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舟の向こう − 旧・小説投稿所A

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舟の向こう

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「あ、そうだ・・」

いつの間にか周りが地平線だけになったとき、「もの」が語りかけてきた


「知らないとは思いますが・・・ヒトリになれましたよ」

「え・・?」












意味が分からないや・・どういう意味なんだろう。

「私はあなたが望む、ヒトリをつくって差し上げましたよ」

「どういう意味?ひとりって。」

IQ300でも理解できない意味をずっと考えたけど、結局ボクには難しかったみたい。



「意味?そうですね・・・あなたの頭脳なら分かるはずでは?」

「わ、わかんないってば・・教えてよ。」

「フフ・・私にもわかりません・・ただ・・」









「それをあなたが望んだという事です」

「え・・?」

それが引き金になったのかな。ボクの視界は真っ暗になり、ボク自身、その暗闇のなかに落ちていった。





















「・・こ、ここは・・」

なにも見えない、暗いブラックボックスの中だった



「どうです?ここがアナタの世界・・エターナル=カイオーガという命が持つ、心の闇ですよ」

「ど、どういう意味なの・・?君って・・誰?」

「まあまあ・・私も二つの質問には答えられません・・」

「もの」は身を翻し、周りの闇と体を混ぜた。


数十秒後、「もの」がいた辺りには、カイオーガそっくりのポケモンがいた。いや、コピーと言った方がいいかもしれない。


「き、きみ・・誰・・」

「私はあなたそのもの・・あなたの裏ですよ」

「裏・・?」

「そう、裏。あなた=私です・・・あなたの心には先程、『みんなキライ、消えろ』という感情が生まれました。大方ロンギヌス達と喧嘩でもしたのでしょうが・・そこでこの部屋でずっとひとりだった私が、代わって差し上げるために接触しました」

「え・・・え・・?」

「フフ・・理解できませんか。この空間は私たちエターナル=カイオーガの心の闇・・どちらかが精神、身体を支配し、どちらかはこの空間に閉じ込められる・・そういうことです。今まで私はこの部屋でずっと・・あなたが生まれてからずっとここに幽閉されていました。」

ボクは後ずさり、迫ってくるもう一人のボクから離れるつもりだった。でもあいつは自分そっくりの舌を伸ばし、ボクの体に巻き付けた。


「う・・ぅぅ・・」

「今度は私の番・・あなたはずっとここで暮らしなさい」

「いやだょ・・そんなの・・ボクはボクだ・・・お前なんか・・」

「ボク=私ですよ。ロンギヌス達は性格が変わって戸惑うかもしれませんが・・・すぐに慣れるでしょうね」

もう一人のボクはそう言い残し、影となって消えた。

多分・・ボクの『表』を侵しにいったんだ・・


登場人物紹介〜補足

裏カイオーガ

カイオーガの反対に位置する人物。カイオーガが生まれてからずっと、心の闇に閉じ込められていた。性格は正反対。

心の闇

片方の人格が身体と精神を支配している間、もう片方の人格が幽閉される空間。名前通り何もないが、支配している方がなにをしているか見る事はできる。

<2011/05/15 15:26 ロンギヌス>
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