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ICE AGE − 旧・小説投稿所A

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ICE AGE

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「兵長、今日の朝食なんでしょうね?」

地上1階…曇ったガラス越しに朝日が登るホールで、2人の兵士がベンチに腰掛けていた。時間は午前6:20分……起床時間だ。

「そうだな……パンか飯か……それとも…」
「お前等だ。」

話し合う2人の頭上から冷たい声が聞こえる。2人が上を向くのと、体が持ち上げられるのと、同時だった。




はぅぐむ……ングチュ…ごくん…。



何が何だか分からないまま、地下から這い出した氷竜の朝食となる兵士達。喉を下る膨らみは暴れも抵抗もせず、ただ?マークを浮かべていた。

氷竜の周りには冷気が漂い、巨大な脚に触れた部分はパキパキと凍りついていく。


「げぷ…腹の足しにもならねぇ……もっと誰か……」

兵士4人…地下にいた作業員3人を呑んだにも関わらず、氷竜はまだまだ不服そうな顔つきを浮かべ、再び歩き出す。

しかし今度はホールに、焦った様子のアナウンスが入った。


「き…緊急連絡!現在地下からホールにて、不審な巨大生物を確認!!見たところ…ド…ドラゴン……………非戦闘員は避難、兵は全員A級装備の上、ホールへ戦闘配置!!」

「なんだ?わざわざ来てくれるのか…?」

ぼそっと呟いた瞬間、辺りがガタガタと騒がしくなり始める。10秒もしない間にホールへと繋がる廊下全てから大勢の兵士が現れ、その全員がライバーを氷竜へと向けていた。




「恐ろしい階級社会か…まるで蟻だな、お前ら。」

長官「しゃ…喋っ…!!」

「ああ喋れるさ。いっとくがお前達の脳を束にしても俺の知能には勝てないぜ。」

「うるs……だ、第7射撃隊前へ!!」

長官の怒号令が飛び、最前列の兵士達が一歩前進し、ライバーを構える。氷竜は深くため息をついた。自分の頭が15方向から狙われているというのに…


「はぁ………飽きないなお前らも。そうまでして遊んでほ…」
「撃てっ!!」


「「「「「ATTACK RIDE BLAST!!」」」」」


氷竜の口を無視し、長官は罵声を轟かせる。四方八方から高威力の光弾が飛び交い、正確に全弾命中した。長官はニヤリと微笑する。


「フフフ……我が優秀な部下達の腕前、たっぷり味わうがいい!!」

「ああ…下手糞ばかりだな。」

「なっ……!!!」


氷竜の声は長官の直上からホール全体に響き渡り、弾の無力さを兵士達へと強示した。長官は上を向き、落ちてくる巨大な足裏をぽかんと見つめた。


ドッシャーーーーーーン!!!!!!!!

「ぐぎゃあああああああああああっ!!!!ああああっ!!ああああああああああ!!!!!」

「……黙れ。」


2tはあろうかという巨脚の下敷きになり、虫のような悲鳴をあげる長官。ミシミシ唸る背骨の音が、反対側の兵士の耳にも届いた。

信じられない圧力に悶えながら、長官は短い手を近くの兵達へと伸ばす。



「馬鹿…野郎っ!!何をしてやが…る………早く助けろおおおおおおおoooooooooっ!!!!」

罵倒しながら絶叫する姿は、二等兵から見ても氷竜から見ても、虚しく哀れだった。

硬直している兵士達を見下ろしながら、氷竜は悪質な笑いを浮かばせ、口を開く。


「おい助けなくていいのか?早くしねえとコイツ………俺に食われちまうぜ?」

嫌らしくジュルリと舌を舐め擦る。はみ出た巨舌から滴った唾液は長官の額へと落ち、タラタラと顎まで垂れていった。

固まっていた者達は全員長官に背を向け、ドドドと波の如く通路へと疾走した。司令官への浅い忠誠心は、「食われる」恐怖に呆気無く敗北し、ガラガラと積み木のように崩れおちたのだ。

長官はあわあわと喚き散らし、逃げ惑う部下達の足を掴もうと躍起になっていた。

「お、お前等私を捨てる気か!?おいお前…待っ…」

「触るな!自分で何とかしろよ…!!」

足を掴まれた兵士は力づくで引き戻そうとする手を振りほどき、一目散に駆けていった…

氷竜は長官の態度に笑いが止まらず、何とかして笑うまいと悶え苦しんでいた。



「た…助けた奴には勲章やるから…!!なんとかしてくれぇっ!!」

ホールに人は少なくなり、あっという間におよそ120人全員が逃げさっていった。再び早朝のような静けさが戻る。




「待って…………死にたく…ない…」

数人に踏みつけられ、無様な助けを乞い続ける長官に、氷竜は笑いを殺しながら話しかける。

「ヘヘ…だーれも助けてくれなかったなぁ?」

「煩い……今に来る…来るに決まって…」



<2011/05/15 15:12 ロンギヌス>消しゴム
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