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日常 〜プレデターハウス〜 − 旧・小説投稿所A

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日常 〜プレデターハウス〜

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カイ「ふー、ついたついたー。」

カイオーガは身軽に移動床から飛び降りる。辺りをキョロキョロと見回すが、部屋は広い割にひっそり閑としており、静寂に包まれていた。





カイ「あれ〜?ここなんだけどなー…」

部屋の中央まで来てみるが物音一つ、影一つ見当たらない。カイオーガは「ちぇっ」っと舌打ちすると、逆回転し始めた移動床に戻ろうとする。












「…なーんてね♪んあっ…」

出口近くでカイオーガは急に立ち止まり、小さく口を開ける。口内からはズルズルと舌が這い出してきた。





「…3秒あげるから逃げなよ。」


いつになく鬼のような気迫でボソリと呟く。気配は本物だが、目は楽しんでいるようにも見えた。




「いーち…」

ドサッ…ダッ…!!


?「ご、ごごごめんなさい………!!!間違いで入ってしまって………」

天井から忍者のような動きで、1人のジュプトルが飛び降りてくる。地に脚を着けた瞬間謝りだし、がくりと膝を折る。



ジュプ「本当に………すみませんでした…………」

ガンと冷たい床に頭を押し付け、土下座してまでの必死の謝罪。まるで脅かされているかのようだ…







カイ「…………にーい…」

ジュプ「え…ええっ!?」

ジュプトルはバッと顔を上げる。
謝り倒しても、カウントダウンは止まらなかったのだ。恐らくこのまま「0」が到来した暁には………




カイ「さ〜ん………♪」

ジュプ「ひ……うわああああああああっ!!!」


目にも止まらぬ速さで移動床へ向かう。ここは捕食者の部屋…………こいつもそうに違いない………

あと3m………届け、届いてく……!!!
「ゼロ♪」










遅かった


カイオーガは振り向かない。追おうともしない。追ってきたのはとてつもなく長い舌。
長い舌がジュプトルの肩にぐるっと巻きつき、そのまま通った道を戻らせる。



ジュプ「いや………ごめんなさい!!」

カイオーガのまん前に連れてこられ、ジロッとした視線を受ける。肩にペットの大蛇のように巻きついた舌が、ベロンと震える頬を舐め、ジュプトルの恐怖を煽る。



ジュプ「ひぇあぁ………気持ち悪い…」

カイ「…なんで震えるのさ…まだ何にもしてないのに。」


肩から重荷が取れる。舌はジュプトルから離れ、カイオーガの口の中へと収まった。


カイ「怖がらなくていいって…2、3聞きたいだけだもん。」

ジュプ「は……はあ…」

ジュプトル血生臭い唾液を拭き取ろうとしたが、「べったり」「さっぱり」だった。


カイ「えっとさ……ここに来た時誰かいなかった?」

ジュプ「だ、だだだ誰も……いません…」

カイ「ふーん……そっか……………じゃーなんで天井に張り付いてたの?」

ジュプ「いえぁ……あの……間違えて入ってしまったんで………ここ捕食コースじゃ…ないですか…」


日本語になっていないが、どうやら言いたい事は理解されたようだ。ここでジュプトルは自分の方から質問する。




ジュプ「あの……質問なんですが…なんでさっき、あんな怖い事を………」



カイオーガは一瞬目をぱちくりさせるが、すぐに納得する。ジュプトルは、「3秒以内に逃げろ」について言ってるのだ。


カイ「あ…ぁえっとね……うん…ご愛嬌♪」

ジュプ「え…は……はあ…」

ジュプトルは「はあ…」で済ませたが、内心は怒りに満ちていた。


ジュプ「(何がご愛嬌だよこの化け物シャチ………こっちは死ぬかと思ったってのに…」


そう心の中で文句を言った瞬間、カイオーガの目がこちらを向き、冷ややかに睨んでくる。

カイ「うー……悪かったね化け物シャチで。」

カイオーガの言葉を聞いた瞬間、ジュプトルは奇声を上げて飛び上がり、腰を抜かして倒れる。



ジュプ「な…ななななななんで…」

カイ「君の心、暇だから読んじゃった♪」


ガクガクと再び震えが止まらない……

やはりこの化け………カイオーガと一緒にいたら、何が起こるか分からない…

一刻も早く立ち去らないと…!!

ジュプトルは踵を返し、またしても出口へと向かう。


カイ「…ねぇ…1つお願いなんだけどさ…」

せっかく残り1mで移動床に乗れたというのに、カチンと体が凍りつく。




カイ「ボクに………食べられてみない?」


<2011/05/15 15:09 ロンギヌス>消しゴム
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