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【保】神々の戯れ〜初めて出会った日〜 − 旧・小説投稿所A

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【保】神々の戯れ〜初めて出会った日〜

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「……こうしてみると、月夜兎って昔とあんまり変わってないよね」

共に回想に耽っていた二匹だったが、先に口を開いたのは水神であった。

「オイオイ、昔よりかは丸くなったと思うぞ。昔なんか村で暴れてた鬼の集団をぼこぼこにして、す巻きにしてやって玄界灘に放り込んだからな。今はそこまでやらねぇわ」

ハッハッハと月夜兎は豪快に笑った。

「それがきっかけで月夜兎も人間たちから崇められるようになったんだよね。まあぶっちゃけあの時の月夜兎は怖かったなぁ」

水神が遠い目をする。

「まあでもやっぱり丸くなったとはっきり分かるのは水神の方か」

「あんな風に気張るのは自分の性に合わないって気付いたからね。ちっちゃい頃から素は今のキャラと同じ感じだったよ。でも当時の自分の中では漠然と『神様というのは厳格で少し高圧的』ってイメージがあったからさ、神様デビューをきっかけにイメチェンしたんだよ。まあ1日足らずで月夜兎に粉砕されたけど。ぶっちゃけあの時の私は黒歴史だよ」

「神様になるのを大学デビューと同列に扱うなよ」

呆れたと言わんばかりに月夜兎はやれやれと首を振る。

「さてと、体も温まったしそろそろ出るか」

月夜兎は釜から出ようとする。
ところがそれを水神が指で弾いて戻してしまった。

「オイオイ、何するんだ?」

「エヘヘ、月夜兎を見てたらお餅に見えてきちゃってさ」

そう言うと水神はどこからともなく紙袋を取り出し、中身を釜(※しつこいようですが水神からしたら小さな鍋です)へとぶちこむ。

「これは小豆だな。まさか……」

「おしるこが急に食べたくなったの。月夜兎はお餅の代わりということで」

「おい、待て。おい」

「あー、美味しそうで我慢できない!もう食べちゃお」

水神は大きな口を開け、釜を持ち上げて小豆と月夜兎を流し込み始めた。

「新年早々これかよ!」

月夜兎の叫びも虚しく、小豆と一緒に口のなかへ吸い込まれていってしまった。
どうやら今年も神々は戯れるのをやめそうにないようだ。

お し ま い



<2011/12/05 23:09 とんこつ>消しゴム
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