【プロローグ】



ここにとても高く険しい山があった。
木々などの植物は自生しておらず、石や砂利ばかりが目につき、
中には見上げるほどの大岩も存在していて、微妙なバランスをとって鎮座していた。
山道も存在はしているが、激しい急斜面や大岩などが行く手の邪魔をしていてかなり険しい。
まして山頂に至る道など無きに等しく……
そもそも、この山に登ろうとする奇特なモノはそうそういないだろう。

そして、山頂には大量のマグマがボコボコと常に噴き出していた。
凄まじい熱気と共に粘性のあるマグマが隆起し、破裂すると少し山頂から飛び出すと、
空気にさらされ冷え固まり、また少しこの山が高く大きくなった。

山の力を見せつけるような動きが……
見るモノ全てに、噴火の激しい活火山だと無言で教えている。
とても生き物が住むことが難しい環境……
それでもこの岩山に住み着いている生き物がいた。

その生き物とは……真っ黒な鱗を持った漆黒の竜。

『漆黒のヘルカイト』

本来は紅い鱗を持っているはずのヘルカイトとは違い。
とても光沢のある漆黒の鱗をしており、現在、二体ほどこの山に生息していた。

その内の一匹が今、山を下りようとしている所から物語は始まる。




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