ルギアの章 深き森の悪夢 
【プロローグ】

とある世界、集落と少し離れた所に海の小島がある偏狭の地…、
朝を迎えない真夜中で、海の小島からは規則正しく響く寝息とカチカチと
鳴り続ける時計の音…。

カチ、カチ、カチ、…ピシィッ! …………………

「……む? どうしたんだ…? 音が止まった…」

突然ひびが入り、その刻音を止めてしまった大きな時計、
異変に気づき調べ始める、白く大きな翼竜…。何か嫌な予感が頭をよぎるのを
感じ、先日に笑顔で出掛けていった者の名前を呟く。

「ブイゼル……お前は今、何処にいるのだ…?」

翼竜ルギアは先日の出来事を思い出す…。

「食料の調査?」
「はい、昨年のような冷害も無かったのですが、それでも少し乏しいんです」
「…それで、この小島と集落から離れた森まで足を延ばすのか…」

いつものように小島に訪れ、色々な事を話し合うブイゼルとルギア、
どうやらブイゼルはこの後に集落の仲間たちと共に食料の調達に行くようだ。

「そ、それに…、ルギア様にたくさん食べてもらいたいですし、新しい木の実も
採れるかもしれないですよ」

ブイゼルは恥ずかしそうに言って、尻尾をくるくると回す…。その仕草に
ルギアは無言でブイゼルに近づき、

ペロッ…

「ひゃっ?! る、ルギア様…?」
「楽しみにしている、だが、危険は冒すのではないぞ?」

彼なりのブイゼルに対しての感謝の行為だった、しかしブイゼルはその行為に
感動を通り越して気絶しそうなくらい喜びを感じていた…。

「必ず見つけてきます、だから…、その時はまた、舐めていただけますか?」
「……もちろんだ……」

二匹の中で結ばれた約束、うれしそうにはしゃぐブイゼル、ルギアはその姿を穏やかな
表情で見続けていた…。

(る、ルギア…様――――――)

「?! ブイゼル?!」

記憶を辿っていたルギアの耳、いや頭の中に消え入りそうなブイゼルの声が響き渡る。
ルギアの中に今まで味わったことのない不安が襲い掛かる…。
無意識のうちに翼を羽ばたかせていた、頭よりも早く体がブイゼルの
安否に敏感になっていた。

「思い過ごしならいいが…、やはり気になる、無事でいてくれブイゼル……」

そう言いながら辺りに土煙を巻き起こして飛び立つルギア、その瞳には
慕うものを心配し、揺らぐ光が灯っていた―――――――。


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