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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜 − 旧・小説投稿所A
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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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「……行方不明? マスターが?」

「うちが、ちょっと目を離した隙に消えてしもうたんです……ほんまに申し訳ない!!」

「別に君を責めるつもりはないのだが……とにかく、一旦全員を呼び戻そう。話はそれからだ」

ギラティナは淡々とした態度で目を閉じると、カイオーガやラティオス達に向けてテレパシーを放った。
彼の強力な意識をもってすれば、全員に異常を知らせるぐらい何でもない。
しかしその間際に見せた仏頂面が、ミロカロスの罪悪感をさらに増幅させてしまったようだ。

「ご…ごめんなさい……」

とうとう彼女は顔を伏せ、涙を抑えようと歯を喰いしばった。
ロンギヌスがロストしたのは、完全に自分の不注意だと思っているようだ。
ギラティナは慌ててロンギヌスのポーチからティッシュを数枚取り出し、彼女に差し出す。
彼にしてみれば単純に地球を征服する方が、涙ぐむ女性を扱うより遥かに簡単な気がした。

5分後、海にバラバラに散った仲間が全員帰ってくる。
興を削がれた様子のレムリア&ラティオスとは対照的に、カイオーガは生まれて初めてロンギヌスに感謝しているようだった。丁度、ダークライに追いかけ回されるのに疲れていたらしい。

しかしそれ以上にギラティナが気になったのは、彼らが至って平然と振る舞っていることだった。
ロンギヌスが行方不明になったことに、驚く気配も焦る気配もない。
いざギラティナがその理由を訊いてみると……


「えっ、だってよくあることですし……」
「そうそう……僕ももう慣れちゃった♪」

ギラティナも、その気持ちが分からない訳ではなかった。
今までにロンギヌスが分からない引き起こしてきた事件・事故の類を考えれば、迷子などそう大騒ぎするようなネタではない。
しかしそんな過去を知らないミロカロスが泣くほど気負っているのだから、ここは真剣な目で取り組んでやりたかった。


「大丈夫だよ。きっとおっきな海藻にでも引っ掛かって……」

「だといいがな」

カイオーガの言葉は途中で遮られ、甲板は巨大な影に覆われて暗くなった。
ふと空を見上げると、バビロンが珍しく真面目な表情で翼をはためかせていた。漆黒と青鱗の混じったそれを折りたたみ、ドスンと轟音を立てて甲板に着地する。クルーザー全体が大きく波に揺れた。

「バ、バビロン貴方……どうして急に…」

レムリアの問い掛けを無視し、バビロンは僅か一歩でミロカロスの元へと詰め寄った。ギラティナ程ではないにしろ、彼女はバビロンの巨体の迫力に押されているように見えた。

「二、三、教えてもらおうか。最後にあいつを見たのはいつだ」

「か、海底の小さな遺跡どす……」

「どんな遺跡だ。形は?」

「長い一本の通路で出来ていて……その先が二手に分かれてるんどすが、確かすぐ行き止まりになっていたような……」

「……フーン……おいシャチ坊主」

ミロカロスとの会話を早々に切り上げ、今度はカイオーガの方へと向き直った。
「坊主」呼ばわりに彼は反論しかけたが、バビロンはそれを何処吹く風で話を進めた。

「お前が適任だ。ラティオスとそこの黒い奴を引っ張って、その遺跡の周辺を捜して来い。
怪しいものは片っ端から暴露するんだな」

「な、なんで君に命令されなくちゃいけないの……!!?」

「私が司令塔、お前らは突撃兵。これ以外に理由がいるのか?」


当然カイオーガは喚き返そうとしたが、彼の横でギラティナが首を横に振ったのを見て、渋々言われた通りに動いた。
最初と同じように、三本の水柱が空に打ち上がる。



「バ、バビロン。私……行かなくていいのかしら」

レムリアが腰引き気味に問いかけた。
彼女の心配そうな顔色を見て、バビロンはフッと微笑を浮かべる。


「フフ……マスター1人にわざわざ女手を煩わせることも無いだろう。このぐらいあいつらだけで充分だ」

「バビロン……何故分かったのだ? マスターが行方不明になっていると」

ギラティナは彼にテレパシーを送った覚えは無かった。
にも関わらず、超人的な嗅覚でそれを嗅ぎつけてきたのだから驚きだ。
バビロンはまたしても失笑し、食堂で仕入れた海の『モンスター』の噂を語り始めた。


「……名前は"ブロブ"だったかな。スライム状の化け物さ。
それがこの海に生息してると聞いて……まあ、注意がてらに来た訳だが。
まさか本当に奴に取り込まれていたとはな……」

「いや、まだ断言はできないのではないか?」

「九分九厘そうに決まってる。
マスターの毎度毎度の不運や習性を考えれば当然だろう」




=============




「……っあ…おいこら…ッ……出せってば…!!」

ロンギヌスの頭の中は、今やショックと混乱以外には何も無かった。
数分前まではミロカロスと好奇心を共にして、お宝さがしに夢中になっていたのは覚えている。
だが気が付けば、ドロリと流れるようなアメーバ状の物体に、訳の分からないまま全身を絡め取られている。

ロンギヌス自身は知る由も無いが、その物体こそバビロンの直感を刺激した海のモンスター、"ブロブ"だった。
近くに寄ってきた獲物をスライムのような身体に引き込み、長い時間を得てその消化を終えるという、ただそれだけの生物。
もちろん、性格や明確な意志はない。あるのは食いしん坊と恐れられるほどの食欲だけだ。

むにゅぅ……コポッ…コポッ……クッチュ…

「ぅ……んぅ……んんんっ…!!」

赤みがかったピンク色の肉塊が、ロンギヌスの肌を胃壁をも凌ぐ密着感で包み込む。
何しろアメーバのように流動性が高いため、ブロブは獲物の形状に合わせて柔軟に形を変えられるのだ。
それこそ、ロンギヌスの『型取り』が出来てしまうほどに。
全身を呑み込まれた彼からすれば、それはスライムの海に飛び込んだのと変わらない感覚だった。


そもそもの原因は、ロンギヌスの足元に空いていた穴にあった。
実は長年そこにのし掛かっていた水圧によって、石の床が試験管のような筒状に陥落していたのだ。
しかし、ロンギヌスはただ水中を遊泳していただけなのだ。
本来なら、自分の直下に巨大な穴が空いていようといまいと関係ない。

問題なのはその縦穴に、腹をたっぷり空かせたブロブが潜んでいた、ということ。
ブロブは頭上にロンギヌスの気配を感じるや否や、何の躊躇いもなく彼をその縦穴に引きずり込んだのだ。
そしてまさに今、着々とロンギヌスの消化を進めている。繊維の薄くなったダイビングスーツが、その良い証拠だった。


「……くぁ…ッ…」

ブロブの責めは見かけ通り無機質な動きだった。
ロンギヌスが暴れようと嘆こうと、肉質による単調なマッサージのループ。
しかしどれだけ身を悶えさせても、このブロブの住処が狭い縦穴である以上、決して外に逃れる術はない。
せめて穴の入り口に手を掛けることが出来れば、ロンギヌスにも自力脱出の可能性はあるのだが…….穴は彼の身長のほぼ倍の深さがあった。到底手が届くはずもない。

ロンギヌスが脱出方法を巡らせている間にも、ブロブの動きはより活発化しているようだった。
ほんわかと温かいスライムが肌の上を覆うため、やがて喘ぎ声の漏れる頻度が高くなってくる。
小さな快感が大きな快感を呼び、ロンギヌスの緊張をお湯を掛けるように溶かしていく。


……ぶにゅっ…みゅ……ぶよぉ…

「あ、や…やば……!!」

ここにきて予想外の出来事が起こった。
この状態のまま消化を続けていくのかと思いきや、ブロブはロンギヌスを連れ、さらに縦穴の奥へと沈み込もうとしていた。
当然ロンギヌスからすれば、誰かに見つけてもらう可能性が低くなってしまう。
懸命に流動するゼリー質を押さえて食い止めようとするが、獲物に過ぎないヒト一人の力では不可能だった。
ロンギヌスはなす術のないまま、深い地中の亀裂にますます引き落とされる。

ぎゅむっ……ムグッ……

単調な「味見」の段階は終わりを告げ、いよいよ本格的な消化活動が始まろうとしていた。
ブロブの蠢くスピードが異様に速くなり、圧迫感も見違えるほどに大きくなる。
ロンギヌスは本能的に悶えたが、ブロブ全体がモコモコと揺れてその衝撃を逃がしてしまった。

全身をグニグニと揉み立てられる感覚。
感触のはっきりした胃壁とは違うため、押し寄せてきたゼラチンに抗う術は無きに等しい。
被食経験の多いロンギヌスだったが、今回のようなスライム状の相手は初めてだった。
ゆえにただ漫然と喘ぎ声を吐き続けながら、じわじわと体力を搾り取られていく。


「まずい……な……」






<2012/03/22 01:10 ロンギヌス>消しゴム
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