5 …え〜…話が大分ずれてしまったので、そろそろ戻しましょう…。 新学期初日とだけあって、どこのクラスも担任の先生の簡単な話や、新しく配られる教科書などの説明だけで終わり、ちょうどお昼御飯の時間に終わってしまう。 新入生、下級生達は勿論、クラブ活動に励んでいる上級生や先生達もいそいそと校舎内から出ていくのが見えた。 ただ、お昼時とあって校門前で死闘が繰り広げられているのは内緒です…。 そんな中、被食科上級生の教室から少しばかり焦った表情を見せる緑色の鱗を持った竜人、ディオンがカラカラと教室のドアを開けて出てくるのが見えた。その顔の一部には何かを押し当て続けたような跡が見られ、焦っているにも関わらず大きく欠伸をした。 「やっべ…寝てたらみんな帰っちゃった…」 どうやら今まで寝ていたようだ…。 荷物をまとめた鞄を背負い込み、若干早歩きのペースで廊下を歩いている。 廊下を歩き通し、階段を下りて、中庭をくぐってさぁ帰ろうか…と思った先に、困った様に笑いながら中庭の隅に座っている一人の女の子を見かけた。 黒色のワンピースのような服に身を包んで、水色の鞄を自分の隣に置いている…アイゼンだ…。 「あ、アイゼンさん」 「…あら、ディオンさん。今日は」 とりあえず近寄って声をかけてみる。 「こんな所で何してるのです?」 「えっと…待ち合わせ」 ディオンの質問に苦笑いで答えるアイゼン。そしてその短い会話から間もなく、 「マスターッ!!!」 と、大きな声を張り上げてドスドスと砂煙を巻き上げながら走ってくる人影が見えた。 あの人かな?と徐々に近づいてくる陰を見るディオンを片に、やっと来た、とばかりにスッと立ち上がるアイゼンがいた。 その陰も少しずつ姿を現していく。その正体は、ポケモンに出てくるような…じゃなくて、出てくる「オーダイル」を想像してくれれば分かりやすいか、と思ったが…。 「…デカ…」 その大きさに小さく呟くディオン。視界に入ったオーダイルの大きさは、約5メートル程…かなり巨大な体なのだ…。 「マスター、ゴメンッ!遅れちまったっ!」 「ん、まあ…ドンマイだね、アズール」 アズールと呼ばれたオーダイルが2人の目の前に立ち、急に大声で謝罪の言葉を出すが、そんな事も気にしていないかの様に微笑んで返すアイゼンである。何とも優しい…。 すると、 「そんなマスターが、俺は好きだぜ!」 と、嬉しさのあまりにアイゼンを抱き上げて、大きな舌でベロベロを豪快に舐め上げていく。その突然の行動に彼女は何も出来ず、隣で見ていたディオンもただただ見ているだけになってしまう。 |