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狼と狐のち日常 − 旧・小説投稿所A

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狼と狐のち日常
−  「に、兄さんの手当をしないと」 −
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「に、兄さんっ! 大丈夫!?」

穿たれた傷口を押さえる手からは鮮血がどくどくと零れていた。
浅いと言い張る兄さんの表情からは浅さを感じる事はできなかった。

「て、手当てするよっ」

とにかく傷がどうだこうだ言う前に手当をして、止血させる事が最優先だ。
ボクは兄さんを地面に寝かせ、安静にさせる。
まずは傷口の消毒。消毒液を染み込ませたガーゼを傷口に宛てがう。

「っっぁぁっ!!」

当然の事ながら鋭痛に叫ぶのは想像は容易だ。
暴れる兄さんを制しながら、純白無菌のガーゼで傷口を覆う。
幸いな事に銃弾は綺麗に貫通していた。
これなら応急手当位はなんとかできそうだ。
ガーゼの上からテーピングを強めに施し、包帯を巻く。
しかし、直ぐさま紅く滲む。

「兄さん、二重にするよ」

急いでその上に再度、テーピングを施し包帯を巻く。
流石にここまで施せば、深紅になる事は無かった。
若干、包帯は滲んではいるが。

「っぅ……ありがとう、大分楽になったよ」
「良かった……」

ボクは安堵の息を重々しく吐いた。
上体をゆっくり起こした兄さんが笑顔でボクの頭を撫でてくれる。
それだけでボクは嬉しかった。
釣られる様に兄さんに笑顔を返した。

「砂羽、家に隠れるんだ」

だけど、ボクは首を縦には振らなかった。
皆兄さんの為に戦っているのに、どうしてボクだけが隠れなきゃいけないの?
きっと、戦場と化したここはのちに地獄絵図となるのは想像がつく。
これでも、死体や血などには慣れている。
恐らくそれを心配しての気遣いだと分かった。

「大丈夫。兄さんが思っている程ボクは弱くないよ」
「……わかった」

と、兄さんは突然ボクを抱き取り、地に腰を降ろした。

「少し……休憩しようか」

そのまま、家の壁に凭れたのだった。




<2012/05/02 22:09 セイル>消しゴム
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