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俺は、そのままイルネス国の王室に連れていかれた。
その間、ずっと超能力のせいで動けなかった。
何か用事があるのか、ロギア王は部屋から出ていった。

「帰って来たら、ゆっくり味わってやるからな。待ってろよ♪」

去り際に、そんなことを言う背中を、脱出のチャンスを伺いながら見送る。
すると、扉が閉じた瞬間に、超能力の効果が切れた。
…このチャンスを逃したら、もう逃げれないな…
逃げれなかった時の惨状を思い浮かべ、思わず身震いする。
扉からこっそり行くのは危険だと判断する。
何時帰って来るか分からないのに出て、途中で出くわしたら終わりだ。
そこで、逃亡用の脱出扉がないか探してみると…

大きな窓が見えた。
良く考えれば、周りの様子を確認しながら行けるから、ここから飛び降りるのが一番速く、良い案かも知れない。

…思い立ったが吉日だ。
早速飛び降りる。
無事着地し、走り出す。

そんな俺を、月は優しく照らしていた。


そのまままっすぐ走ること数分。
昼間、王達が会談した場所には、既に早苗がいた。
俺を見ると、いきなり、

「遅いです。」

と笑顔で言ってきた。
内心、会えたことを喜んでいるように見えた。
遅いと言うことは、もっと早くに着いていたのだろう。
…あの王から逃げれるなんて、相当強いな…
考え事をしていると、早苗が提案してきた。

「あの、これから一緒に仕事をするのだから、お互い、どうやって闘うか教えませんか？」

…別に困ることもないだろう。

「いいぜ。えっと、俺は、格闘で勝負する。特に、蹴りが得意だ。あと、脚が自慢だな。」

早苗は頷いて、

「私は、トンファーか、剣を使います。」

そう言って、見せてくれたのは、2本の剣。
片方は、柄が黄緑色のレイピアで、もう片方は、柄が蒼い日本刀だ。
…二刀流か…
早苗が、簡単な説明をしてくれた。

「このレイピアは[葉桜]。だいたい左手で牽制用に使います。そして、この日本刀は[凍蓮]。主に右手でトドメを刺します。」

俺が頷くと、さらに言葉を続ける。

「そして、私は、長時間全力で闘うと反動が強いので、魔力を制限しています。そして、解放すると…」

ズシィィィン！

大きな音に驚いた早苗は、口を閉じてしまった。

…とうとう来たか…
俺には、何があったのか、容易に想像できた。
奴等が来たのだ
…獲物に逃げられた、二人の王が。

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