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雪の足音。 − 旧・小説投稿所A

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雪の足音。

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グラエナは狡猾に獲物を狙うものだ。大体の方向も分かっている、あわよくば……

「ククク……!」

思わずグラエナは口角が上がってしまう。昨日から空腹だ、早く向かうとしよう……!

雪山を軽々と駆け抜け、ロコンでは数週間もかかっておかしくない距離を1日かけてたどり着く。

しかし、さすがに遠い距離……グラエナでも1日で着く距離では無かった……。

「ふぅ……今日はここで休むとするか……」

「きゃっ!」

真っ暗なグラエナの口内で半ば気絶していたロコンは突然吐き出され、小さな悲鳴と共に地面に落ちる。
そんなロコンを見下ろすグラエナ。

「大丈夫そうだな」

「一日中こんなことされたら……うぅ」

べたべたな自分の身体を見て苦虫を噛み潰したような顔を見せるロコン。
グラエナは生きている様子を見て安心したのか、眠ってしまう。

「勝手に寝ないでくださいよっ!ご飯はどうするんですか!?」

「……自分で取ってくればいいだろう。それにリュックに入っているだろう?」

「私じゃなくて貴方ですよ!一日中走り続けて何も食べないなんて……!」

ロコンはグラエナを揺さぶるが特に起きる様子もない。
むしろ煩いとばかりにロコンを抱き込んでしまう。

「オレは別に数日食べなくてもいい。キュウコンに会わせてから食事をする」

グラエナはぶっきらぼうに言葉を告げるとそれ以上は何も語らなくなってしまった……。
ロコンは一匹鞄に入っているモモンの実を頬張る。
口の中に甘い味が広がり、幸福感が広がった。

「私も寝ようかな……」

べたべたな身体で気持ち悪いが、明日も同じ運命だ。
それに外は真っ暗な森のなか。一人では危険なこともあるし、水はタイプの関係もあり苦手だった。
そっとグラエナに抱きついたまま眠りについた……。


<2012/01/18 11:57 蒼空>消しゴム
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