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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜 − 旧・小説投稿所A
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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
− 平行線の想い −
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「…………愛し…てる」


突如として言い渡されたその言葉に、レムリアは呆然と口
を半開きにして固まった。あろうことか、バビロンの口か
らそんな台詞が飛び出すとは夢想だにしていなかった。
誰よりも彼自身が、自分の口にした愛の宣告に驚いているらしい。

数秒後、顔の半分を照れ隠しに覆いながら、バビロンは弁
明するように言った。

「お前が……こうでもしないと機嫌を直さないだろうから
言ったまでだ。二度と口にさせるな」

「…………き、気にしてたの? さっきのこと……」

「……ああも正面から怒号を飛ばされて、気にならない輩
がどこにいる」

5分ほど前に、バビロンの自己否定を正させるために張り
上げた大声。レムリアとしては怒っていたつもりは絶無だ
ったのだが、バビロンからすれば結構な痛手だったようだ。
母親にこっぴどく叱られた後の少年のように、バビロンは
随分と目を落ち込ませていた。


「ふふっ…………♪」

「何が可笑しい」

「何でもないわ……本当に。さて、そろそろ部屋に戻りま
しょうか」

このままだと怒涛のような追及を受けるのは目に見えてい
るため、レムリアは話の路線を切り替えた。というより本
当にそろそろ部屋に戻って支度をしなければ、この旅館を
追い出される形で去る羽目になる。

バビロンの情報によると、チケットが有効なのは今日の午
後6:00までということだった。

「まあ……確かにもう5時を回っているな……」

「でしょう? ちょっと話し過ぎたかもしれないわね」

レムリアが腰を持ち上げるのを見て、バビロンも間髪入れ
ずに立ち上がった。そのとき彼の翼を侵食している赤錆が、
わずかにレムリアの目を掠める。その際に「半年」という
単語を思い浮かべただけで、胃が鉛を呑んだように重くな
った気がした。


「(いえ……そんなこと意識しちゃ駄目よね……)」

金輪際、気が落ちるようなことは考えないと決心を固める
ため、レムリアは遊戯室のときと同じように腕をバビロン
の脇に差し込んだ。バビロンは急な出来事にギョッと身を
固めたが、異性としては満更でもない様だった。


「……っ……おい。さっきの話を聞いて無かったのか? 私
はお前と付き合う訳には……」

「ふふっ……これはあくまで、親友としての友情表現よ?
何か問題ある?」

「………っ……負けたよ、今回は」

「あら、まるで今まで私に負けた事が無い、みたいな言い草ね」

「勿論無いに決まっている。これまでも、これからもな」

「ふぅん……そうだといいわね♪」

しっかりと腕を絡め合ったまま、二人は出入り口のゲートを
通り抜けて元の巨躯を取り戻した。傍からは、お熱い竜のカ
ップルという目で見られるかもしれない。家族同然の彼とた
だ身体をくっ付けているだけなのに、レムリアはこの上ない
幸せに包まれていた。


ーーー神様。
せめてこの腕が離れるその瞬間まで、私たちの糸を切らないでください。







<2012/06/08 19:49 ロンギヌス>消しゴム
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