そして……とある場所で私はミロさんと二人っきり……
尻尾に捕まったままの私は……

「あぁんっ! 止めてミロカロスさんっ! ああっ!」

リヴェーヌ並かそれ以上に弄ばれ、
すでに息も絶え絶えでミロさんの口の中で力尽きていた。

も、もうだめ……Fさぁん。
ちゃ、ちゃんと明日助けに来てください……お願いします!

その心の声を最後に……
逃げようと残された力で伸ばしていた手が、
糸かキレたかのようにパタリとミロさんの口元に落ちてしまった。

「ふふ……ゴクリッ!」

私はミロさんに呑み込まれ……
それからのことは何も覚えていない。


ただ……Fさんはちゃんと約束を守ってくれたみたい。
目を覚ましたら、いつもの小屋のベットの上で横になっていた。

「うっ う〜ん……何とか私、帰って来れたみたいね……」

心の中で安堵し、ベットから起きあがったその瞬間!

「ふふふ……おはようアイゼン♪
 今度はちゃんと我慢してあげたわよ……これで文句は無いわよね♪」
「えっ! リ、リヴェーヌ!」

慌てて振り向いたときには、
目の前に真っ赤な舌と口の中が広がっていて……

「いっただきま〜す♪」


ハグっ!


「い、いやぁあああ!! また、朝からこれなのーー!!」
「ふふふ……抵抗が弱いわよ。
 昨日の疲れがまだ残っているのかしら……?」
「……っ!! イヤッ! アハハハっ! や、止めっくすぐらないでー!」
「ふふふ……もう諦めなさいな……ゴクリっ!」

何とか食べられないように手で口を押さえてみたりしたけど……
やっぱり無理だったみたい。
お腹の下で蠢く舌に思いっきりくすぐられ、
思わず激しく悶えて口の中で笑いながら転げ回っている内に呑み込まれてしまった。

しかし……昨日とは違いまだ身体が重いのは確かだったけど……
口の中でそれが分かるなんて、さすがリヴェーヌ。

「あう……にゅぅ〜……あぐっ!」

もう、リヴェーヌの食道の感触は慣れたモノで、
私はもう抵抗することを止め大人しく……
ほどほどな力で食道の肉壁に全身を揉まれる感覚を楽しみながら滑り落ちていく。

この時のコツはあまり抵抗しないことなんだよね……
抵抗すると……もっときつくなるし。

などと思っている内に胃袋の中に胃液を巻き上げてダイブした。
自然と私の身体が丸くなり、リヴェーヌの柔らかな胃壁が私を包み込んだ。

「うぅ……今日も朝から食べられた……」

疲れきった私は……もう、普通に喋る気力が無くなりそうになっていた。
……はぁ……はぁ……と自分の呼吸が胃袋の中で反響しているのか、
やたらと大きく自分の耳に入ってくる。

「ふふふ……大丈夫よ。
 今の貴方から気を吸い取ったりしないわ……」
「……リヴェーヌ?」

この後、てっきり激しいリヴェーヌの愛情表現があるのだと覚悟していたのに……
予想外の言葉にちょっとだけ驚いた私を労っているのか?
……私を包んでいる胃壁が優しく身体を揉んでくれてとても気持ちよかった。

でも……それならどうして私を食べたりしたのかな?
そんな驚きと疑問の混じった声でリヴェーヌの名前を呼んでみた。

「もぅ……あんまり無理をしたらダメよ……」
「……あっ ……そうだったんだ。」

帰ってきたその答えで……
ゆっくりと湧き上がってくるキラキラしている胃液で……

色々なことが私には理解できた。

「リヴェーヌのバカ……」

思わずその言葉が私の口から飛び出してきた。

昨日……あれだけ元気に起きれたのは眠っている私をリヴェーヌが……
こうやって気を入れて回復してくれたおかげだったんだ。

「……ちゃんといってくれれば、
 私……貴方にあんなに意地悪しなかったのに……」
「ふふふ……なんの事かしら?
 ……私はただ、アイゼンの寝顔が可愛かったから食べただけよ……」

リヴェーヌはあくまで私の言葉を否定する。
……でも、それでもいい、ちゃんと伝わったと思うから。


最後に……私の思いを貴方に伝えるね。


「リヴェーヌ……ありがとう。
 私……貴方の中が……一番落ち着ける……」
「ふふふ……そんなことを言うと……また寝ているときに食べちゃうぞ♪」

その言葉に答える事は出来なかった。
私は段々と遠くなるリヴェーヌの声を聞きながら優しい胃壁に包まれ……

静かに目を閉じた。



ふぅ……ハロウィンも無事に終わり。
いつもの朝を迎え私は……今日も誰かに食べられています。

今度はあったら、貴方に頼みに行くかも知れませんよ♪



ネタの提供者&リクエスト: アイゼンさん
短編集:ハロウィン小説 【お菓子をくれないと○○するよ!】

The End

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