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ICE AGE − 旧・小説投稿所A

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ICE AGE

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氷竜〜食道内〜


「うぶぐ・・畜・・生・・!」

ぶよぶよと動く肉壁に挟まれた空間の中を、
リゲルは重力に従って下へ下へと落ちてゆく。
落ちる速度こそゆっくりとしたものだが、
この空間は確実に彼の体を呑み下そうとしていた。

頭から呑まれたため手足による抵抗は意味をなさず、精々落ちる速さを緩めただけ・・・

狭い空間の中、必死に体をじたばたともがかせるものの、
分厚い肉の壁は彼を執拗に押しつぶしてくる。


しかしそんな絶体絶命のリゲルの目に、手に着けられたライバーが映り込む。

幸い、「耐熱耐圧防水」仕様だったらしく、使用に支障は無かった。


「カ、カードが・・・と、取れ・・ねえ・・」

しかし問題は腰へ取り付けたカードケース。締め付けられる力が強すぎ、自由が利かなくなってしまった腕に、腰に手をやるのは無茶だった。

そして身動き一つできないほど、彼の体はがっちりと拘束されてしまう。



ずぶずぶ迫り来る肉壁と格闘している間に、どういう訳か鼻口からの呼吸が少し楽になった。

頭が厚い噴門をぐぐっと押し開いたのだ。


「ま・・・まずい・・・!!」

粘液に紛れて分からないが、リゲルはたらりと冷や汗を流す。
一旦胃袋に落とされてしまえば、余程の事がない限り外へは出られなくなり・・・そして・・



「消・・・化・・・」

丸呑みだからこそ味わえる恐怖感。リゲルはねっとりと温かいにも関わらず、ブルブルと震え始める。

慌ててケースを求めて手を伸ばすが、逆さ釣りの状態では何もできなかった。


「い・・あああっ!!」

ズボッ・・べちゃっ。
とうとう落とし込もうと脈動する食道に耐えられず、リゲルは真っ逆さまに胃へと落下した。









その頃、外では・・・




摘まみ上げられたドイルは震えながらライバーを氷竜へと向けていた。カードには、『ATTACK RIDE IMPACT』と記されている・・


「ほう・・・やはり喰われたくはないか・・」

「当たり前だっ!!先輩を・・先輩をだせ!!」

ガチャリとライバーを構える。脅しているらしいが、気迫は無に等しかった。



氷竜はしばらく押し黙ると、じゅるっと涎を垂らしながら口を開く。


「おもしろい・・撃てばどうだ?」

「なっ・・・」


驚いた事に氷竜はライバーに恐怖の欠片も見せず、それどころか再び口を開け、ドイルを喰らおうとしていた。

流石にもうどうしようもなくなり、ドイルは迫る舌へとライバーを向ける。




ドドキュゥゥ…ン!ドドキュゥゥン!・・・
・・ドガガガガガガガガアアン!!
ドゴン・・・ドゴオン!!




耳を劈くような銃撃音が轟く。予想以上の爆煙にドイルは咳き込み、うっすらと目を開けた。


<2011/05/15 15:11 ロンギヌス>消しゴム
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