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月神 − 旧・小説投稿所A

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月神
− 今も、残像を残して… −
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次の日、俺は初めて王より早く起きた。

ドクン………ドクン………

規則正しい心音を聞いていると、少し安心した。

…とりあえず、起きないとな。
不安定な足場の中、起き上がろうとする。

ピキピキッ!
「ぐっ!…痛ってぇ…」

どうやら、昨日早苗が伝えてきた『大変な事』とは、この猛烈な筋肉痛のようだ。

…動けねぇ…
しばらくすると、王が目を覚ました。

「ふわぁ〜…。ん?もう起きていたか。」
「いだっ!…王、動かないで下さい。」

俺は、王に筋肉痛のことを話した。

「なるほど…。わかった。何とかしてやる。」

そう言った途端、胃壁から液体が染み出してきた。
つまり、
……胃液?
止めてくれ!まだ死にたくない!

「お、王!溶かさないで下さい!」
「…やはり知らんか。まあ見てろ。王位継承者にのみ受け継がれる、超高速治癒魔法の効果を…」

…そんなもの聞いた事がない。
そうこうしてるうちに、液体が体に触れた。

シュワァァァァァ…

そんな音と共に、体の倦怠感が消えていった。

「フフ…。どうだ。凄いだろう?『癒液』と呼んでもいいぞ。」

それはさておき、本当に凄い。

「ありがとうございます。」
「礼はいい。その代わり、警備、しっかりしてくれよ?…毎日食うのは、癒液を浴びせる為だからな。」

そういうことならしょうがない。

「わかりました。宜しくお願いします。それと、出してください。」

「…夜までいいだろ?」

…結局、出して貰えなかった。


その夜、俺は早苗より早く着いた。
…今日はいろいろと人より早いな…

「あっ!ごめんなさい…。」

俺より少し遅れた早苗は、しょんぼりして謝ってきた。
俺が早すぎただけで、まだ、集合時間まで3分ある。
…笑える程丁寧だな。

「いや、大丈夫だ。ところで、あの金色の翼はなんなんだ?」
「えっと…あぁ、あれですね。あれは、昨日言いかけた、魔力を解放したときに、体に収まり切らなかった魔力が形になった『魔力の塊』です。ずっと魔力が増殖しているので、ああなっちゃいます。」

さらに続ける。

「私は主に氷系の魔法と、あなたにかけた補助系しか使えませんが、解放すると、尋常じゃない効果が得られます。それで倒す。それが、私の闘い方です。」

…確かに、あの能力強化は、恐ろしい効果だった。

「そうか、じゃあ、よろしく。」

そう言い、右手を出す。

「ええ。よろしくお願いします!」

早苗の右手が、俺の右手を掴み、しっかりと握手した。


2回連続でやっちゃいました。

次回、最終回です!
<2012/11/13 17:45 ラムネ>
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