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舟の向こう − 旧・小説投稿所A

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舟の向こう

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「触らないで下さい…偽物ォ!!」

「………」

カチッ…「VORE!!」
カチッ…
カチッ…
カチッ…
カチッ…



「あ…ああ……」

ムッとしたのかカイオーガはボタンを連打し、体を6倍に巨大化させていた。スイカ程もある涎の雫が垂れ、小さな水たまりを作る。

「一応ボクなんだから…騒がないでね?」

「くっ…くそっ…!!」

「…!」

裏はその巨大さを利用したかったのか、カイオーガの腕下をかいくぐって、打ち捨てられているメモリケースへと手を伸ばした。

グルッ…ぎゅううっ!!!

「あ…がああああっ!!!」

ケースに触れるまでに体は舌に巻き取られ、雑巾のように絞られる。全身の骨が潰れそうになり、裏はズルズルとカイオーガの前へと呼び戻された。


「くぁ…ぁ………ぅ…」

「さてさて…どうやって呑み込んであげようか…?」

自分を痛めつけているようで、あまり気持ちの良いものでもない…しかしカイオーガには、その「自分」を取り戻す必要があった。

小さな自分の前で、ゆっくり口を開けていく。沢山の唾液が柱のようにたっており、口蓋から舌の上にポタポタと滴り落ちていた。

「んあ…」

「ひ…やめて下さい……あなたなんかと1つになる理由は…!!」

「…やっぱり君はボクじゃないや…」

バクッ…ごく…!!





「うわああああああああああああ」

食道の中で暴れているのが、外からたっぷり見てとれる。自分=膨らみはズンズンとその管を降りていき、胃と思わしき部分で止まった。

当然胃袋についたところで、裏は抵抗を止めていない。カイオーガの胃壁を必死に攻撃しているのか、膨らみはぐよぐよと蠢いていた。

「残念だけど……こうだ!」

カイオーガは意を決して、思い切り地面にお腹を押し付ける。裏はそれでも暴れるのをやめなかったが、潰しっ放しにしているとしばらくして動かなくなった。

抵抗が消えて10分……漸くカイオーガは押し付けるのをやめ、ピクリとしか動かない膨らみを見つめた。


やったー♪…って喜んでいいの?これ…


しかし考える間もなく強い眠気に襲われ、カイオーガはコテリと眠りこけた。



〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜

「……あっ…」

ロンギ「やっと起きた…ずっと固まってたから死んだのかと…」

ラティ「兄さんはあなたより長生きですよ♪」

「…も、戻った…の?」

ロンギ「え?なにから?」

「あ…ううん…気にしn…」

ぐううううぅ……




「あはは…お腹へっちゃった♪なにか食べていい?」

ロンギ「性格も戻ってるし…なにがあった?」

「ずっとペコペコだったんだ…今も。」

白いお腹に膨らみは無く、彼の胃袋は低く唸っていた。


ラティ「ご飯ありますよ。食べましょう。」

ロンギ「あんまりガツガツ食うなよ…?食費ってもんが…」

「じゃあねマスター…ガツガツ食べてくる♪」

ロンギ「あいつ…悪魔か。」




やっぱり……普通が一番いいや♪


the end


<2011/05/15 15:46 ロンギヌス>消しゴム
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