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白夜の妖狐 − 旧・小説投稿所A

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白夜の妖狐
− 導き −
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「……」

「? なんじゃ、これは……」

ふと視界に見慣れぬものを発見した。

液体の入った包みが銀の棒に吊るされ、その包みから伸びた管が儂の腕に繋がれてい
る。

「それは点滴だよ? あまりにも衰弱が酷いから勝手に施しちゃった」

「ふむ……」

「血管に直接、栄養を流し込んでるの」

……どうやら、この点滴と言うやつで儂は命を繋いでもらったのか。

「……誰かは知らぬが、すまぬな」

「気にしないで。好きでやってるだけだから」

奴が儂に優しく微笑んだ。

それは彼奴と瓜二つだった。

「僕はシフ。シフ=ベルセイル。ちょっと医学に通じてるけど、15だよ」

「儂に構っていても良いのか?」

「うん。隣町の病院には別の人を、って連絡したから」

彼奴よりも歳は重ねている。

しかし、まだ幼さを残している。

初めて都市に足を運んだかのように。

儂にとってはその幼さ≠ェ彼奴の面影を被らせていた。

「……物好きじゃな……主」

「そんな体で倒れている貴方が悪いよ」

鼻を鳴らした。

確かにその通りじゃな。

今件はすべて儂のせいじゃな……

「今日は貴方が心配だから、一緒にいるよ」

「良いのか? そんなにゆっくりしておって……」

「何時、崩れてもおかしくないぐらい衰弱しているから……目の前の患者を放っては
置けないよ」

彼奴が再度、シフに被る。

いくら振り払っても消えてはくれない。

声、言葉、笑み……とにかく彼奴に似すぎて離れぬ。

そこまで、儂は彼奴に負い目を感じているんじゃろうか?

「でも……今日は寒いね……」

「主にはの……」

気絶してからどれだけ時間が経ったのかえ?

推測すれば、約半日程度程かの。

既に、陽は落ち樹海には闇夜が訪れておる。

季節も秋に近こうなり、人間にはちいと寒いか。

料理に使った薪もすでに燃え尽き、温もりを失っておった。



<2011/12/15 23:11 セイル>消しゴム
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