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少女と怪物と猫鼬と兎達 − 旧・小説投稿所A

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少女と怪物と猫鼬と兎達

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「…早ぇ…」

ザグが呟くのも無理は無い。
パニシュは、ミナが電話してから二十分でイッシュからシンオウまで来たのだ。

「…お兄ちゃん、後で話があるから…」

黒い笑みでそう言うミナに怯えながら、ザグは暗号の意味を説明した。

「…つまり、この塔を回せばいいんだな」

パニシュの呟きに、ザグが頷き、

「じゃあ、急ごう!」

リュイが塔に向かって歩き出した。
すると、

「ところで、犯人が何故こんな事をしたのか知りたくないか?」

パニシュの言葉にリュイの足が止まった。

「知りたい…けど、出来るの?」

スザの問いかけに頷いて、パニシュは下腹を何度か押して、男を吐き出した。

「うう…くそ…」

忌々しく呟く男に、パニシュが詰め寄る。

「お前らの目的は何なんだ?」

男は最初は黙っていたが、パニシュが無言で口を大きく開け、口内を見せながら近付くと、

「分かった!言う!だからやめてくれ!」

捕食がよほど怖かったのか、あっさりと口を開いた。

「…俺達はこの世界に希望を見出だせなかった…。幸せなんて無かった…。だから、俺達は決めたんだ!もっとマシな世界に変えるって!」
「それでアトランスを使って世界征服…か」

男がそう叫ぶと、黙っていたザグが口を開いた。

「…ふざけんなよ。そんなんお前らが良いだけじゃねぇか」

その言葉に、男は噛みついた。

「違う!今幸せなのは、権力者だけだ!そいつらの身勝手な行動のせいで、その下が苦しんでるんだ!」
「お前らがそう思ってるだけだ!」

ザグが怒鳴り、さらに続ける。

「お前らは価値観を押し付けてるだけだ!お前らの嫌う、『権力者』と、さして違いはねぇんだよ!」

その言葉を聞くと、男は、ゆっくりとその場に崩れ落ち、やがて泣き出してしまった。

「…嘘だ……俺達は……」

ザグは、男を見てから、パニシュを見て、

「楽にしてやってくれ」

とだけ言った。
頷いたパニシュは、男を再びくわえ、

ゴクン…

一気に呑み込んだ。

「ありがとな。パニシュ」

しんみりした空気の中、ザグがそれだけ伝えた。

「…いいんだ。慣れてるからな。…それより、早く回さないか?」

パニシュの一言で、目的を思い出した一行は、塔に向かって歩き出した。


今日は太達行こっ!
「なあ、作者よ…」
あれ?どしたの?パニシュ。
「歌詞間違いに気付いて、こっそり修正して、無かった事にしようとするのは、駄目だと思うぞ?」
………修正した事書き忘れてた…。
(エシアちゃんの『掲げた[色]』→『掲げた[夢]』です!すみません!)
<2013/01/05 09:57 ウインド×ラムネ>
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