Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!

魔女達の晩餐 − 旧・小説投稿所A

RSS | 感想 | TOP
魔女達の晩餐

|<< < 11 / 19 >>|

「逃がさないぞ…グルルル…!!!」

一瞬の隙を突かれ、獲物を逃がしたことにトレゾアは焦燥に駆られていた
腹が膨らむと同時に唸り声を出し金色に輝く翼を広げた
そして牙を剥き出し、二匹の獲物を追う

フローラも頬に傷をつけたラッシュに苛立ちを覚えていた
冷たい地面を力強く蹴り、銀色に輝く体毛を靡かせながら二匹との距離を詰めていく

「後ろを振り向いちゃダメニャ!!」

二匹の後ろから聞こえる唸り声
捕まれば間違いなく地獄…いや、もっと苦しい世界が待っているだろう
それに対する恐怖が二匹の逃げ足を加速させた

「鈍間な獲物だな」

「!?」

しかし巨躯をもつ二体の魔女はすぐに追いついてしまった

右には金色、左には銀色
両手に花…いや毒草と言った方が正しいだろう

「餌は餌らしく、さっさと喰われろ」

「きゃっ!!?」

金竜が口元から牙を覗かせた刹那、ガチンと音が鳴り響き、二匹の目の前にはズラリと並んだ牙があった
どうやら噛み付こうとしたらしい

「グルルル…!!!」

「ニャ!?あっち行け!!」

間髪入れずフローラが反対側から襲い掛かる
ガチンと音と共に空を噛む獣の大口
動物ならでは耳と直感を働かせ、魔女からの追撃をかわす

「チッ、なら…!!」

竜のトレゾアが大きく翼を動かしたかと思えば、二匹の目の前に立ちはだかる
後方にはフローラ
前後をとられ、挟まれてしまった

勝利を勝ち取ったのは魔女の方

トレゾアは、じゅるりと舌なめずりをすると両手を前に出し二匹を捕まえようとした
フローラも後ろから不適な笑みを浮かべ、逃がさぬよう距離を詰めていく

二匹に逃げ場は無かった
脱出口である通気孔は目前にまで迫っていたのに、諦める羽目となった

「……こっちニャ!!」

「何!?」

突然ラッシュが白怜の手を掴むとフローラに向けて走り出した

フローラは完全に虚を衝かれてしまった
急いで三つの大口で肉迫するが、またしても空を噛んでしまう

二匹はケルベロスの足元を駆け抜けた
通気孔から離れないように図りながら魔女達の魔の手から逃れる

けれども捕まるのは時間の問題
通気孔は一方がもう一方を持ち上げて届く高さだった
後から助けようにも魔女達に捕まってしまう確率の方が高かった

「このままじゃ二人共捕まるニャ…!
 僕が持ち上げるから逃げて欲しいのニャ!」

「ラッシュさんは!?」

「猫の命は九つまで…ニャ♪」

不安がる白怜に対しラッシュは優しい笑みを零す
そして手を引っ張り、一心不乱に通気孔へと走り出した

しかし通気孔のすぐ近くには砦の様に二匹を待ち構えるトレゾアの姿が…
大木のような金色の腕が二匹に向かって伸びてきた

「…チッ」

しかし魔女達が捕まえたのは、またしても空気だった
二匹は小さな体を活かし、指の隙間から逃げ出したようだ

だが安心したのもつかの間
次に迫り来るは金色の尻尾だった
大蛇が体を起こしたかのように大きくうねり、二匹に肉迫した

「こっち!!」

今度は白怜がラッシュの手を引っ張る
潜り込んだ先は金竜の尻尾の付け根
トレゾアにとっては死角となっていた場所だった

巨大な尻尾の下を潜り抜け、通気孔の真下へと来た
どうするか考える時間は無かった
ラッシュが両腕を前へと突き出す
その様子からして白怜は何がしたいか悟った

「早く…!!ニャァッ!?」

その言葉と同時に白怜が跳び上がる
アクション映画のワンシーンの様にラッシュの腕に着地をすると、思いっきり彼が彼女を振り上げた

高く跳び上がる白怜
その下では魔女達に捕まるラッシュの姿があった

聞こえてくる悲鳴に白怜は泣きそうになっていた
それでも彼自身が払ってくれた犠牲を無駄には出来ない
急いで通気孔の入口を覆う網を外し中へと潜り込もうとした

本当の勝者は……………



……魔女達だった…


「言っただろ?誰一人逃がさない…と」

白怜の足には解いたはずの硬いロープが巻き付いていた
しかもそれは意思があるかの様に動いていた

そして、冷たい金属の洞窟から再び地獄の入口へと引きずり落とされたのだった


<2012/04/19 14:46 どんぐり×セイル>消しゴム
|<< < 11 / 19 >>|

TOP | 感想 | RSS
まろやか投稿小説すまーと Ver1.00b