眩しい………
うるさい………

っは!?
ふと気が付くと線路の上だった。そう、生き返れたのだ。恐らくは跳ねられる直前に。

「わあぁぁぁ!」

 当然と言うべきか迫り来る機関車。あれ?

ピィーーーッ!ギギギギギィィィーーープシュウゥゥ!

 と、止まった?

「大丈夫か!?」

「何やってんだ坊主!!」

「お客様、お怪我は!?」

ホームから鉄道ファンや警戒にあたっていた駅員が降りてきた。
助け起こされた俺は駅の事務室に連れて行かれた。件の貨物列車は安全確認を終えて出発した様だ。詳しい事情を聞かれ、帰っても良いと言われるまで三時間掛かった。怪我も線路に落ちた時の打撲だけで済んでいた様だ。帰り際に一緒に事情を聞かれていた鉄道ファンの人が助かった理由を話してくれた。

「お前は運が良かったな。何でも先行列車が遅れたとかで隣の…あそこだ。貨物駅に列車が臨時停車していたんだ。だから速度が殆ど出ていなかった。これが快速とかだったら間に合わなかっただろうな。」

 その話を聞いて背筋が凍るような気がした。そして、あの竜に感謝しなきゃな。とも思った。運命をねじ曲げてくれたのだから。
家に帰ると親に怒られた。警察か鉄道会社から連絡があったのだろう。生きている、その事に感謝しながらただひたすら謝った。

翌日、学校に行くと先生には呼び出されるわ、友人にはからかわれるわでなかなか大変な1日だった。それでも何とか切り抜けて家へ帰る。あの竜が部屋にいてくれたらちゃんとお礼を言わなくちゃな。部屋のドアを開けたら「やあ♪」とか言って居そうな気がする。

カチャ……

 当たり前だが誰もいなかった。少し寂しい。
寂しがっていても仕方が無い、せっかく生き返らさせてもらった命だから有意義にしなければ。
 そう思って机に向かう。途中、母さんが様子を見に来たが、勉強している姿を見て静かに出て行った。

 

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