【 深い森の奥で…… 前編】






「うう……何で僕がこんな事をしなくちゃいけないんだよ……」

真っ暗な深夜の時間。
普通ならみんな眠っていてもおかしくない時間に一匹の子供のポケモンが、
真っ暗な森の中を一匹で、おっかなびっくり歩いていた。

そのポケモンの背中と尻尾から
燃え上がる小さな炎が森を小さく照らしている。

マグマラシ……

それが、泣きべそかきながら歩いているこの子供のポケモンの名だった。
何でマグマラシが真夜中に一人で森にいるかというと……

「もう帰りたいよ……。
 でも、証拠持って帰らないとまた彼奴らに……馬鹿にされる。」

少しうなだれたように頭を垂れたマグマラシ。

彼は……臆病者だった。

それをいつも同年代のポケモンの子供達に茶化されていて、
それが彼はとても嫌だった……
だから、あの時に喧嘩の売り買いになってしまった。

挙げ句の果てに……こんな夜遅くの森に肝試しをするはめになったのだった。
肝試しの完走条件は良くあるように……
森の奥にある泉の付近にあるキラキラとした鱗を取ってくることだった。

「うう、怖いよ……みんな一本道だって言っていたのに
 真っ暗で良く分かんないし……ちゃんと帰れるのかな……?」

明らかに夜の森の雰囲気に腰が引けている。
普通に歩くだけでもフラフラとおぼつかない。


ガッ!


「うぎゃ!」

案の定つまずいて転んでしまったマグマラシ。
顔からまともに地面にぶつかり、小さな穴を掘ってしまった。

「ふい〜ん。 ……痛い。」

転んだ体勢のまま顔だけ上げてポロポロと涙をこぼした。
その顔が……涙のせいか、打ち付けたせいか、真っ赤に腫れ上がっている。

今にも心が挫けて家に逃げ帰ってしまいそうになるマグマラシだったが、
なけなしの勇気を振り絞ると背中と尻尾の炎も少し元気を取り戻し心なしか大きくなる。 


マグマラシは炎が照らす明かりを頼りに再び森を歩き出すのだった。



十数分後……



途中でまた何度も転けそうになったり、転けたりと
大変な目に遭ったマグマラシだったが……

とうとう、森の奥深くまでやって来ていた。

「うう……みんなの嘘つき……道なんて無いじゃない。
 どっちへ行ったらいいの……誰でもいいから……教えてよ……」

泉へ行く道も…帰る道も分から無くなってしまったマグマラシ……
途方に暮れて、その場に座り込んでしまった。
今にも泣き出しそうな顔をしているマグマラシに……変な声が聞こえてきた。

『こっちだよ。 泉はこっちだよ』と……
それに驚いたマグマラシは慌てて立ち上がり、
声の持ち主を捜してキョロキョロと辺りを見渡すが誰も見つからなかった。

「誰もいない。 
 ……何? 今の…空耳……だったのかな?」

そうだとしても、違っていたとしても……不自然なことには違いなかった。
あまりの恐怖に顔がだんだんと引きつっていく。

そこにまた、『こっちだよ。 泉はこっちだよ』と
今度はハッキリとマグマラシの耳に届いた。

「ひゃう! うう……どっちなの……こっちでいいのかな?」

はっきり言ってマグマラシはその声がとても怖かった。
正体の分からない声に恐怖していたけど……
それよりも早く目的を果たして、この森から帰りたかった。

何より今は誰でもいいからそばにいて欲しかった……
だからマグマラシは声に従って歩き出す。



さらに数十分後……



謎の声に何度も何度も……

『そっちじゃないよ。 こっちだよ。 ああ、だから違うよ!』

何度も何度も声をかけられて、こっちへ行ったりあっちへ行ったり。
最後には声の方もなんだか怒っているような感じになっていった。
それでも、辛抱強かった謎の声のおかげで、
森をさまよっていたマグマラシはやっとの思いで泉を発見できたのだった。

「ここが泉なの……? 初めてこれた……」

少し感動するマグマラシ。
胸元で手をキュウッと握って小さく喜んでいる。

昼間でも、ここの森は暗く不気味だったので、
実はマグマラシは殆どこの森に入ったことがなかったのだった。
……それなのに森の奥の泉を目指そうとしたのは勇気……と言うより
無謀といった方がよい……
しかし、彼は泉にたどり着いた……それは事実だった。

「あっ! そうだ! 早く鱗を見つけないと……
 ……この泉のそばでグズグズしてると……うう、みんなの意地悪……」

マグマラシはこの森に入る前に……
みんなから色々と吹き込まれていたことを思い出してしまった。

『あの泉にはお化けが出るぞ』『いや、醜いヘビの様なポケモンがすんでるんだ』
「そして、泉に近寄ってくる奴を食べちゃうんだ』などと、
そのほかにも色々と……あること無いことをタップリ吹き込まれたのだった。

信じたくはなかったけど……知っているからこそマグマラシは恐ろしかった。
泉の周囲と底を一生懸命に見渡して、
少しでも早く鱗を探そうと血眼になるマグマラシ。

そのまま、鱗を探し続けるが……見つからなかった。

「何処にもないよ〜……いったい何処にあるの?」

一度だけ見せて貰ったその鱗は、とても綺麗で……
水の底に沈んでいても絶対に気づくはずだった……なのに見つからない。

(もしかしたら、ここの泉ではなくて……他の泉なのかも……)

いつまで探しても見つからないことで、マグマラシはそう思い始めていた。
でも、他の泉が何処にあるかも分からず、途方に暮れて泣き出すマグマラシ。

「あなたは、何を泣いているのですか?」

そこへ綺麗な声がして、それがマグマラシに語りかけてきた。
先ほどの声とはまた別の声にキョロキョロと見渡すがマグマラシには見つけれない。

「ねえっ! 先から誰か僕のこと見ているの?
 姿を見せてよ……一人だと……怖いんだよ……だから、お願いだよ……」

マグマラシの勇気もそろそろ限界を迎えようとしていた。
ただでさえ臆病で、恐がりなのに、こんな夜に森に入り込んで……
今のマグマラシには誰にでもいいからすがりつきたかった。

「私の姿を見たいの? なら……こっちにおいで……
 泉のところまできたら……姿を見せてあげる。」
「あ、うん。 分かったよ。 今からそっちへ行くよ」

マグマラシの声に再び綺麗な声が答えた。
その声に心を鷲掴みされたような感覚がよぎり……招き寄せられるように返事をしていた。
誘惑されたかのように泉の方へフラフラと歩いてく。

少し怖いのか時折、立ち止まり……
その度に声をかけられて徐々に泉へ近寄っていく。

泉をのぞき込み、そのまま中へ……
はいる前にハッとマグマラシは少し泉から飛び退いた。
何か……自分がおかしくなっているような気がしたからだった。

「いったい……なんなの?
 この声を聞くと頭が少しボーとしちゃって変だよ。」

今すぐにここから逃げた方がいいと……彼の心が言っていた。
でも、鱗という躊躇がそれを決定的に遅らせてしまった。

静かだった泉の水面が揺れ出して泉の奥から何かが出てくる。


ザバー!!!


泉の水面を突き破り水飛沫をあげて現れたのは……
大きなヘビのような体をしているミロカロスだった。

「うわぁああ!! でたー!!」

みんなが言っていた通りに
大きなヘビのようなポケモンが現れて、マグマラシの頭はパニックを起こした。
直ぐに逃げだそうとするも……
腰が抜けたらしく、ろくに動くことも出来ない。

そんなマグマラシを静かに見つめていたミロカロスは小さく嘆息する。

「ふう〜……あなたが会いたいと言うから出てきたというのに
 その態度は失礼ではありません?」
「あ……う。 すみません、驚いたりして……」

思ったよりも穏やかに話しかけてくるミロカロス……
おかげでマグマラシは少し冷静さを取り戻す事出来た。
マグマラシは自分を見下ろすミロカロスに少し頭を下げて謝る。

「まぁ、謝ってくれたのですからいいでしょう。
 それで……こんな森の奥の泉まできて、なんのようなのですか。」
「そ、それは……え〜と……あっ!!」
「っ! いったいなんです大きな声を出して!」

マグマラシが大声をあげて、指さすその先には、ミロカロスが……
いや、ミロカロスの尻尾を指さしていた。
無数の青く光っている鱗……それはマグマラシが一生懸命に探していたものだった。

「あの……すみませんミロカロスさん。」
「ん? なんですか、急に改まったりして……
 えっ! 私の鱗が欲しい……のですか?」

マグマラシの話を聞き、自分の尻尾をみて聞き返すミロカロス……
その時の仕草が何処かおかしかった。
まるで、最初から知っていたように落ち着き払って受け答えをする。

それには気づけなかったマグマラシは必死に
なぜミロカロスの鱗が欲しいのかを説明しだした。

マグマラシの肝試しにその鱗を取ってこいと言われたことを。
取って戻らないと、みんなに馬鹿にされて悔しくてたまらない。
包み隠さず、話していく。

それをミロカロスは黙って時折うなずきながら聞いていた。

その内心は……天秤が揺れるように左右に揺れていた。

別に鱗の一枚や二枚あげて構わなかったのだが、
最初は自分の縄張りに勝手に入ってきた礼儀知らずの存在を知り……
ある方法を使ってマグマラシをこの泉に招き寄せたのだった。

今でもこのマグマラシの処遇をどうするか悩んでいたのだった……
それが、初めは聞き流すようにマグマラシの話を聞いていたはずなのに、
だんだんと話に引き込まれ同情がわいてきていたのだった。

しかし、マグマラシは言ってはいけないことを言ってしまった。
ミロカロスの同情心を打ち砕く、言ってはいけない事……

『彼女を侮辱する言葉を』

「でも、ミロカロスさん。
 ……みんなが言っていた事と違うんだね。
 みんなお化けだとか、醜いヘビだとか言っていたから……
 僕……凄い化け物がすんでるのか、と思って……た……」

急にマグマラシの言葉が尻すぼみに掠れて消えていく。

「……マグマラシさん。今なんて言いました?
 醜い? 化け物? ……このわたし……がですか?」

今まで感じられなかった何かが、ミロカロスの体から放たれている。
それに気圧されてマグマラシは『ひぃっ!』と小さな悲鳴をあげて後ずさった。

それを、ミロカロスの……怪しく光る目が片時も離さず、
マグマラシの動きを追い続け、さりげなく……
尻尾が水面下をズズズズッとマグマラシの方へと伸びていく。

マグマラシはそれに気づけない……気づく余裕がなかった。

「え、あ……あう……」

ミロカロスに怯えて、何かを言おうとしても言葉になって出てこない。
もし、動いたらミロカロスが何をしてくるのか分からない恐怖……
それにマグマラシは、何とか正気を失わず耐えていた。

怯えているマグマラシを……
ミロカロスは、はらわたが煮えくり返る思いで睨みつけていた。

(よくもこのマグマラシ! この私が醜いですって!!
 絶対許せない……こいつも……こいつを虐めてたという仲間達も……
 私を侮辱するものは全部……許せない……)

彼女は……ミロカロスは自分の容姿に絶対の自信を持っていた。

その……すごく高いプライドを微塵に打ち砕く発言をしてくれた、
マグマラシとイジメっ子達に……彼女なりのお仕置きをするつもりなのだが、
どのようなお仕置きをするかを、マグマラシを見つめながらじっくりと考えて……

「マグマラシさん……」
「ひ、ひゃい……なんです、か?」
「私は決めました……
 あなたに私の鱗を渡すことは出来ません。」

まったく呂律の回らないまま返事をするマグマラシに、
ゆっくりとマグマラシが理解しやすいように、優しく話しかけるミロカロス……
しかし、それなのにその言葉は淡々としていて、
決められたセリフを話しているかのように心がこもっていなかった。

「ど、どうしてですか?」
「……どうしてか、知りたいのですか?」

自分を見つめたまま、固まっているマグマラシに
ミロカロスは、スーと首を伸ばして頭を近づかずけていき……

「ひうっ……」

耳元をペロッと舐められたマグマラシ。
首をすくめて縮こまるのと同時に、
背中と尻尾の炎が弱々しく揺れ動き、体中の毛も逆立つ。
付着したミロカロスの唾液がトロトロと顔を伝って行くのを感じていても、
彼はまだ逃げることが……逃げる勇気をだすことが出来なかった。

そんなマグマラシの簡単な味見を完了させたミロカロスは、
その味にとても満足し、それがマグマラシの運命を決定づけたのだった。
そして、ミロカロスが口を開いた。

「それは……あなたはもう、この森から出ることが出来なくなったからです。」
「えっ……嘘、ですよね……」

マグマラシはもう何が何だか分からなくなっていた。
元々ここへ来る道も、ミロカロスが怖く変貌したのも、帰ることが出来ないという事も…… 



「嘘ではありません……何故なら……」

そこで押し黙るミロカロス……辺りに沈黙がもたらされ、
それに耐えられなくなったマグマラシが後ろに下がろうとしたとき、


パシッ!


「うわっ!」

こっそりと動かしていたミロカロスの尻尾がうねるように動き出す。
素早く水面を突き破りマグマラシの足に向かって迫り、
そのままマグマラシの足元を地面をはうように払い飛ばした。
その一撃でマグマラシは、軽く宙に浮き上がり悲鳴をあげて……


バッシャアァァン!!!


派手な水しぶきを上げて泉の中に落下したのだった。

「あっぷ……ぷぁ……水はいや、だ……早く……あがらないと。」

何とか水面に浮かび上がったマグマラシ。
水に全身が浸かっているせいで、体から力が抜けていくのを感じていた。
急いで陸に上がろうとバシャバシャと泳いでいく……が、
その前にミロカロスが素早くその長い体を使い、
マグマラシに巻き付ついて泉の中心まで引きずり込んでいく。

「いや、助け……て、おぶ……あっぷ……ミロ、カロス……さん……なんで?」

何度も波立つ泉の水を頭から浴びて、
水が苦手なマグマラシはそれだけでドンドン弱っていく。
ミロカロスは獲物を逃げられないように、念入りに長い体を動かし絡みつけていく。

「何故って……まだ分からないのですか?」
「分か…あっぷ……いよ。 …かっふ……ミロカ、ロスさん……ごふっ……」

泉の中からミロカラスの長い体の一部が、
弧を描くようにまちまちに飛び出しズルズル動いていく。
それと一緒に巻き付かれたままのマグマラシも、
グルグルと回転させられながら沈んだり浮き上がったりを繰り返し……

(此処まで来れば逃げることも出来ないでしょうね)

泉の中心まで来るとミロカロスは、
さらに素早くズルズルと体を動かしてマグマラシの位置を調整していく。
為す術もなく、マグマラシはその動きに翻弄されていき……
ミロカロスの頭が自由に動かせる位置まで来るとその動きを止めた。

「が、……あう。」

マグマラシは体の下半身は、しっかりと押さえつけられて動くことも出来ず……
いや、元から動く力は残っていなかった。
力なく巻き付いているミロカロスの体に横たわり、掠れた声で呻き声だけをあげていた。 



そのマグマラシに再びスーと首を伸ばして頭を近づけていき、
耳元を舌で舐めながら小さく呟いた。

「ふふふ、これで分かるかしら……」
「あっ!……あぅ!……きゅぅぁ!」

舐められるたびにマグマラシの体が、ビクビク痙攣するように動き喘ぐ声をあげる。
実際には舐められるたびに電気の走るような痺れが、
体を走り段々と目を開けているのも辛くなってきていたのだった。

自分の質問に答えないマグマラシを特に気にすることもなく……
味見をかねて、ミロカロスは口から唾液を滴らせながら長い舌を伸ばしていく。
マグマラシの顔を満遍なく嘗め回し……
口から滴る唾液を舌の届いていないところに垂らしていく。

「ふふふ、美味しいわよあなた……」
「………あ、あ……」

もう、殆どマグマラシにはそれに答える力がない。
背中と尻尾の炎はすでに消え失せていて……
赤くクリッとした目は半分に垂れて光を失っていた。

うつろで何処を見ているのか……もう分からなかった。

「もう答えられないみたいね……
 最後まで分からなかったみたいだから教えてあげる。
 あなたが帰ることが出来ないのは……私があなたを今から食べるからよ。」
「っ………あっ………」


その言葉に恐怖で心が震えていた。
抗うような声をあげてマグマラシは体を動かそうとする……
しかし、体は痺れていて動かず……
締め付けられるまでもなく、腕が数センチ動かせただけだった。

「ふ〜ん……まだ意識はちゃんとしているみたいね。」

ミロカロスはようやく舐めるのを止めて、少し締め付けを弱めた。
途端にマグマラシの体が唾液で滑って落ちていく。
それをミロカロスは長い体を上手く動かし垂直に立たせた。
顔に付着していた唾液がドロドロと体の方へと垂れていく。

ミロカロスはそれを見ながらマグマラシを安心させるように優しく語りかける。

そして、……地獄に突き落とす。

「大丈夫よ…あなた一人だけじゃないわ。
 虐めていた子達も……すぐに会わせてあげる私のお腹の中でね……」

ミロカロスの口が大きく開いていき……真上から唾液を滴らせて迫ってくる。
ピンク色の口と舌をマグマラシは見つめたまま、何も出来ずに待つしかなかった

……そして、


カプリ……ジュルジュル


まず最初に……ミロカロスの口が大きく開いた口が、マグマラシの鼻先を優しく咥え込んだ。
そこから、ジュルジュルと啜りながら顎を動かしていく……
徐々にミロカロスの口が膨らんでいき、頭からマグマラシを丸呑みにしていった。


クチュチュ……ジュル……クチャ


徐々に食べられていく中マグマラシは見ていた、感じていた……口の中で……

自分の体を飲みやすくするために、せわしなく動く舌を……
自分の体を飲み込もうとする顎の動きを……
自分に絡みつこうとわき上がる唾液のプールを……
少し先に見えている、段々と近づいていくミロカロスの喉の奥を……

目をそらすことも出来ず、さらに引き込まれていく。


ネチャ……ヌチャ……ベチャ…


ミロカロスはじっくりと時間をかけてマグマラシを飲んでいく……
今ではマグマラシは腰までくわえ込まれ、
その体の大きさの分ミロカロスの喉を食道を大きく膨らませている。


喉の奥に落ち込んで、マグマラシはまだ見ていた、感じていた……食道の中で……

グニャグニャと動く食道の動きを……
体の動きを封じるミロカロスの筋肉の感触を……
狭い食道を自分の体が押し広げる感触を……

段々と意識の薄れていくマグマラシは、
やはりどうすることも出来ずに胃袋に向かって落ちていく。

ミロカロスが頭を上に持ち上げマグマラシの自重を利用しさらに飲み込んでいく。
その口からは、すでに足先しか見えていなくて……
最後の仕上げとばかりにミロカロスが、ググっと体を上へと伸ばしつつ大きく口を開いていく……

……そして、


ジュルルル……ゴクリ……


ミロカロスは生々しい音を立てて全てを啜っていった。
全てが口の中に消えると……ゆっくりと口を閉じていく。
ついにマグマラシの体を全て自分の体の中に収めてしまった。


ズブズブ……ジュル……ズリュリュ


ゆっくりとミロカロスの体をプックリと膨らませてマグマラシが落ちていく。
その場所に耳を当てたなら、マグマラシと食道がこすれる音が聞こえてくるだろう。

「うっぷ…… うふっ、美味しかったわ。
 こんなにポケモンの子供が美味しかったなんて知らなかったわ。」

口元についていた唾液を舌で舐めずりをして舐めとった。
そして、自分のお腹を見下ろすと……
頭から伸びている長い触手のようなものを動かして、撫でるように動かした。

そこには……とうとう胃袋に落ち込んだマグマラシが収まっていた。
パンパンに膨らんだ胃袋の中で、
マグマラシは胃袋の胃壁に強く締め付けられ……満たされている体液に全身を覆われていた。

「……み、ん……な。 ご、め……」

今にも消え入りそうな声でマグマラシは呟き、
それを最後にマグマラシの意識は遠い世界へ旅立っていった。

「さてと……」

マグマラシが詰まった体を少し重たそうにくねらせて、
ミロカロスは泉を泳ぎきり岸に上がった。

「今度は……この子に私の悪口を吹き込んだ奴等をお仕置きしないとね……」

すでに消化が始まりだして、音を立てているお腹をさすりながら、
ミロカロスの目が赤く怪しく光る。

その目には次の哀れな獲物が映っているようだった。


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