6 「ちょ、っと…アズール、止めてって…」 抱き締められて身動きが出来ないアイゼン、何とか絞めている腕を解こうと暴れてみるが、その腕はびくともせず、逆に力を強めてしまっている。それほど嬉しかったのだろうか…。 すると突然… …グアッ…バク…ゴクン… …まさに一瞬の出来事であった。勢い余ってなのか、はたまた嬉しさからなのか、アズールはご自慢の大きな口を大きく開きアイゼンの体を口内に納めるや、瞬く間に呑み込んでしまったのだ。 傍らで見ていたディオンも、呑み込まれた本人も何があったのか分からず、先ほどの出来事の処理に大分時間が掛った。そして、同時に処理が終わる。 急に胃に納められてしまったアイゼンは早く出してもらうように言ってはみるものの、呑んだ本人はそんな気は更々ないかのように言葉で返す。 傍らで見ていたディオンも出した方がいいのでは、と言ってはみるが、これも効果はいまひとつのようだ。 消化されるのではと思ったが、 「消化はしない。大体主(あるじ)を溶かしたりする奴はいないだろ…」 らしい。とりあえず大丈夫なようだ…。 それから何事もなかったようにいそいそと帰っていくアズール(とお腹の中のアイゼン)を見送り、取り残されたディオンもその勢いで帰っていった。 第1話 〜終〜 |