃れようと手足をバタつかせるが、焦りと恐怖のせいか上手く動かせずにいると一瞬視界の端に赤い何かが見えて、そして真っ暗になる。 グジュルッ・・・ グニュゥッ・・・ 自分の身体を這いずり、まるで生暖かい大蛇が自分の身体に巻きついていくような感覚。 足・・・膝、腰から肩までゆっくりと這い上がってきてから首筋に柔らかな感触がしたと思うと、そのままツツーッと動くその不思議なモノに反射的に 「っ・・・ぁぅっ・・・!」 と、喘いでしまう。 すると喘いだコトで開いた口にその物体が侵入してきて、口を閉じることが出来なくなってしまう。 「んぐっ!・・・ん・・・ンンンッ!!」 自分の口内を更に蠢く物体。 口を閉じることも叶わず、身体も拘束されて、ただその生物のされるがままになってしまっている。 「ン・・・ンン・・・・・・ん・・・・・・・」 気を失ってしまえば、どうなるかも分からない。 しかし・・・今は、これが夢であると信じて目を閉じる。 これは・・・夢・・・夢・・・・・・・ そして、意識が途切れようとした寸前に -逃がしはしない・・・再び、合間見えることになろうぞ・・・- |
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